パリの夜の顔、モンマルトル界隈の酒場やダンスホールを渡り歩き、放蕩の限りを尽くした画家がいました。
通称「小さな怪物さん」と呼ばれたその画家が、4年間の構想の後に描き上げた作品、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック作『ムーラン街のサロン』。
その作品は南フランスの古都、アルビのトゥールーズ=ロートレック美術館に所蔵されています。かつて司教が使った城館だったこの建物は、1907年に市へ寄贈され、以来、ロートレックの作品が壁を埋め尽くしています。
『ムーラン街のサロン』で描かれているのは、作品全体を取り囲む赤紫とばら色の中で、むせ返るようなおしろいで厚化粧をした女たち。
肌もあらわなドレス、しどけない姿の女たちは、娼婦。赤紫の大きなソファとゴージャスなギリシャ風の柱、そして大きな鏡が外界から完全に孤立させています。
ここは娼婦の店、"娼家"のサロン。物憂げな雰囲気で座る女たち。
何かを訴えかけるようにこちらを見る女のその目は、異様な光を帯びています。そして、半分だけ姿を見せている娼婦は、なぜかスカートを捲り上げたあられもない姿。ロートレックはこの絵で何を訴えていたのでしょうか。

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