KIRIN~美の巨人たち~

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ルイス・ドメネク・イ・モンタネール「サン・パウ病院」

もしかしたら、世界で一番美しい病院だったのかもしれません。スペイン、バルセロナ。整然とした町並みの中で、その病院は80年もの間命の現場であり続けました。今日の作品は、世界遺産『サン・パウ病院』。一昨年現役としての役目を終え、現在は世界遺産として保存されている建物です。設計者は、かの天才ガウディのライバルと呼ばれた男ルイス・ドメネク・イ・モンタネール。およそ15万㎡という広大な土地に、23個もの病棟が並んでいます。エントランスホールの天井にはピンク色のタイルが敷き詰められ、華麗な装飾が頭上に溢れています。病棟は、まるでアラブの宮殿のよう。外壁は草花や動物が描かれたタイル画と石像彫刻に彩られています。一つとして同じ造りの建物はありません。何故ならこの病院、患者を建築の力で癒そうと建てられたからなのです。

ドメネク・イ・モンタネールは、1850年バルセロナの裕福な製本業者の家に生まれました。マドリッドの建築学校で学んだ後バルセロナへと戻り、23歳の時に建築家としてデビュー。その2年後には、バルセロナの建築学校の教授に抜擢されました。この時の教え子がガウディです。19世紀末、好景気に沸くバルセロナで建築家たちは新興のブルジョワたちの支援を受け、新しい建築様式を生み出しました。曲線と直線の融合と華麗な装飾が特徴のモデルニスモ建築です。その中心を担ったのがドメネクとガウディの2人でした。特にドメネクはモデルニスモを圧倒的な力で牽引し、バルセロナ万国博覧会ではカフェレストランやホテルを手掛けるなどして、その名をヨーロッパ中に轟かせていきました。

今日の作品『サン・パウ病院』の建設計画が持ち上がったのは、20世紀に入った頃のこと。計画は、老朽化した6つの病院を統合し郊外に新しい大きな病院を建てるという壮大なものでした。設計をするにあたりドメネクは世界中の病院を徹底的に調べ上げていきます。何が足りないのか、何を目指せばいいのか。そうして辿り着いた結論が「患者を癒す建築」にしようというものでした。ドメネクは、医療の現場を徹底的に調べあげ、その機能を大切にした上で患者を癒すことを考えたのです。

そうしたドメネクの思いは、病院の至るところに活かされています。たとえば病棟間の距離。23もの病棟は全て30m感覚で配置されています。これは患者に圧迫感を与えないようにとの配慮からです。待合室や病室は、塞ぎがちになる患者のことを考え、日差しがたっぷりとあたるように設計されました。この『サン・パウ病院』は、まさに美しさと優しさに満ち溢れた病院なのです。
ところが、その敷地の中に医療とは直接関係のない建物が一箇所あるのです。けれども、もしかしたらドメネクはそこを最も大切な場所だと考えていたのかもしれません。果たして、それは何なのでしょうか?

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