KIRIN~美の巨人たち~

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フランク・ロイド・ライト「マリン郡庁舎」

カリフォルニア州マリン郡のサンラフェル。この町の丘陵地帯に、周囲の景色に溶け込むように、限りなく水平に近い姿で巨大な建築物が建てられています。上から眺めると、まるで巨大なブーメランか宇宙船のようなのですが、驚くべきことに実はマリン郡の庁舎なのです。設計者は、20世紀の建築界のスーパースター、フランク・ロイド・ライト。今回は、彼が最晩年の90歳の時に設計したこの貴重な公共建築をご紹介します。

建物のほぼ真ん中にある青い丸屋根の建物から、細長い建物が二手に延びています。右側は郡のオフィスが入っている行政棟、左側は裁判所などが収められた司法棟になっています。全長450mを超えるこの横長の庁舎の中に、保安官事務所や裁判所、税務署や図書館といった施設が集められているのです。庁舎内は、透明なプラスチックの天窓からカリフォルニアの太陽が降り注いでいます。役所の堅い空気を和らげる明るい光と柔らかな造形。ライトは、半世紀以上も前に光と緑に溢れた革新的な公共建築を作り上げていました。

フランク・ロイド・ライトは、ヨーロッパの建築様式が全盛だった時代に、プレーリーハウスと呼ばれるアメリカ独自の住宅スタイルを生み出し、若くして注目を浴びた天才建築家です。しかし、注目を浴びたのはその才能だけではありませんでした。プライベートは常にスキャンダルに満ち、なんと妻と6人の子どもを捨てて施主の妻と駆け落ちをし、アメリカから姿を消してしまったのです。
彼が活路を求めたのは、日本でした。帝国ホテルの建設にあたったライトは、古代と現代、東洋と西洋を融合させた画期的なホテルの建設に情熱を注いだのです。しかし、アメリカに戻ってもライトの人生は好転しませんでした。コルビジェ、ミース、グロピウスらモダニズムの建築家たちが台頭し、“時代遅れの建築家”という致命的な烙印を押されてしまうのです。

しかし、ライトの建築家としてのキャリアはそこで終わりではありませんでした。滝の上にそのまま住宅を乗せるという伝説の傑作『落水荘』を設計して世界中に衝撃を与えると、不屈の男は70歳にして再び世界最高の建築家として復活を果たすのです。
マリン郡から庁舎建設の依頼を受けたのはライトが90歳の時のことでした。建設予定地は、ゆるやかな丘陵地帯。郡の幹部からは、丘を削っても構わないと聞かされていました。しかし、ライトは丘を生かし丘陵に溶け込むように、限りなく水平に近い姿で庁舎を設計します。でも、どうしてこのような形にしたのでしょうか?そこには、ライトが描いた最後の夢が託されていました。

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