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  • 2009年10月23日:「日本の最先端技術(2)長寿大国を支える最先端医療」

(ゲスト)海堂尊(医師・作家)、草野満代

日本人の約3割がガンで死亡しているという。そこでメスを入れず副作用も少なく日帰り可能な、ガンの最先端治療法を紹介。また子供の命を守るために自らの小指を失った女性に密着。ピアノの先生として活躍していた彼女が最新義指によって再びピアノを弾けたり、ガンで顔面を失った男性が最新の施術で顔を取り戻す驚きの技術も!コーナー企画では高齢者が転倒しても安全なエアバックベストや、永久コンタクトレンズなどを紹介する。


「体を切らない・傷つけない ガン治療最前線」

日本人の死因1位と言えば「ガン」。現在男性の2人に1人、女性3人に1人はガンにかかり、国民のおよそ3割の人がこの病気で亡くなっている(国立がんセンター調べ)。ちなみにガンの平均入院日数は24.6日(厚生労働少省 平成17年患者調査より)。「従来は手術・入院が当たり前だったが、最先端ガン治療では、体にメスを入れず、日帰りで治療が可能だ」と、南東北がん陽子線治療センター・センター長、不破信和医師は言う。
福島県・郡山市の南東北がん陽子線治療センターには、ガン治療最新マシーンが。水素の原子核(陽子)を超高速でガンにぶつけることで病巣を破壊する。従来の放射線治療は、ガン周辺の正常な細胞にも影響を及ぼすのに対し、陽子線治療は正常な細胞をほとんど傷つけずにガンだけに狙いを定めて照射できるため、副作用も極力抑えることができるという。患者は自分の形に合わせて作られたプラスチックの固定具を装着。ガンの治療だというのに麻酔もせず、ただ横になっているだけでいいという。治療室には患者と巨大な装置のみで、医師もいなく、なんと治療時間は個人差はあるがわずか数分。しかし、陽子線治療が受けられる施設は全国で7箇所しかなく、治療マシーンは1箇所につき70億円かかる。また、陽子線治療は12cm以下のガンを退治するには力を発揮するが、広範囲に広がったガンは治療できない。また保険適用外のため、1つの患部につき約300万円と高額だ。全てに万能とは言わないが、陽子線治療が広がれば仕事を休まず、日帰りで治療をする人も増えるだろう。
さらに、これまでのガン治療といえば、(1)「手術」、(2)「抗がん剤治療」、(3)「放射線治療」だったが、「第4の治療法」があるという。人間の体の中にある“樹状細胞”などを利用した画期的な治療法、「免疫細胞治療」だ。樹状細胞とは、体に有害な物質を排除するリンパ球に有害物質(ガン)攻撃の指示を出す細胞。まずは採血によって樹状細胞を取り出す。続いて、樹状細胞に患者のガンの特徴を覚え込ませる。ガンについて学習させた樹状細胞と、攻撃役であるリンパ球を大量に培養して体に戻すことでガンを攻撃するという仕組みだ。自分の細胞を使っているためほとんど副作用がなく、しかも、個人差はあるが、他の治療法と違って体中に転移している広範囲のガンにも効果があるという。外来通院ができるのがこの治療法のメリットだが、この治療法も保険適用外のため、費用は1回20万円~30万円、平均6~7回の治療が必要となり高額だ。とはいえ、体を切らず副作用もない、「免疫細胞治療」と「陽子線治療」は新たな可能性を示唆している。

「生かすから生きるへ サポート医療技術最前線」

医療の世界では、患者の人生をサポートする技術が急成長を遂げている。
車の事故で小指を切断。搬送先の病院で縫合できるといわれたが、妊娠中ということで全身麻酔ができなく使えない薬もあり、結果、小指を取るか子供を取るかという選択を迫られたAさん。実は彼女はピアノの先生。30年続けたピアノを取るか、お腹の小さな命を守るかという決断を迫られ、小指を諦めることに。「もう一度、ピアノを弾きたい!」、その夢を叶えてくれたのが、アメリカ・フロリダ州のダン・ディッドリック氏が開発した最新義指「X-Finger」。従来の義指は見た目が重視され、指を曲げるなどの機能性は二の次にされていた。しかし、X-Fingerは、今まで不可能と言われていた義指だけを独立して動かすことに成功。失われた指の残った部分を曲げると、わずかな筋肉の動きをX-Fingerが感じ取り、てこの原理を利用して関節が動く。だから義指にも力が入るというもの。事故から3年―。AさんがいよいよX-Fingerを付ける。3年ぶりの感触を取り戻す瞬間…。
他にも、劇的なサポート医療がある。顔にガンが広がり、20時間の大手術を受け一命は取り止めたが、右目を含む右側の広範囲の顔面をくりぬくように切除することを余儀なくされた58歳のBさん(男性)。周囲の視線が気になり、家に引きこもりがちになったという。そんなBさんを救ったのが「エピテーゼ」と呼ばれる最先端サポート医療技術。体の表面に取り付けるもの、欠損部を補うものを総称して“エピテーゼ”というのだが、エピテーゼは、乳ガンになった女性の乳房を取り戻すケースによく使用される。
Bさんの場合、欠損した鼻・上あごを人工的に作ることで、噛んだりしゃべったりという日常生活に必要不可欠な機能も回復させる。続いて、患部の型を取り、本人や家族の意見を聞きながら失った部分をより忠実に復元する。次に、透明なシリコンに患者の肌の色に合わせた染料を調合し、ベースを作る。それを石膏の型に流し込み、熱すること4時間、シリコンが固まり型が完成。そして、眉毛やまつげを一本一本植え込むなど顔の細かいディテールを整えていく。こうして4日かけ出来上がったエピテーゼを装着。Bさんは見事に顔を取り戻した。
患者が不自由に思うことを出来る限り改善し、その生活の質を向上させるサポート医療技術。生かすから生きるへ、医療は更なる発展を遂げている。

「長寿長命社会を支える最先端技術」

治療法やサポート技術が進化を遂げる一方、病気を未然に防ぐ分野にも力が注がれている。さらに、高齢化社会を迎える今、驚きの最新アイテムが。
(1) 家族全員の健康状態のデータを一箇所で行えるトイレ。トイレに入ると体重計があり、体重と体脂肪率を測定でき、便器には尿センサーが付いており、センサーが尿を感知することで「尿糖値」「基礎体温」を測定できる。血圧を測ることも可能。測定したデータはトイレ内と、パソコン上でも確認でき、家族の日々の体調が迅速につかめる。
(2)ストレスなく起床でき、体に負担を掛けないベッド(寝室)。朝起きる時間に目覚ましをセットすると、照明がおよそ30分かけて朝日が昇るように部屋全体を明るくし、時間になると自動的にベッドが起き上がる。体に余計なストレスを掛けずに起きることが出来るというもの。足腰の弱い高齢者の負担を軽減すると共に、寝過ごす心配のない万能ベッドだ。
(3)手を使わず、脳波で動かすことができる最新の車椅子も。「歩く」「右手を上げる」「左手を上げる」の動作を思い浮かべた際の脳波の違いを検出し、車イスを動かすというもの。


【太一のミカタ】

(1)エアバッグベスト
高齢者が転倒した際に、骨折などの怪我を防ぐために作られたモノで、人間が倒れる速度や傾斜角度を感知して自動的に両脇の内側に装備されたボンベが吹き出し、収納されているエアバッグが開き、頭部と臀部を守るという仕組み。

(2)永久コンタクトレンズ
永久に付けられるコンタクトレンズ。レーザーを使って虹彩に穴を開ける。そして白目部分を切開、レンズを挿入。レンズ固定後、切開部の縫合をするというもの。
※角膜が薄い人、特に強度の強い近視の人は角膜を削るため通常のレーシック手術を受けられないことがある。だが、永久コンタクトレンズは角膜を全く削らない。

(3)泳ぐ胃カメラ
現在、保険適用されているカプセル内視鏡は、任意の場所の観察は難しいとされている。この泳ぐ胃カメラは、磁場の力を利用してジョイスティックで自在に動かすことのできる自走式カプセル内視鏡。錠剤タイプのカプセル内視鏡を飲み込むだけで、内蔵した超小型カメラにより消化管の内部を撮影し、その映像を体外に無線送信できるので患者の苦痛を伴わない。

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