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2007年10月22日(月)放送
「改めて考える年金問題」
ゲスト:舛添要一 厚生労働相
観客:転職経験のある男性サラリーマン 50人&元OLの主婦 50人

 政治家をゲストに迎えるのは何となく気が重い。収録前、ゲストの控え室に挨拶に伺うときに、「基本的にポジティブな番組コンセプトですからポジティブに話しましょう」みたいなことをわたしは言うようにしている。だが、成功した経済人と政治家は決定的に違う。経済人が扱っているのは民間資金だが、政治家が扱うのは税金である。つまりわたしたち国民から税金を徴収し、再分配して政策を実行するのが政治なのだ。だから当たり前のことだが、ポジティブな話に終始するわけにはいかない。その政治家がどんなに理想的なことを言っても、財源がないとそんなものは絵空事に過ぎない。

 厚労相の舛添要一氏は、よくテレビに登場する。だが考えてみると、舛添氏の「政策」をあまり聞いたことがない。厚労相に就任してからも、「宙に浮いた5000万件」と「社保庁と自治体職員の年金着服問題」ばかりがクローズアップされて、年金をどう立て直すのか、あまりわからなかった。つまり舛添氏は、これまでの年金システムの綻びを繕う作業ばかりに追われている状態だったのだ。


 これまでにも繰り返しこのエッセイに書いたことだが、現在ほど政治家にとって割りの合わない時代はない。財政が逼迫している、というより破綻寸前なので、政策立案が非常に限られたものになってしまっていて、不自由だからだ。番組でも、話題は年金問題に、しかも「消えた5000万件」や「年金不払い」問題などに終始し、医療と介護を加えた抜本的な社会保障制度についての話はほとんどできなかった。

 ただ舛添氏との会話で、問題は厚労省や社保庁や自治体だけにあるのではないことにわたしは気づいた。年金はわたしたちの金で、もっと主体的に、かつ積極的に「獲得する」という態度が国民の側にも必要だったと思ったのだ。勘違いされると困るが、5000万件というデータミスや職員の着服は言語道断で弁解が許されないとんでもない不祥事だ。社保庁や自治体のこれまでの対応にしても、もちろん不親切で傲慢なところがたくさんあった。監督官庁である厚労省の責任も重い。だが、わたしたちはもっと「自分の金だから自分で獲得する」と思う必要があったのではないだろうか。そして、今回の不祥事の連続がその契機にならなければならないと思う。


 しかし、日本の社会保障を考えるとき、暗澹たる思いにとらわれるのもまた事実である。構築されるべきセーフティーネットはいまだにイメージされていないし、バブル崩壊以降に拡張された財政出動で火の車の国庫状況では、生活保護をはじめ社会保障は先細りするばかりだ。たとえば、貧乏な年寄りは今後どうやって生きていけばいいのか、というのは大問題だが、どこを見ても回答らしい回答はない。

 番組の最後に、医療について舛添氏に聞くと、「緊急医療ヘリを充実させたい」という答が返ってきた。だが、「その財源は?」と質問すると、「それはやはり消費税を」というような回答しかなかった。正直といえば正直で好感は持てたが、暗澹とした思いは変わらなかった。


 

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