KIRIN~美の巨人たち~

TVTOKYO:毎週土曜 夜10:00-10:30
BS JAPAN:毎週日曜 夜 7:30 - 8:00

バックナンバー

  • 一枚の絵
  • 取材風景
  • 美術館情報
  • 音楽情報

奥村土牛「醍醐」

春爛漫。今回は、天下一の桜の名画をご紹介します。日本画家・奥村土牛の代表作『醍醐』。京都・醍醐寺にあるしだれ桜を描いた作品です。淡い色彩で描かれた満開の桜が、柔らかな春の光をまとって、静かに咲き誇っています。枝から優雅にしな垂れる花びらは、まるで流れ落ちる滝のよう。まさに春爛漫の艶やかな桜の姿です。しかし、目を引くのは、画面中央に据えられたいかにも古木を思わせる太い幹。桜が主役の絵でありながら、なぜゴツゴツとした幹が絵の中心にあるのでしょうか。

日本画家・奥村土牛は、明治22年に東京・京橋で出版社を経営する一家の長男として生まれました。16歳の時に歴史画家・梶田半古の画塾に入門。そこで生涯の師と出会います。当時、画塾の先輩だった小林古径です。古径は、独特の柔らかく華麗な線描で「線の画家」と呼ばれた日本画の大家です。土牛は、この古径を生涯の師と仰ぎ、彼の下でひたすら修行に励みました。
師から教わったのは一にも二にも「写生」の心でした。いかにして花の命を掴みとるか。いかにしてその気持ちを絵にするか。師の教えのままに一年の大半を写生にだけ費やすこともありました。そんな土牛の努力が実を結んだのは、昭和34年。百数十枚にも及ぶスケッチを重ねた作品『鳴門』で、画家の名は70歳にして一躍、不動のものとなるのです。

それから4年後の昭和38年春。土牛は、奈良で行われた古径の七回忌法要の帰りに京都・醍醐寺に立ち寄りました。そして、あのしだれ桜に出会ったのです。神々しいほどの輝きに満ちた桜の優美な佇まいに、画家は思わず我を忘れて見とれました。古径の導きともいえる出会いに運命を感じ、いつか描きたいと心に決めたのです。

そして、数年の時を経て、土牛が83歳の時に発表したのがこの作品です。土牛がこの絵で辿り着いた一つの境地、それは「色」でした。見事な満開の桜。その花びらはどこまでも淡く、透明な薄紅色をしています。実は土牛、満開の桜を表現するために、花の部分は100回以上も重ね塗りしているというのです。それなのに、土牛の描く桜はなぜこんなにも透明感に溢れているのでしょうか?
さらに、これほどまでに花の色にこだわったにも関わらず、絵の中心に据えられているのは太い幹です。画家は、なぜこんな構図にしたのでしょうか?そこには、土牛のある狙いが隠されていたのです。

PAGETOP

  • 解説
  • 今後の放送予定
  • バックナンバー
  • テーマ曲
  • よくあるご質問
  • ご意見・ご感想
  • TOPへ戻る
書籍販売情報 CD販売情報 ビデオ化待望の第二弾 豪華BOXセット発売中!