• #
  • トップ
  • ビジネス
  • 「テレ東は"テレビ番外地"と呼ばれていた?」『テレ東のつくり...

ビジネス

テレ東

2018.9.11

「テレ東は”テレビ番外地”と呼ばれていた?」『テレ東のつくり方』著者が語る”経済3番組”制作秘話

kanburia_okubo_20180911_01.jpg


テレ東"経済3番組"と呼ばれる「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)、「カンブリア宮殿」(毎週木曜夜10時)、「未来世紀ジパング」(毎週水曜夜10時)。その3番組すべてに携わり、今年6月には、著書『テレ東のつくり方』(日本経済新聞出版社)を出版し、話題となっているテレビ東京報道局 大久保直和チーフプロデューサーを直撃取材! 著書の見どころや制作秘話を、前編に続きお届けします。


――著書『テレ東のつくり方』は、「民放取材車の中にテレ東の記者の席がなかった!」など、ちょっぴり自虐的な記者時代の苦労から、経済3番組の立ち上げ秘話、「カンブリア宮殿」における村上龍さんの裏話まで、ここでしか読むことができないエピソードが盛りだくさんですね。


「"テレ東はテレビ番外地(笑)"などと言われながらも地道にやってきた結果、テレ東流の番組作りが注目してもらえるようになりました。そんな経験のひとつひとつが、少しでも読んでくれる方の励みになってくれればいいなと思います。チーフプロデューサーというと、よく偉そうに見られますが、頭を振り絞ってギリギリのところで作り出していく過程は、どんな仕事でも一緒。それがたまに感動や高評価を得たりしますが、天才なんてそうはいないし、何事も"日頃の地道な努力による紙一重の差の勝負"だと思っています。また、前編でも述べましたが、『カンブリア宮殿』の村上龍さんは、『日本の学校では、話の"聞き方"を教育していない』が持論で、『聞く力は大事』と常日頃おっしゃられています。本を読んで頂ければ、村上さんの"聞くこと"に対する考え方が理解できると思いますので、そんな部分からも、皆さんに何か感じてもらえたら嬉しいですね」


kanburia_okubo_20180911_02.jpg


――現在は、4月からレギュラー放送となった「日曜ゴールデンの池上ワールド 池上彰の現代史を歩く」(日曜夜放送)を担当されていますが、番組の見どころを聞かせて下さい。


「この番組は、報道局の上司が池上彰さんとともに立ち上げた番組ですが、僕は最初、"本当に大丈夫かな?"と思ったんですよ(笑)。というのも、ベトナム戦争やポル・ポト大虐殺、ベルリンの壁といった題材は意義はあるけれど、一般的な日本人にしてみれば、今となっては遠い話じゃないかと...。ですが、いざふたを開けてみると、ベトナム戦争の回は高視聴率。今は"意外とイケそうだな"と手応えを感じてきたところです。40代以上の人は何となくは知っているけど、ここまで詳しいことは知らなかったようで、周囲からも好意的な感想を聞くことができました」


――どういうところが、視聴者の関心をひきつけていると思いますか?


「現代史というのは、子どもの頃に何となく聞いていたけどスルーしてきた部分で、そこを立ち止まってきちんとやっているのが良いのかなと思います。池上さんは、『学校で教える歴史というのは、縄文時代から始まって第二次世界大戦までで終わってしまう。だけどその後が一番大事』と現代史をやる意義を唱えていらっしゃいます。この先も、"何で今これを取り上げるんだろう"という題材が出てくるとは思いますが、案外日本が関わっていることが多くあります。例えば、9月16日(日)にオンエアするカンボジアのポル・ポト大虐殺は、何百万人もが虐殺されるという壮絶な出来事があったわけですよね。僕自身、中学生の頃『キリング・フィールド』という映画を見てすごく衝撃を受けて...。その後、新生カンボジアを作っていくのに、日本は非常に大きく関わっていた。当時現地の国連トップは明石康さんという日本人でしたし、大勢の日本人ボランティアが活躍しました。中田厚仁さんが現地で犠牲になってしまいましたが、彼は、今では当たり前になっている日本人の国際貢献の原点みたいな人です。そして何より、海外に自衛隊を初めて派遣したのがこの時で、今の憲法改正論議の起点にもなっている。それが良かったのか悪かったのかはわかりませんが、もしかしたらポル・ポトがいなければ、日本はこうならなかったかもしれない...。だからこそ、日本人が知っておいた方がいいと思います。そう考えると、現代史の中には、伝えるべき題材がまだまだたくさんあるなと感じています」


――30代以下の若い世代にも見てほしいと...?


「実は先日、美容室に髪を切りに行ったら、たまたま美容師の女の子が"カンボジアに旅行に行ってアンコールワットを見てきた"と言うんですよ。"ポル・ポトで大変だったところだ"と話したら、全く知らない。"もったいないな"と思いました。この放送を見てから行ったら、同じものを見ても、絶対に感じ方が違ったはずなんです。特にこれから世界で活躍する機会が増える若い人たちには、内向きにならず、海外に目を向けてほしいですね。最近、アメリカをはじめ世界が激動していますが、そういう流れを素早く察知するためにも、"現代史の知識は欠かせない"と思います」


現在、無料見逃し配信サービス「ネットもテレ東」では、大久保CPが厳選した「カンブリア宮殿」3作品を、「傑作選」と題して配信中。各回の制作秘話を聞きました。


【傑作選】
9月30日(日)23時59分まで配信中。
「石坂産業社長 石坂典子」(16年7月28日 OA) ※『テレ東のつくり方』で紹介
「アイリスオーヤマ社長 大山健太郎」(18年6月21日OA)
「高倉町珈琲会長 横川竟」(18年5月17日OA)


――「ネットもテレ東」で、「カンブリア宮殿 傑作選」を配信中です。今回選ばれた3作品について、その見どころを聞かせて下さい。


●2016年7月28日放送「産廃業からリサイクル企業へ大変身!~絶体絶命から会社を変えた2代目女社長の格闘記~」石坂産業社長 石坂典子


kanburia_okubo_20180911_03.jpg


「『石坂産業』は、僕が初めてこの番組に携わった回です。村上龍さんは、毎回事前に調べ上げた"龍さんメモ"を制作スタッフにメールしていて、たしかあの時は、4900字くらいあったのかな? 村上さんの用意周到さに驚かされた意味でも印象深い回です。同社は、石坂典子さんという女性社長が経営している産廃業者。かつて、ダイオキシン報道があり、結果的には誤報でしたが、埼玉県の産廃業者が散々叩かれた事件があったんですね。そんな中、石坂さんは、お父様から会社を引継ぎ、真逆のイメージの環境企業として成功していました。前編で紹介した『一澤信三郎帆布』もそうですが、ニュースになった企業が、ある期間を経てどう変貌したのかを追うのも、『カンブリア宮殿』の面白い視点の一つでしょう」


●2018年6月21日放送「新家電戦争の大本命!"なるほど&低価格" アイリス流モノづくり」
アイリスオーヤマ社長 大山健太郎


kanburia_okubo_20180911_04.jpg


●2018年5月17日「最高の居心地で"珈琲店戦争"に殴り込み 外食レジェンド80歳の再チャレンジ!」高倉町珈琲会長 横川竟


kanburia_okubo_20180911_05.jpg


――「アイリスオーヤマ」と「高倉町珈琲」には共通点があるそうですね。


「この2社は大山健太郎さんと横川竟さんという2人の社長が秀逸で、村上さんがすごく共鳴していたのが印象的でした。どちらも叩き上げで働き続け、自分で会社を創業してやりたいことを実現してきたから、語る言葉がすごいんですよ。出てくる言葉が、どれもこれも"金言"。村上さんも『あの2人でスペシャルをやるか、インタビュー本を出そうよ』とおっしゃるほどで...。大山さんは大阪から宮城に拠点を移さざるを得なかったし、横川さんは自ら創業した"すかいらーく"を解任されている。どちらも大きな挫折を味わっているけれど、そこに触れられてもちっとも気にしない。そういう"吹っ切れてからの人生"こそが面白いのだと思います」


タイムリーな企業を取り上げるのはもちろんのこと、村上龍さんによる"聞く力"のスゴさが体感できる「カンブリア宮殿」。いろいろな角度から取材相手を研究し尽くしているからこそ、本音を引き出すことに成功している"村上さんの華麗なるトーク術"をぜひこの機会に! 「カンブリア宮殿 傑作選」は、「ネットもテレ東」で配信中です。


大久保 直和
テレビ東京報道局報道番組センター チーフプロデューサー
1968年生まれ。91年テレビ東京入社。92年より報道局勤務、政治部で宮沢喜一首相、加藤紘一氏等の番記者を務め、97年北京支局長。2002年「ガイアの夜明け」ディレクター、09年同チーフプロデューサー(CP)、11年「未来世紀ジパング」CP、16年より「カンブリア宮殿」CPを担当。現在は、「日曜ゴールデン 池上彰の現代史を歩く」チーフプロデューサーも担当。著書に「テレ東のつくり方」(日本経済新聞出版社)がある。


●9月16日(日)夜7時54分~は、「日曜ゴールデンの池上ワールド 池上彰の世界を歩く カンボジア秘境&独裁者」を放送。


kanburia_okubo_20180911_06.jpg


池上彰が、宮崎美子、相内優香(テレビ東京アナウンサー)とともにカンボジアへ。世界遺産、アンコール・ワットがあり、世界中から観光客が押し寄せるカンボジアの今を、謎の独裁者ポル・ポトの人生を通して読み解く。ポル・ポト政権下で父と兄を亡くした男性が語る悲劇とは!? 「地雷を踏んだらサヨウナラ」一通の手紙を残し、単身アンコール・ワットに潜入し消息を絶った日本人報道写真家の足跡をたどる。プレゼントが当たる「池上彰の現代史クイズ」も必見!

この記事を共有する

関連記事

関連タグ

カテゴリ一覧