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2005年10月31日
内閣改造物語
ごっついおじさんに行く手を阻まれた。
「すいません、身分証明証ありますか?」
う~こっちは急いでるのに!
「国会記者バッジならあります!」
胸につけた記者バッジを見せてさっさと入ろうとしたら、
「記者証もみせてください」
太い手がいっせいに私を取り囲んだ。
ひどいっ、犯罪者みたいな扱いしなくたって・・・。
と思ったときにひやっとした。
そういえば、ここ総理官邸に入るには国会記者証が必要。
・・・でも今、持っていただろうか????
やばいっここで持っていなかったら
恥をかくだけでなく
第三次小泉改造内閣の発足を総理官邸から中継で伝えるという
今日の番組の構成が崩壊する。
スタッフになんて言ったらいいのだろう。
「あれ~あったと思うのですが・・・」
分厚い財布の中を必死で探った。
テレビ東京の社員証じゃだめですか?かざして聞いてみたが
警備の人は冷たい目。
あった。これは・・・宮内庁記者証!惜しいっ。
えっと、銀行カードでもなく、足裏マッサージの会員証?スイカ?
メトロカード?違う違う・・・・。
冷や汗が流れたときに・・・あった。国会記者証。
胸を張ってかざした瞬間、彼らの態度も一変した。
「どうぞ」
目の前にはガラス張りの総理官邸がひろがる。
奥をのぞくと各社が中継用のテントを張っていて、さながら
縁日の屋台のようだ。
黒塗りの車が何度も行きかい、そのたびにフラッシュがたかれ
どよめきがおきる。
ここに新しい大臣たちが胸躍らせやってくる。
これまで人事は派閥の間で話がついていて、誰がどこの大臣だとか、
どこの派閥から何人とか、顔ぶれは事前にある程度予想できた。
が、小泉さんの場合は誰にも相談せずに一本釣り。
中継では大臣の顔ぶれをボードに貼り付け、記者とともに解説する予定だけど
でも、誰の顔写真を用意したらいいのだろう。
テントにはすでに40枚以上の顔写真が用意されていた。日ごろの取材で
絞り込んだ人たち。
「多分、これでカバーできてると思うんだけどなあ。ただ、
民間から入閣したりしたら顔写真がないぞ、こりゃ・・・」
F政治担当部長が額の汗をぬぐう。
「あ、番組の冒頭はVTRで新大臣を紹介するので、最悪間に合わなくても
大丈夫です」
時間を見ながらそう言った。もうあと5分で番組が始まる。
「いやあ、とりあえずがんばろう」
結局、放送の20秒前まで数人がボードに写真を貼り付けていた。
そしてONAIR。
「第三次小泉改造内閣がスタートしました。まずは、顔ぶれをご覧ください」とVTRに振ったとたん
フロアの女の子が目をむいて×をだした。
「えっ?だめですか?」えっ?、えっ?
何がなんだかわからないが、どうやらVTRが間に合っていないようだ。
「え~それではですね・・・・こちらのボードで顔ぶれをご紹介していきましょう」
結局このボードが命綱に。悟りの瞬間だった。
何事も100パーセント大丈夫ということはない。
常に命綱を用意しておくことが人生大事である。
2005年10月25日
独り言
ON AIR15秒前。
手元の原稿を確認して、ニュース用の「顔」を作っていたら
隣に座っていたMデスクが突然つぶやいた。
「挨拶っていつから"こんばんは"になるんだろうなあ。」
「えっ?何、何?」
これは果たして私に「話しかけている」のか、それとも彼の「独り言」なのか、
さらには「聞いてもらいたい独り言」なのか、わからない。
報道のフロアにはテレビが8個、横並びで各局の番組がいつもついている。
映像を見ながら
「すげえなあ、このガラパゴスの噴火」
誰かがつぶやく。この段階では独り言。
で自分が気になったトピックスだったりすると誰かがそこに参加する。
「イグアナは大丈夫なんですかねえ。」
「ああ、さっきどっかの局で影響ないって言ってましたよ」
あっという間に4-5人の会話に発展する。
でも呟きがつぶやきのまま終わることもある。
「これどうしたらいいんだよお、まったくう」
パソコンの前でWデスクが大きな声をだした。
・・・・・誰も反応しない。みな、判断に迷っている。これは呼びかけなのか、
つぶやきなのか。大体8秒位たっても反応がなければ独り言として処理されたことになる。
で、突然のつぶやき、「こんばんは問題」に関しては、
ON AIRの直前だったし、微妙な声の大きさだったし(声が小さいと独り言、大きいと呼びかけ、と判断することもある)独り言として抹殺することもできたのだが
なんだか私も気になるトピックス。思わず反応した
「えっ、まだこんにちは、って言ってるよ」
Mデスクは無邪気にこっちをむいて
「だってさ、日が短くなってもう5時ともなると暗いじゃない"こんばんは"でもいいのかなと思って。」
ひいい~ON AIRまであと4秒のところで独り言が会話に発展してしまった。
確かにそうだ。
暗くなればこんばんは、かもしれない。
去年はいつから「こんにちは」を「こんばんは」に変えただろう?
区切がいいから10月1日から「こんばんは」にする
イメージがなんとなくあるような気がする。
「えっ、そしたらどうする?どっちにする?」
ときいたとき、ON AIRまであと2秒。
Mデスクの返事をもらう間もなくそのときは来た。
「こんばんは」
こうして10月の17日
「速ホウ!」の挨拶は「こんばんは」へと秋冬モードに衣替え。
果たしてこのタイミングでよかったのだろうか
2005年10月17日
あの甲子園の独特の雰囲気
あの甲子園の独特の雰囲気。
大阪ドームやヤフースタジアムのように新しくてきれいな球場もいいけれど
ツタが絡まる少しすすけた風情、
浜風を感じながら聞くタイガースファンの大声援(やじ?)
特にナイターは最高だ。
「ここにくると、なんというかねえ、威圧されるんですよ。
僕らも精神的に高揚して、普通じゃいられなくなる。そう
ぐっと身のひきしまる想いがしますねえええ」
巨人を率いていた長嶋監督はそういってたし
「ここはなあ、最高の場所ですよ、こんな環境で試合ができる選手は幸せだ」
阪神を指揮した野村監督もそういっていた。
選手にとっては「浜風でホームランも外野フライになっちゃうし、広すぎる球場」
という難点もあるそうだがそれでも「ここは特別」と口をそろえる。
歴史と伝統あるこの甲子園が突然マネーの世界に巻き込まれた。
通称村上ファンド率いる村上世彰氏が阪神電鉄の大株主に躍り出て、
阪神タイガースの上場を提案したのだ。村上氏といえば「物言う株主」としてしられる。
あっそういえば最近、番組で村上氏が大阪証券取引所(ヘラクレス)の筆頭株主になったと伝えたが、そのヘラクレスへ阪神タイガースを上場させるという今回の提案。
う~ん。すべて計算ずく、の行動なのだろうか。
タイガースの運命やいかに?
こんなとき、頼りになるのはスポーツジャーナリスト!
専門家に聞くのが一番いいと、二宮清純氏の所に飛んだ。
「どうなのですか、村上さんのこの提案。」
「んん~彼は本気だと思うけれど・・・
メリットデメリットがありますよね」
どんなどんな?
メリットは・・・上場して資金が調達できるから、練習環境をよくしたり、
いい選手を補強できたりする。
なるほどなるほど、
ではデメリットは?・・・チームの勝敗が株価に連動したり、ある投資家が株を買い占めて上場廃止になってしまった例も世界にはある。
う~む。
阪神が優勝した時のあのファンの熱気。そこに損得勘定はない。
「おらが村のチームはみんなのもの」とファンは口にする。
ものいう株主にものをいう世論の風が出てくるかも知れない。
2005年10月10日
静かなときが流れる「祝日の」報道局
静かなときが流れる「祝日の」報道局。
国会も、お役所も、会社も、マーケットも、裁判所もお休み。
世の中はお休みでもニュース番組に休みはない。
「ああああああああ、今日は何も起きないなあ」
なんて静かな報道フロア
ニュースの項目が次から次へと入れ替わり、怒号飛び交う平日の光景がウソの様。
まるで午後のティータイムのように誰もがのどかな微笑みを浮かべる。
デスクがいう
「今日は収録して早く帰るかああ」
どっと笑いが起きた。
世の中平和なのはいいことだ。
こんなときはどうするのか?
ニュースは起きなくてもいつもと同じ時間を放送しなくてはならない。
そういう時は、海外の企画(今日は人民元を追跡!)
だったり、ヤンキース松井選手だったりと、
その日に起きたニュースとはちがった、長期取材の内容となる。
すでに原稿を書き終えてしまったA記者はとっても子煩悩な良きパパ。
「多摩動物公園のレッサーパンダをみにいこうかな」
ネットで開園時間を取材中。
こんなときは私もついついのんびり気分。で、このコラムを書きはじめたわけだ。
お気に入りのカフェオレをのんでみたり、新聞の企画ものや、週刊誌を読んでみたり。
あっ。映画も面白そうなのやってるなあ。
メーク室に行く時間もいつもよりおそくなっちゃったりして。
あああ、いいなあ、祝日って。
と思ってたりすると案外番組の直前にどっか~んと
思わぬ事件のニュースが入ってきて、てんやわんやの大騒ぎなったりするものだ。
特にWデスクやKデスクは嵐を呼ぶ男たち。油断大敵だ。
そして今日はそのKデスク。
これを書いているのは番組4時間前。
ニュースの項目は朝からひとつも変わっていない。
果たしてこのまま穏やかに一日は終わるのだろうか。
番組が終わったらご報告したいと思う。
そしてただいまの時刻は18時。
・・・・とりあえず、穏やかに終了しました!

