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2015年12月10日 放送
【写真】新妻 和重 氏 村上龍の編集後記 ショートエッセイはこちら

星のイベントは年200超!
感動で市場を創る天体望遠鏡メーカー

ビクセン 社長 新妻 和重(にいつま かずしげ)
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社長の金言

金言1
未知なるものへの好奇心が
人生を豊かにする

最近、月や星を見るイベントが各地で開かれ、女性向けイベントも人気だ。もともと天体望遠鏡市場は、男性ユーザーが多かった。そこで天体望遠鏡メーカーのビクセンが目をつけたのが、女性。手軽に星を見る入門機として、カラフルな双眼鏡を発売。そして年200以上の天体イベントに望遠鏡を持って出かけ実際に星を見せる。「星の感動体験」で新たな天文ファンを開拓することが狙いだ。星好き社員揃いのビクセンの感動戦略に迫る。

天体観測をファッションにした“宙ガール”の仕掛け人

一般的に星を見るのは天体望遠鏡というイメージがあるが、ビクセンは双眼鏡で星を見るという新たな概念を浸透させることで、気軽に星を楽しめる機会を増やした。ビクセンの「宙ガール」シリーズは5色のカラフルなボディに、女性にも持ちやすいサイズと軽さを実現。さらに同色の収納ポーチ、ストラップなどが付いて1万円以下という手軽さが受け、今年2月の発売から4カ月で7000個を売り上げた。年2000個売れれば御の字の双眼鏡としては、驚異的な数字だという。

ビクセン流 感動を体験してもらう戦略

ビクセンは商品を作って売るだけのメーカーではない。週末になると埼玉県にある本社脇の駐車場から大型キャンピングカーに乗って社員たちがイベント会場に向かう。運転するのは、なんと社長の新妻。ビクセンは年200回以上、星関連のイベントに携わっている。商品を売る前に、まずは星を見ることを体験し感動してもらうことでファンを地道に増やす戦略だ。また、イベントでは「営業トーク」をしないのがルールだという。

レンズは発見・感動の入口

「物を大きく見せるレンズは未知の世界の発見の入口」と話す新妻の父は、ビクセンの社長だった。小さい頃から家にビクセンの望遠鏡や顕微鏡があり、土星を見て感動した経験が今の自分の原点だという。大学を出た後は会計事務所で働いていたが、父に請われてビクセンの社長になる。そこで痛感したのが、天体望遠鏡市場の閉鎖性。なんとか変えたいと考えた時に目をつけたのが、女性と双眼鏡だった。また、イベントに積極的に出掛けて行き、自分自身が小さい頃に味わったような感動体験を作ろうと社員に働きかけたのも新妻だ。

小さな村に観光客が続々!ビクセンが仕掛ける地域活性化

長野県にある阿智村。人口6700人の小さな村に観光客が押し寄せる。お目当ては“日本一の星空”。標高1400mの山頂には、およそ40台の望遠鏡がずらっと並んでいる。その全てがビクセン製だ。観光客が減少していた阿智村だが、2006年に環境省によって「星が最も輝いて見える場所」の1位に認定されたことで、星を村の目玉にすることに。夏季には全く使われていなかったスキー場を会場に2012年から天体ショーを開催。そして今年、観光客にもっと星を楽しんでもらおうと、ビクセンと連携協定を結んだのだ。また、岡山県の井原市美星町なども同様の取り組みをビクセンと行う予定で、ビクセンが地方活性化に一役買っている。

ゲストプロフィール

1966年12月 埼玉県生まれ。
1989年 中央大学商学部卒業 会計事務所に就職
2006年 ビクセン入社(先代社長は父、新妻貞二)
2008年 代表取締役社長就任
*趣味:登山、天体写真





企業プロフィール

1949年 双眼鏡やカメラの卸売りで創業
1966年 天体望遠鏡の製造販売を開始
1976年 ダイキャストと呼ばれる製法で量産に成功
2012年 「宙ガール」という言葉で女性戦略を展開
2014年 自動追尾駆動台開発で経産省グローバルニッチ企業100選に選定






 

村上龍の編集後記

高度成長時、「星」が、タイトルに含まれる歌謡曲が多かった。誰もが、空や、宇宙、そして「上昇」をイメージできたのではないか。今は、携帯やスマホの普及も手伝って、下を向いて歩く人が目立つ。「天体望遠鏡は、みんなで同時に見ることができない」新妻さんはそう言う。個として、天体と向かい合うのだ。彼方の星との対話は、自分との対話へとつながる。つまり、好奇心の摩耗を防ぎ、想像力が鍛えられる。星空の最大の魅力、それは、「人類が知らないことがまだたくさんある」と、教えてくれることだ。

未知 魅惑の領域
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