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2005年05月27日
生放送でゲストを迎えるとき
生放送でゲストを迎えるとき、聞き手としては
その方が「口数が少ない」のかそれとも「饒舌なほう」なのかが気になるものだ。
口数が少なかったり、テレビ出演が初めての方だったら、少し多目の質問を
用意しておくなどの準備が必要だ。
しかしこの方の場合はいかに話を止めるかが最重要課題になってくる。
長野県の田中康夫知事だ。
前回、生中継で出演していただいたとき私は恐ろしい体験をしたのだ。
「長野にいる田中さん。宜しくお願いいたします」
そこからは田中知事の独壇場だった。しゃべるしゃべるしゃべるしゃべる・・・。
長野の魅力についてしゃべるしゃべるしゃべる。
質問をする間もない。
当初の予定の時間をかなりオーバーし、
横に座っているデスクの顔が引きつってきた。
「番組の時間がもうないぞ。」「ダメだ、次のニュースは飛ばそう」
残りの時間を計算していたスタッフは、
「ダメです、アッコさん。」放送中、彼らは大声が出せない。身振り手振り
すさまじい形相で訴えてくる。振り回している台紙には「引き取って」の文字。
だからこっちも必死なんだってば。
引き取りたいんだけれど、話に割り込めないんだってば。
私はインタビューが好きだ。
相手の話が長くなった時、話を変えるテクニックはこれまでの経験で
学んでいた
人は必ずどこかで「息を吸う」、その一瞬の間が、話の切り替えのタイミング。
こちらが言葉をはさめば、普通は相手は話しを止めるものだ。
ところが・・・田中知事は息を吸ってないのだ!
一秒足りとも間が生まれない。いつ吸うか、いつ吸うか、間を狙う緊迫の時間が続く。
しゃべるしゃべるしゃべるしゃべる・・ああ、まだしゃべり続けている・・・。
「ダメだ、息吸ってない。」
仕方がない、失礼だとは思ったが、話しつづける言葉の上に
「田中さん。田中さん。」呼びかけてみた。
しゃべるしゃべるしゃべるしゃべる・・・
聞こえているはずなのに、しゃべり続けているではないか
スタジオ内のスタッフが泣きそうになっていた。
え~ん。こっちも泣きたいよ。
ええいままよ。大きい声で叫んだ。
「田中さん、お時間も限りがありまして、またぜひお話聞かせてください」
くるりと大きい瞳を輝かせ
「おや、そうですか、佐々木さん、ぜひ長野に遊びに来てくださいねえ」。
にっこり(にやり?)と笑ったあのお顔は今だに忘れられない。
百戦錬磨の政治家達、その中でも明らかに異彩を放つ田中知事。恐ろしやあ。
きのう再び、中継でお会いした。
長野産ワインのPRということでソムリエ姿の気合の入れよう。
やはり彼のペースに振り回されたものの、
今回は少しばかり強引に切り込ませていただき、時間内におさまった。
よかったよかった。
次にこのスリルを味わうのはいつになるだろうか。
さらに腕を磨いておこう。
2005年05月19日
体力年齢
番組内で言葉を失ったのは初めてかも知れない。
新商品コーナーで「体力年齢」を計ることができる体重計を紹介した。
計測器の上に乗り、まず、身長と実年齢を入力。あとは両手で腰を安定させ
まっすぐ前を見て立つだけ。10秒くらいすると、自分の体力年齢が表示される。
本番の前に商品が到着した段階で、報道フロアは大賑わいとなった。
「何だ」「何だ?」
「どうやら体力年齢がわかるらしい」
「うそっ」「乗ってみろ乗ってみろ」
かなり関心が高いようだ。やはり「年齢」は気になるのか・・・・・・。
次々と情報を入力していく。
まず担当のTディレクタ━まもなく35歳。うわっ59歳。これはまずい。ダーツで
体を鍛えているのに。
続いてWデスク━38歳。運動とは無縁の不健康体。でた。53歳。
Yデスク━44歳。日頃の運動と言えば犬の散歩ぐらいか。おおお60歳。かなり
弱っている。
そして佐々木明子━昔は体育会系。おっ。31歳!!実年齢より若い。さすが健康体。
ひとりきり盛り上がったところで報道で最も体を鍛え、体脂肪率一桁を誇る脅威のイケメンMデスク39歳が登場した。
その隆々とした胸の筋肉を時折ぴくぴくさせ、女性たちの熱い視線を独り占めしている。
乗ってみて乗ってみて!
みんなが期待した。どれだけ若いんだろう。きっとすごい数字になる・・・一体。
数字が出た。
「67歳」
すさまじい笑いが報道フロアに響き渡った。これはすごい。ここまで見事に期待を裏切ってくれるとは。ああ、書いてる今も笑っちゃうよ。
彼のショックの大きさは計り知れなかったようだ。
「俺の趣味は健康なんだよ。その機械こわれてるんじゃないの?」
つぶやきながら、帰っていった。
バランス感覚をもとに体力年齢を出すので、計測中に声を出したりちょっと動いただけで数字が変わる。ショッキングな数字が出てもあまり気にしないほうがいい。
現にリハーサルでは31歳だった私の体力年齢は本番で47歳と出た。
油断した。ショックだ。
私はテレビの前の皆様に「体力の衰えたキャスター」と宣伝したようなものだ。
言い訳をさせてもらえば、どうやら数字には不安とか緊張とか気分的なものも影響するらしく、本番中で残りのニュースの確認だの番組が終わるまでの時間管理だの、大混乱の渦中にあったことが私の年齢を押し上げたようだ。
追い詰められると心と体も年老いていくのか。
実際の体力年齢は31歳でした。みなさん信じてください。
2005年05月09日
いつもぎりぎりの攻防だ
いつもぎりぎりの攻防だ。
テレビ東京がある神谷町まで日比谷線に乗り換えて15分。
乗り継ぐ駅への到着時間で状況がころころ変る。
40分に着くとかなり余裕。
会社までの道のり、コンビニでミネラルウォーターを買う時間がある。
42分は、ちょうどぴったり。
駅からゆっくり歩いても打ち合わせには余裕がある。
44分・・・・これは厳しい。神谷町の駅についたら猛ダッシュだ。
ラクロス元日本代表の筋肉も衰えを見せ始め、最近は会社に着くと
息も絶え絶えだ。
例えばもっと早く家を出ればいい、という人もいるけれど
朝の一分はとても貴重。
ニュースも見て、新聞チェックして、ちょっと紅茶も飲みたいし・・。
それに朝のラッシュ時は電車も2分おきに来る。
一本逃しても回復の余地はある・・・。
「安全か」なんて当たり前すぎて疑うこともせずに。
JR福知山線の脱線事故は
多くの犠牲者を出し、ゆがんだ企業体質を浮かび上がらせた。
でもニュースを伝えながら、私は心の中に引っかかるものを感じ始めていた。
朝のあの時、電車が一分遅れただけで
私の心の中は、いらいらの毒素で充満する。
「何で来ないの?」「どうして遅れるのかなあ」「早くしようよ」
44分の電車が45分になれば、私の焦りは最高潮になる。
デスクの顔も脳裏に浮かぶ。
遅刻のうまい言い訳は何か無いだろうか。今、電話すれば大丈夫だろうか。
でも、一生懸命走れば、間に合うかも知れない。
駅から会社まで最短距離で走るにはどのコース取りをすればいいか。
いらいらいらいらいらいらいら・・・・・。
定刻運行が客へのサービスだとJR西日本は言った。
私のような日ごろの思いの積み重ねが、運転手を、企業を、
定刻優先主義へと駆り立てたのか。
一分にいらつく世の中は「安全」という当たり前の概念をいつのまに
奪い去ってしまっていたのだろう。

