KIRIN~美の巨人たち~

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アンドリュー・ワイエス「松ぼっくり男爵」

今日の一枚は、アンドリュー・ワイエスの『松ぼっくり男爵』。縦横80センチ余りの板に描かれたテンペラ画です。描かれているのは、厳しい風雪を避けるために農場の入口に植えられた松並木。赤茶色に染まった枯れ葉が冬の気配を映し出しています。松の太い幹を覆う分厚くかさついた硬い樹皮。地面に落ちた松葉。そこに、松ぼっくりが集められています。その精緻な光と影の描写が生み出す、乾いた手触り。見えるもの全てを記録しようとする驚異の写実は、「マジックリアリズム」と呼ばれるワイエスの世界です。画家が見て、画家が感じたものを全て描き尽くした驚異の写実は、現実の風景を越えて見る者に迫って来ます。でも、ひとつ気になるモノが。なぜそこに・・・ヘルメット?

1917年に米・ペンシルベニア州で生まれたワイエス。父親はアメリカを代表する挿絵画家でした。体の弱かったワイエスは、小学校には行かず父親から絵画の英才教育を受けました。父は息子を愛し、とても心配していました。でもそれは父親の一方的な愛情でした。思春期を迎えたワイエスは、いかに絶対的な父親の影響力から抜け出すか。逃れる術が、周囲の世界への探検でした。ワイエスの家の近くに農場があり、そこでカール・カーナーとアンナ夫婦に出会ったのです。

しかし28歳の時、突然父親を自動車事故で失ってしまったワイエスは激しい後悔に襲われます。なぜなら父の肖像画を一枚も描いたことがなかったからです。そしてワイエスはカール・カーナーに肖像画の制作を申し出るという思いがけない行動に出ます。カールは、父のイメージそのものだったのです。ワイエスはカーナー一家の暮らしの中に深く入りこんでいき、こうして生まれたのが、今日の一枚『松ぼっくり男爵』なのです。

それにしても、ワイエスはなぜこの風景の中に、鉄のヘルメットという異質なモチーフを描いたのでしょう?詰め込まれているのは松ぼっくり!?そこにこの絵の最大の魅力と秘密があったのです。

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