04月12日放送 第462回

シリーズ「復興への道」(2) あなたの善意 その行方~企業と個人 手を差し伸べた30日間~

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放送概要
東日本を襲った、未曾有の大震災から約1カ月後。日本全国、そして世界各地で被災地に手を差し伸べたいという「善意」が湧きあがり、現在もその輪は広がり続けている。企業、そして個人がぞれぞれの思いを託した多くの「支援物資」や「寄付」。震災直後、被災地以外の人々からの「善意」はどのように溢れ、集まり、そして形となって、被災者に届けられたのか?外国、日本企業、そして個人のそれぞれの視点から、「善意」がどのように被災者支援につながったのかを見つめる。インフラ網が回復し、徐々に経済活動が正常化する中で、被災地からの要望も刻々と変化している。番組では震災直後から「善意」の下に突き動かされ、緊急支援に動いた企業や、ボランティア団体、そして個人の1カ月間の動きに密着。多くの人が、被災者のためになりたいと思って動いた中、どんな壁にぶつかり、乗り越えながらこの1カ月を過ごしたのか?今後、被災地支援を続ける上での課題や、企業や個人にできる支援の在り方とは何かを、見つめていく。
孤立被災地からのSOS... あるボランティア団体の1カ月
東京・千代田区にある内閣府認定NPO「日本ユニバーサルデザイン研究機構」は、元々ユニバーサルデザインの取り組みを広める活動をしていた団体。企業・自治体の中に入り組織運営をコーディネートする事を専門としてきた。そこが個人ボランティアを集めて、被災地での支援活動をコーディネートしようと動き始めた。
代表理事の横尾良笑さんが3月11日の震災の日、受け取った気仙沼・元吉町からの1本のSOS電話が全てを変えた。「ミルク缶が一つしかない。地域全体で、200人の乳児がいる。何とか助けてほしい」という内容だった。横尾さんは、1日かかってヘリコプターをチャーター。わずか1日で、「ヘリ」「物資」を個人の「善意」で用意して、被災地に届けることができた。この経験から、本格的に被災地、とりわけ初期段階で物資が届かない、孤立している地域への支援活動をスタートしたが...。
"善意"の洪水の前に...誤解を受けながら、混乱のスタート
横尾さんは、ツイッターやフェイスブックを通じて、「緊急支援物資」の提供や「運搬のボランティア」そして「募金」を呼びかけた。続々と支援の輪が広がり始めたと思ったところ、団体としての知名度や活動実績が明確でないことなどから、「義援金詐欺では?」との誤解を受け、その火消しのための対応に追われた。今回の震災では、ネットを通じ個人の善意に呼びかけ、「募金」「物資提供」を求める広がりが注目されたが、その裏側では、混乱も起きていたのだ。
それでも集まり続ける...。その善意を届け続けられるのか?
驚くことに「2tトラックでガソリン付きで、運搬」と募集すると、「ぜひやりたい」と、持ち出しで個人や仲間連れで若者たちが続々とやってくる。陸上自衛隊出身者に、会社員、学生、OL。資格などもアピールしてやってくる。そして、都内に借り上げた倉庫には、個人からの「支援物資」が山のように積まれていた。自治体や、ボランティア団体が個人からの支援物資を受け付けていない中、彼らは仕分けを続け、「孤立した被災地」に届けるべく、小さな避難所を回っていた。そんな個人ボランティアを、コーディネートするのは、震災対策チーム・リーダー上野さん。行政と連絡を取りつつ、孤立している被災地の避難所をリストアップ。支援を続けていた。「だんだん孤立している被災地は、少なくなる。インフラが回復し、物資が行き届いた時、ようやくボランティアを現地に送る準備が整う」と上野さんは言う。個人の善意を届け続ける段階から、次のステップは、現地のニーズに合わせたボランティアの派遣を視野に入れている。
立ちあがった地方の中小企業 命のパンを届ける男
栃木県・那須塩原にアキモトという小さなパン会社がある。従業員50人。売り上げ5億円。地元のホテルやレストランなどにパンが6割。それ以外を特別な商品を占めている。それがパンの缶詰だ。開発したのは、2代目社長の秋元さん(55歳)だ。なぜ、缶詰なのか?阪神大震災で、食パンを援助したところ、3割が廃棄処分されて悔しい思いをした。そこで開発したのが、「パンの缶詰」。災害備蓄用の商品だが、缶詰でも「しっとり、ふわふわ」の触感で3年間の賞味期限を維持できるのが最大の特徴だ。
被災地から注文殺到...ガソリン、計画停電の中、増産するが...
現在、工場には被災地から「パンの缶詰」の発注が殺到している。日持ちが聞くのと、美味しいという評判があるからだ。発注元は、(1)被災地で支援活動しているNGO、NPO (2)いわゆるボランティア団体 (3)地元の自治体の3系統になる。工場はフル生産、向こう2カ月先までフル生産が続くという。秋元社長は、従業員に現状を説明。缶づめパンの増産に手をかして欲しいと訴えた。だが、計画停電が続き、原材料も「原発風評」で届けてくれず、こちらから東京に獲りに行くという異常な状況。本業のパンの卸し業にも影響が出かねない。被災地を何とかしたいという、秋元社長の「善意」による支援だが、一つ間違えば、会社の経営を圧迫する事態にもなりかねない。秋元さんは、支援を続けていくために、経営者の有志を回り「仕組み」づくりに動いた。地方の中小企業の「善意の輪」を広げていけば、大きな力になる。そう確信した秋元社長だったが...。

今週の一曲

あの場面でかかっていたあの曲はなに?
ガイアの夜明け音楽効果担当が今週のピックアップ曲を紹介します。

アルバムタイトル
セレナード

アーティスト
キャサリン・ジェンキンス
曲名
パッヘルベルのカノン

本編54分23秒。
「パン・アキモト」の秋元さんは、三千食分のパンの缶詰を被災地へ届ける。
このシーンで使用している曲は「パッヘルベルのカノン」。
ドイツ・バロックの作曲家パッヘルベルの代表作をキャサリン・ジェンキスがアレンジしたもの。
アルバム「セレナード」に収録されている。