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清水邸は こちら!

田中栄作さん

政江さん

あゆみさん
 

佑介くん

啓作さん
美智子さん  
今回お送りするのは、「下町狭小の家」2時間スペシャル!
まず最初の施主は、田中栄作さん。江東区大島に建つ、築45年のお蕎麦屋さん
兼住居の建て替えに挑みます。
蕎麦屋の二代目主人でもある栄作さんの家族は、奥さんの政江さん、長女のあゆみさん、育ち盛りの祐介くんの4人家族。店から程近い分譲マンションで暮らしています。
一方、栄作さんの両親、啓作さん美智子さんの先代夫婦は、お店の2階暮らし。
創業45年を迎える老舗も、老朽化と共に時代の流れなのか、最近では客足が
めっきり途絶え、危機的状況を迎えているのです。
そこで栄作さんが打ち出したのは、現在暮らしている3LDKの分譲マンションを2000万円で売却し、お店兼住居の改築資金にあてるという、大胆な改革案!
しかし土地は、敷地面積24.5坪、建坪はわずか14坪という超狭小地。
さらに、周囲を建物に遮られ、日当たりも決していいとはいえません。
果たして、この悪条件の中、夫婦2世帯6人家族の夢の城は、実現するのでしょうか?
  両親の希望   家族の希望
*
日当たりのよい部屋 * 自由自在な間取り
*
和室 * 全員集まれるリビング
*
収納スペースがほしい * ミニキッチン
建築予算  建築予算 4000万円
敷地面積  81㎡(24.5坪)
建ぺい率 60%
容積率  180 %
 
そんな夢をカタチにするのは、建築家・尾関勝之、60歳。
これまで、有名ホテルなど、大規模なプロジェクトに
参加してきた尾関は、鉄筋コンクリートのスペシャリト。その自由な発想で、数々の優れた作品を世に送り出してきました。
そんな尾関が提案するプランとは、店舗スペースを重視した、開放感溢れる大空間!
建坪わずか14坪という悪条件は、吹き抜けでクリアします。
1階には、客席と厨房。さらに、二代目栄作さんが、新たに取り入れたいという蕎麦打ちスペースを確保しました。
2階は、最大11名を収容できる個室スペースを設け、客はプライベート感覚で食事を楽しむことができます。
店舗スペースの上、3階4階部分は、二世帯6人家族の住居スペース。
4階建てのコンクリート打ちっ放しは、およそお蕎麦屋さんとは思えないモダンな外観となるのです。
 
 
様々な思いが交錯する中、解体作業は無事終了。
14坪とはいえ、鉄筋コンクリート造りの田中邸。
鉄筋を張り巡らせ、コンクリートの重みに耐えうる丈夫でしっかりとした基礎を造っていきます。
新居の顔、外壁造りもスタート。
コンクリート打ちっ放しの田中邸では、
この工程がかなり重要。
作業は、慎重かつスピーディーに行わなければなりません。
北側の壁に設けた細長いスリット窓からは、店舗スペース
に明るすぎず暗すぎず、落ち着いた店内を演出する光が
差し込みます。
さらに、床暖房も完備。
寒さ対策も万全です。
着工から4ヶ月。
作業は、住居スペースへ突入しました。
北側に大きな窓を設置。
北側と西側からしか光が取り込めない田中邸にあって、
採光のポイントとなります。
コンクリートの壁に合うよう、壁はすべて作り付けに。
これで、家族6人分の収納はバッチリ確保できます。
たくさんの溝が掘られた敷居は、
必要に応じて部屋の広さを変えられる収納扉なのです。
間仕切りのない、広々とした空間も収納された扉を引き出せば、3つの部屋へと早変わり!
店舗スペースのマストアイテム、厨房機器が続々と搬入されていきます。
ちょうどこの頃、二代目・栄作さんの提案で、45年間守り通したお店の屋号を「福井庵」から「銀杏」へ変えることになりました。
玄関先の壁。
これは、店内の吹き抜けをさらに効果的に見せるためのテクニック。
狭いスペースから広いスペースへ急に抜けると、茶室のにじり口のように、空間をより広く感じられるという
視覚を利用した工夫になっています。
窓の前には、ルーバーが幾重にも重ねて取り付けられていきます。
このルーバーには、建物のデザイン性を高めるだけでなく、正面からの光や風を取り入れる一方で、通りからの視線をシャットアウトするという、実用的な効果も隠されているのです。
2階の個室に置くこの1枚板は、長さ3メートル。
運び入れるのも一苦労です。
実は、このテーブル、桜の無垢材で68万円を越える高級品!
 
3階は、先代夫婦と、家族全員が集うダイニングキッチン。
間仕切りをなくせば、16畳もの広大な空間が広がります。
先代夫婦が希望していた収納は、十分すぎるほど確保。
作りつけのため、スペースに無駄がありません。
ダイニングには、大きなテーブルが置かれ、
朝夕2回、家族全員が顔を揃えます。
昨今失われつつある一家団欒が、ここにはあるのです。
4階に上がってすぐ左手が、7.7畳のリビング。
北向きではあるものの、開口部が大きいため、
日中は相当な明るさです。
現在は、広いスペースを2人でシェアする形をとっている
子供部屋ですが、将来的には、
2つのスペースに分けられるよう、考えられています
玄関から、茶室の「にじり口」のように、
店内へ入っていくと・・・

高い天井ともあいまって、
広さ以上の開放感を味わうことができます。
さらに、スリット窓から降り注ぐ柔らかな光で、
より落ち着いた雰囲気に。
テーブル席の通路側に設けられた仕切りは、ちょっとした個室感覚を演出するもの。
圧迫感を与えぬよう、デザイン的にも工夫されています。
2階へ上がると、そこはロフト状になった個室。
側面には、竹をあしらいプライベートを確保、桜の1枚板のテーブルが、何とも贅沢な気分にさせてくれます。
店内に入って、すぐ右手は蕎麦打ち場。
ガラス越しに、二代目の仕事ぶりが見られるようになっています。
暖色系のライトアップされたコンクリート打ちっ放しの外観は、
狭小住宅であることを忘れさせるほど、存在感たっぷり。
先代の思いを引き継ぎ、
二代目として新たなスタートをきる時がやってきました。
新しい門出を祝して、本当におめでとうございます!