ワールドビジネスサテライト(通称WBS)とは?
毎週月〜金 23:00〜23:50  土曜版 毎週土曜日23:00〜23:45  放送中
<はじめに>
 2003年も様々なニュース報道がテレビによって伝えられました。世界の出来事や世の中の動きをリアルタイムで伝えるテレビ。しかし、そのすべてを伝えている訳ではありません。一方、テレビを見る私たち自身にも、ものの見方や価値観が問われている時代です。日々、嵐のように押し寄せるニュースを前に、今その接し方を考えてみる必要があるのではないでしょうか。
 今回は、ニュース番組「ワールドビジネスサテライト」を舞台に、早稲田大学高等学院の生徒さんから頂いた質問などもふまえ、その疑問に答えます(文中【質問】とある部分)。

<ニュースに対しての街頭インタビュー>
Q:「ニュースを見る理由は?」
A:世の中で起こっていることを知りたい
A:身のふり方の指針になる

Q:「ニュースで気になることは?」
A:一方的な意見を取り上げた偏った報道もある
A:司会者は正直に話してくれるので信用している。
A:小泉(首相)さんの悪口ばかりの報道にみえる。
A:新聞や番組によって意見が違うので複数のメディアのチェックが必要

<メディア専門家の2人に聞いたニュースの注意点>
●下村満子 元朝日新聞編集委員

 ジグソーパズルの一部を見せているといえる。あるニュースでは一部分、別のニュースでは別の部分・パーツを見せているだけに、それを見る側は、いろいろな情報を組み合わせて、視聴者は真実を自分で判断するべきである。
●立花隆 ノンフィクション作家・評論家
 テレビは一般の人が考える以上に誤った情報がパッケージされやすい可能性があるメディアである。特に経済番組はそれぞれの思惑が働くので、自然科学の予測のようには成り立たない。見る側もそれを理解するべきである。

<今回の番組のナビゲーターでもある、WBS大浜キャスター>
「なぜアナウンサーは下の原稿を見ないで話せるか知っていますか?」
じつはこれは「プロンプター」という機械のおかげ。手元の原稿がカメラの前に映るシステムなので、下を向かずにカメラに向かって語りかけることができる。
このような素朴な疑問にもお応えします。


<企画コーナー トレンドたまご>
トレタマとは?
 98年4月にスタートし、通算1200回以上放送されているワールド・ビジネス・サテライトの名物企画コーナー「トレンドたまご」。中小企業やベンチャー企業が開発したユニークな新商品を紹介して、「ものづくり」の大切さを視聴者に感じてもらおうというコーナー。(大浜キャスターもトレタマの初代レポーター)トレンドを紹介すると共に、経済番組をもっと視聴者に身近なものにしたいという視点から誕生した。

  担当する野田記者は送られてくる資料やビデオ、E−mailなどから気になったものを電話取材し、取材対象になりうるか内容の確認を行う。その上でコーナーの責任者(デスク)と打ち合わせをする。取材のネタ決めは毎週金曜日。この打合せで、次の週に放送する5回分の候補を決めた。
担当デスク天田:なるべく大企業ではなく、ニュースになりにくい中小企業やベンチャー企業を中心にして商品を選ぶようにしている。マスコミにのりづらい技術や商品にスポットをあてたい。

<ある日の「トレンドたまご」は『ずれないメガネ』>
午後1時
 放送当日に収録をするのが基本。取材先へむかうのは、野田記者・森本アナウンサー・カメラ・音声スタッフ。なるべく視聴者の目で見てもらおうという意図から、レポートする森本アナに知らされているのは『ずれないメガネ』ということだけ。
●野田記者「新商品というだけでなく、作った人の考えや思いを伝えたい。見た人はストレートに反応するので、慎重に、公平に宣伝臭くならないように気をつけている。」
 早速先方との打ち合わせをしたあと、撮影するシーンの構成を考える。彼の場合は絵にしながら整理していた。野田記者が最も悩んだところは、テレビ映像では伝えられない、メガネのかけ心地。やっとすべてのシーンを撮り終えたのは取材が始まってから5時間。

午後6時
 局にもどり、取材してきたテープを見ながら、収録したコメントや映像の内容などを書き出し、ナレーション原稿の作成。2分のコーナーを作るため、ナレーションは短く的確にまとめなければならない。視聴者に伝わりやすいよう、小谷キャスターにもスタジオで実際にかけてもらうことにした。

午後9時
 原稿が出来上がり、そのイメージどおりに映像の編集。

午後9時50分
 森本アナが出来上がった2分の映像にナレーションをつける。

午後11時
 ワールド・ビジネス・サテライトの放送開始。
 野田記者は、テロップなどの最終確認。
 コーナーの放送10分前に完成。
 スタジオでも、小谷キャスターが実際にメガネを掛けその掛け心地を伝える。


【質問】取材が大変ではないでしょうか?
大浜:取材の一つの形、「記者クラブ」を取り上げます。

<殺到する人々・・・これは>
 順番を呼びかける声もむなしく、争うように資料を棚に投げ込む、人また人。その人波を縫うように進む
テレビカメラ?? 実はこれ東京証券取引所、通称東証での一幕。
 兜クラブは東証の中にある記者クラブ。東証に上場している企業に関する情報が集まる拠点。
 加盟しているのは新聞・テレビなどのメディアは合計35社。そのうち常駐しているのは28社。
 記者クラブとは、省庁や都道府県庁、警察署などで取材活動をするための組織。

<決算発表の時期の記者クラブ>
 毎年11月は、中間決算発表のシーズン。記者クラブには、自社の決算発表資料を持って並ぶ人々の姿が。決算発表資料は、兜クラブに置かれているマスコミ各社のボックスに入れていく。決算発表に訪れた企業は270社。棚の反対側では、マスコミ各社が次々と資料を回収していく。取っても取っても溢れるボックス。決算発表資料をすべて手に入れるために、大わらわ。

 テレビ東京の記者として、兜クラブに常駐しているのは金山記者。
 決算集中日には、混雑する兜クラブを取材するため、各局のカメラが入るが、金山記者もワールド・ビジネス・サテライトのための取材に。混雑するイメージを満員電車に例え、カメラマンに指示をしてエレベーター前の混雑を撮影。さらに、場所を変え兜クラブの慌ただしさを表現する。

  金山記者の足元にあるダンボール一箱分をゆうに超える決算発表資料。なかなかもちろん全ての資料を保存しておくことはできない。手放す資料と残す資料、その境界線はどこにあるのか?
●金山記者「ニュースになるかならないか?が基準。例えば今年は「冷夏」だったので、それに影響した企業をのこしています」
 この集中日に投げ込まれた270社の決算発表資料の内、金山記者が手元に残した資料は10社ほど。

<日本銀行の金融記者クラブ>
 銀行決算の日。銀行の業績は日本の景気に大きな影響を与えるため、マスコミの関心も高い。ワールド・ビジネス・サテライトとしても万全の体制で取材に臨む。この日はテレビ東京では、金山記者を含め3人の記者を投入。景気の動向を読む大切な記者会見だが、映像になりにくい経済ニュースにはテレビ的な工夫が必要になる。
●金山記者「記者会見の映像だけでは見てもらえないので、会社の外観やインタビューなどを織り交ぜる。」

 この日の取材は、記者会見と、「ぶら下がり」。
 「ぶら下がり」とは、記者が取材対象を追いかけながら話を聞くことをいい、今回は会見を終えた銀行幹部を追いかける。この日の記者会見をテレビ撮影するのは、記者クラブの取り決めにより代表取材の一社のみ。後に収録した映像は後で各テレビ局に分配される。ぶら下がりを担当するのは浅井記者と塩田記者。出てきた銀行幹部が車に乗り込むまでのわずか数十歩の間に話を聞かねばならない。

●塩田記者:記者会見の内容をメモしながらなにをインタビューするか考えている。大枠は他の記者とすり合せはするが、細かいものは自分でメモしておく。

  浅井記者が、銀行関係者に何か聞いている。どうやらレポートに臨場感を加えるため、大手銀行の頭取社長が、車を降りるタイミングをはかっているようだ。
 車が到着、レポート開始。浅井記者はレポートの秒数をチェック。こうした報道の現場では撮り直しは効かない。車が去った後、映像がうまく撮れたか、すぐに確認します。午後2時から始まった取材。5つの銀行を取材し、すべて終了したのは午後6時すぎ。

  普段は記者クラブにいる金山記者も、銀行決算を大きく取り上げるこの日は、テレビ東京の編集室に入った。浅井記者と内容を打合せし、早速、編集作業に。この日撮影したVTRは実に4時間分。これを4分のニュースにまとめる。その編集のポイントは?
●金山記者:「今回は銀行の決算がよかったということなので、主要な人のコメントからはじめ、まとめた

 この日のワールド・ビジネス・サテライトでは、特別ゲストとして、全国銀行協会の三木繁光会長をよんでいた。このような大物ゲストから直接話を聞きながら番組を進めることは、ニュースをより深めて伝えていく上でも重要。スタジオで使用するデータを確認しながら打ち合わせが進められる。

こうして一つのニュースを送りだしていく記者が、普段のニュースづくりで、心がけていることは?
●金山記者「新聞と違って読み返すことができないので、耳になじみやすい言葉を選ぶようにしている」


≪NY支局≫
 ワールド・ビジネス・サテライトの特徴のひとつが、ニューヨークの市況をいち早く生で伝えるというもの。
 東京が夜9時を迎える頃、ニューヨークは朝の7時。まだ人陰もまばらなこの時間に出社してくるのが、ワールド・ビジネス・サテライトの売りの目玉コーナー、ワールド・マーケットを担当する大信田記者。まずは昨夜のうちに東京へ送っておいた原稿の戻しをチェック。早速、目を通して手直しする。東京とニューヨークで、最新の市況動向についての意見交換と、今日の放送内容について打ち合わせを行う。生中継で使うVTRは、前日のうちにそのとき最も重要な市場関係者にインタビューし、準備しておく。
●大信田記者「インタビューは5分〜20分だが、放送は15秒。長くても1分以上にはならない。いかにその言わんとする中心を取り出すかが大事」

 放送開始から30分。ニューヨークのでは、マーケットが開きます。大信田記者は、早速開いたばかりのマーケットの状況を確認します。そして、急いで中継スタジオへ。一方、東京のスタジオでは、ニュースが放送されていきます。そして、いよいよワールド・マーケットの生中継。

経済ニュースを見る上での注意点とは
●大信田記者「市場にはいろいろな見方があり、テレビでは大半の人の見方を伝えることが多い。しかし、関係者に話を聞くということはそれぞれの立場で『こうなったらいい』と考えている。それを踏まえて話をきかなければならない。

≪放送終了まぎわ≫
 着々と進行する東京のスタジオ。放送終了まであと僅か。その終了間際に速報が入った。
 進行の合間を見てスタジオに入り、速報を進行責任者に伝える。
 限られた放送時間の中で、速報をどう入れていくか、番組進行表を見ながら、打ち合わせ。
 速報を番組の最後に入れ、無事に放送は終了。終了後すぐに始まる反省会。毎日がこの連続。




大浜キャスター「テレビは時間の制約があるのでニュースの全てを伝えているわけではありません。報道しきれないこと、そしてもちろんテレビカメラに映っていないニュースもたくさんあります。その中から真実をどう伝えるか?これが報道に携わる人間に課せられた使命です。今後もご覧になっている皆様に、信頼され、わかりやすい報道を心がけていきたいと思います。」

 
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