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2015年6月11日 放送
【写真】大籔 崇 氏 村上龍の編集後記 ショートエッセイはこちら

田舎に日本の未来SP 第2弾
~元ニートが挑む地方革命~

エイトワン社長 大籔 崇(おおやぶ たかし)
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社長の金言

金言1
たくさんの小さなビジネスが
地方を元気にする

政治家や行政が声高に叫ぶ「地方活性化」。だが結局はかけ声だけに終わる例がほとんどだ。そうした中、地方に埋もれた「良いモノ」を発掘し、斬新な発想で「強み」を引き出して次々とビジネスにしていく若き経営者が愛媛にいる。エイトワン社長・大籔崇35歳。大学時代はパチンコ、卒業後は株投資にはまり、稼いだ15億円でビジネスを始めたという異色の経営者だ。今では旅館・ホテルの経営に始まり、「今治タオル」専門店、さらに「愛媛ミカン」や陶磁器「砥部焼」のブランドを立ち上げるなど、愛媛にこだわった10以上の事業を生み出し成功させている。「小さなビジネスを数多く生む方が地方は元気になる」。元ニートが一人で始めた“地方革命”。そこから日本の未来を探る!

温泉、タオル、ミカン…。“愛媛”を盛り上げる異色の経営者

日本最古の温泉といわれる「道後温泉」。その一角に、女性に大人気の宿「道後やや」がある。この宿、温泉宿なのに温泉がないという「弱点」を持つが、「おしゃれな浴衣」「8種類の高級今治タオル」など、近隣の外湯をとことん楽しめる仕掛けで見事に克服。さらに朝どれ野菜30種など、愛媛産にこだわった“豪華すぎる”朝食バイキングが評判となり、道後温泉で有数の人気宿となった。仕掛けたのは30代の経営者・大籔崇。「愛媛」をキーワードに様々なビジネスを手がける。例えば今治タオルは、生活でも使える商品を数多く取り扱う専門店を全国22カ所に展開。ミカンでは、味はいいが市場に出ない「傷物ミカン」を、手作業で加工し「高級品」として店舗やネットで販売。それぞれの産地に恩恵をもたらし始めているのだ。大籔は言う、「小さくてもいいから雇用を生み、お金が回る仕組みをつくることが大事。地方では小さなビジネスが数多くある方がいい」と。地方を元気にする大籔流ビジネスに迫る。

「株で15億円」→「旅館再建」!? 窮地で得た“成功の方程式”

広島県生まれの大籔、愛媛生活は大学からスタートした。だが在学中はパチンコ、卒業後は株取引にのめり込む実質ニート生活。周囲から白い目で見られながらも15億円という巨額の財産を築き上げた。しかし心は満たされなかったという。転機が訪れたのは28歳の時。道後温泉で、客足が伸び悩んでいた高級旅館の経営を引き継がないかと、知り合いから持ちかけられる。「何か人のため、愛媛のためになることがしたい」と考え始めていた大籔は2つ返事で引き受けるが、いきなり窮地に陥ってしまう。支配人をスカウトして運営を任せたのだが、従業員のほとんどが辞めていったのだ。大籔は一から「客も従業員も満足させるにはどうしたらいいか」というテーマと向き合う。そうして導き出した答えは、意外なことに“愛媛”を見つめ直すことだった。それから見事、3年で人気の宿に生まれ変わらせた大籔。この成功の方程式は、今も仕掛ける数々のビジネスの元になっているのだ。

愛媛の方程式を全国へ!動き出した「地方革命」

これまで「愛媛のために」奔走してきた大籔。しかし今、そのフィールドは県境を越え始めている。愛媛の隣、香川県の東かがわ市。ここは知る人ぞ知る手袋の町だ。市内の企業で国内シェア9割を占めているという。しかし生産現場を訪ねてみると、コスト削減のため次々と海外に工場を移転。今や国内に残った生産技術はごくわずかだ。消えゆく地場産業を救おうと大籔が立ちあがった。「愛媛の悩みは全国の悩み。いいモノは、少し工夫を加えるだけで必ず売れる」と語る大籔。愛媛で成功した「地方革命」、いよいよその真価が試されるときが来た。

ゲストプロフィール

1979年 広島県福山市生まれ
1998年 愛媛大学 法文学部 総合政策学科入学
      4年間、パチンコ生活に明け暮れ、半年留年。
2002~07年 株取引で15億円を稼ぐ
2006年 「エイトワン」を不動産管理の目的で設立
2008年 旅館の経営を引き継ぎ、経営者人生が実質スタート




企業プロフィール

2006年、創業
売上高:11億円(非上場)
事業内容:①旅館 ②ホテル ③今治タオル専門店
       ④ミカン加工品専門店 ⑤宇和島鯛めし専門店
       ⑥砥部焼の新ブランド ⑦農業生産
       …など、10以上の事業を展開。






 

村上龍の編集後記

エイトワンのビジネスは、地域の資源を再発見し、活かすという正統的なものだ。だが大籔さんは、「元パチプロ」など、ユニークな経歴が話題になる。だが、大籔さんの個人史は、普遍的だと思う。意欲的な若者は「自分は無力だ」と認め、「だが無能ではないはずだ」と、あるとき何らかの賭けを試みる。崖からジャンプする感じだ。そして、賭けについて客観的に分析し、着地とともに、目標と出会う。見つけるのではなく、出会うのだ。間近で話した大籔さんは、「普通の」優れた若き経営者だった。そして、今、「普通」ほどむずかしいことはない。

跳躍の果て、目標と共に着地
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