今日の作品は、宮川香山作「渡蟹水盤」。大きな蟹がついた焼き物の水盤です。 |
全身に白い斑点をちりばめた渡り蟹が、鉢の縁に足を絡めています。甲殻類特有の光沢や、その硬さまで伝わってくるようなリアルな質感。わずかなすき間からのぞくのは、もう一つの蟹。じっとこちらを見ています。徹底した写実、その造形の一つ一つが見るものを圧倒します。 |
作者・宮川香山は、明治時代に活躍した陶芸家です。明治9年のフィラデルフィア万博を皮切りに数々の賞を受賞、当時西洋の人々に驚きと賞賛をもって迎えられました。 |
誰も見たことがない新しい焼き物を作ろうと香山が考え出したのが、動植物の焼き物を施すこと。それまで、絵付けや地肌の美しさが魅力であった焼き物の世界に造形という新しい価値観を持ち込んだのです。 |
今日の作品、「渡蟹水盤」は、香山が晩年にもてる技術を全て注いで作った作品でした。胃潰瘍による大量の吐血で、意識不明の重体となり、死の1ヶ月前に体力を振り絞って完成させた作品です。 |
実は香山この35年前に、この「渡蟹水盤」と、うり2つ作品を作っていました。一体何故?この作品に秘められた香山の思いを探ります。
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