キーワードで読むガイアの夜明け 日経紙面連動企画

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2016年06月14日 地ビールの解禁

今回のキーワード
本場で認められる独自性

筆者が農林水産省担当の記者になった当時、記者仲間で話題になっていたのが、「地ビール」の解禁だった。欧米駐在の経験のある記者たちは、各地で個性的な地ビールを飲んで、ビールの味は多様で、欧米ではそれが楽しめる、ということだった。それに対して日本では大手ビール会社4社と沖縄地域ビール会社の寡占状態で、いろいろ工夫をしているものの欧米の多様性にはかなわない、と話してくれた。

日本では、黒ビール、生ビールの瓶詰めが新商品として登場して、愛好者を喜ばせていたが、多様な地ビールの味覚というのは想像がつかなかった。欧米やアジアからの輸入ビールも増えていて、多様な味覚の一端に触れてはいたが、「地ビール」は想像を越えていた。

今回のキーワード


中島洋の深読み 紙面を監修している中島洋・MM総研所長が、各回のテーマに対してコメント

日本には「地酒」があって、地域や醸造場によって香りや味が異なるので、そんなものだろう、と見当はつけていたが、大手メーカーの大規模なビール工場を見学して、「ビールは大量生産に向いている」と思い込んでいた記者たちには「地ビール」やはり、ピンと来なかった。

それが、小規模のビール製造が認められて、全国各地に地ビールの製造所が誕生するとイメージは一変した。味の濃い地ビールがあちこちで味わえるようになった。個性があって、人によって好き嫌いが出た。

また、地元で新鮮なうちに味わってこその「地ビール」だが、中には大消費地にまで販路を広げて、積極的に販売する製造所も出て来た。東京で地ビールを味わえるのは楽しかったが、やはり、鮮度が落ちるような気がした。しばらくすると淘汰が始まって、知名度が高まった地ビールの中で経営が行き詰まるところが出て来て、「ブーム」は去ったという評価も出始めた。

欧米では、ビールを飲ませる飲食店の中や隣接地で製造するスタイルが多いが、こういうレストランも国内で増えてきた。楽しみ方の多様化である。製造所で購入した地ビールを持ち帰ってその晩や数日のうちに飲む、というスタイルも定着してきた。

小規模生産なので、地ビールは割高である。このハンデキャップを乗り越えるだけの魅力がなければ存続はできない。味の魅力だけではなく、レストランの付設など楽しく飲む場所の提供など、地ビールの発展には、さらに工夫が必要だろう。さらに輸出となれば、鮮度の勝負は難しい。どこまで、世界市場で競争できるか。注目したい。

取材データ テーマの背景をもっと深く知るためのデータを掲載
  • 国際フェアトレード認証へ参加する生産者組織の推移
  • カテゴリースタイルブランド/ブルワリー銘柄
    フレイバードビールワールドベスト・ハーブ&スパイスサンクトガーレンスイートバニラスタウト
    フレイバードビールワールドベスト・スモークド田沢湖ビールラオホ
    ラガービールワールドベスト・へレス/ミュンヘナー富士桜高原麦酒ミュンヘン ラガー
    スペシャリティビールワールドベスト・ライスあくらビール古代米アンバー

    出典:WHISKY Magazine Japan 「ワールド・ビア・アワード2015 結果発表」より抜粋
中島洋=MM総研代表取締役所長

1947年生まれ。東京大学大学院(倫理学)修士修了。
73年日本経済新聞社入社。
産業部で24年にわたり、ハイテク分野、総合商社、企業経営問題などを担当。1988年から編集委員。この間、日経マグロウヒル社に出向し、日経コンピュータ、日経パソコンの創刊に参加。
97年-02年慶応義塾大学教授(大学院政策・メディア研究科特別研究担当)。
02年-04年、国際大学(グローコム)教授を務める。
現在、 MM総研所長、国際大学(グローコム)主幹研究員などを兼務。


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企画・制作・・日本経済新聞社 クロスメディア営業局
監修:中島洋MM総研所長
取材:木原香菜恵、小島眞司、中村幸嗣、由谷咲、岩田愛未、土肥謙司、渡邊俊太、安井瑛男