「家を見直すことは、人生を見直すこと、これからの生き方を考えること」という理念で、老後の住まいのリフォームを提唱しているのが、高齢者住環境研究所の溝口千恵子さん。「定年前リフォーム」という著作を出版し、密かな話題となっている。震災後の今はとにかく、耐震性に注目が集まっているが、溝口さんは「耐震補強だけでなく、老後に備えた住まい作りが重要」と説く。
そんなリフォームに挑むのが、東京八王子市に暮らす河西哲也、ノブコ夫妻(64)。川西夫妻は、築37年の自宅に悩みを抱えていた。その悩みとは、①階段が狭く危ないため、2階の寝室を1階に移したい。②車椅子や救急車のストレッチャーが通れない玄関を広くしたい。③大きな段差がある風呂をバリアフリーにしたい。高度成長期の建売り住宅は、老後の暮らしをあまり想定していないのだ。
河西さんは、リフォームに踏み切った。最大の問題は、一階に寝室を移すこと。「1Fに寝室を作るスペースがない。現状の敷地では不可能だ」。設計担当の富澤さんは、頭を抱える。
リフォーム工事が始まった3月5日、河西夫妻が、現場を訪れた。そこで意外なことが発覚した。家を支える大黒柱の内部が腐っていたのだ。「地震でも起こっていたら、大変なことになっていた」と話す富澤さん。その6日後、東日本大震災が発生。河西さんのリフォームの行方は...!?