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ニュースを詳しく解説する「フカヨミ」コーナー。今回はセブン&アイ・ホールディングスの決算について、日本経済新聞の田中陽編集委員に聞きました。
▼ニュースの骨子
セブン&アイ・ホールディングスが4月5日に発表した2018年2月期の連結決算は、最終的なもうけを示す純利益が前の期比87%増の1811億円だった。4期ぶりの増益で14年2月期(1756億円)を上回り、最高益を更新した。
田中編集委員の解説要旨は以下の通りです。
コンビニの収益も頭打ちに
「2年前に経営陣が交代したが、それから2期連続で当初の予想を上回る決算となった。『井阪体制』の頑張りが、数字に表れたと評価していい。ただ、好調で利益率の高いコンビニ事業も市場の競争が激化しており平均日販は減少している。生活スタイルの変化とともに売れ筋商品が大きく変わってきていて、例えば、この10年で冷凍食品は4.7倍、おでんなどカウンター商品は2.5倍になった一方、酒類は23%減、雑誌類は57%減となった。売れ筋に応じた店舗レイアウトの見直しなどで、日販の頭打ちを打破しようとしている」
「人手不足で賃金の上昇も招いているが、他業界に比べれば影響は小さいとみている。コンビニは海外からの留学生のアルバイト先として人気。商品の変化で四季を学べ、接客で日本語を学べるからだという」
前門のアマゾン、後門のドンキ
「コンビニ事業以外に大きな課題がある。一つはネット事業。アマゾンに比べれば出遅れ感が否めない。苦戦が続く総合スーパー事業には大きな危機感がある。ドン・キホーテの直営部門の売上高が今年、イトーヨーカドーの直営部門を抜く可能性が出てきたからだ。前門のアマゾン、後門のドンキ、という様相になっている」