2007年9月29日 放送
今日の作品は、関西大学図書館の奥深くに封印されています。展示される機会もほとんどなくめったにお目にかかれない作品です。描かれたのは江戸時代中期・1793年と推測されている、耳鳥斎(にちょうさい)作「別世界巻」。幅は20センチあまり、長さはなんと10メートル以上。そこに21の地獄が描かれています。
『たいこもちの地獄』は、酒席でお客のご機嫌を伺う太鼓持ちたちの末路。地獄でのお客は刀や羽織・・・。猿回しの猿のように鬼に操られ、物言わぬ相手を喜ばせようと必死の舞い踊り。でも、刀や羽織が笑うわけはなく、永遠につづくご機嫌取り。
『たばこ好きの地獄』では、ヘビースモーカーだった男が赤鬼のキセルにされて、口からあれほどすきだった煙を吐き出しています。たばこ入れにされた者もいます。愛煙家を戒める地獄絵です。しかしこの地獄、一見残酷だが鬼にも人にも悲壮感はなく、どこかユーモラス。
描いた耳鳥斎は謎の絵師でした。生まれはおそらく宝暦元年、1751年ごろ。50歳まで生きたといわれています。地獄絵巻を描いたのは晩年のこと。21もの地獄を描いたのは何故だったのだろうか・・・。