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テレ東

2018.9.13

日本発「自動で洗濯物折り畳む家電=ランドロイド」はどのように作られ、これから進化していくのか?

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世界初の衣類折りたたみ家電として2015年に発表されて以来、世界中で反響を呼んでいる「laundroid(ランドロイド)」。


当初2017年度の出荷を予定していた同製品ですが、さらなる改良の必要が生まれたとのことで1年間延期。2018年度内の出荷を目指し現在量産に向けて体制を増強して仕事を進めていると言います。


今回は開発元であるセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの代表取締役社長である阪根信一氏に、ランドロイドの開発秘話と出荷に向けて改良を重ねている現在の進捗状況、そして今後のランドロイドの展開についてお話を伺いました。


技術者に「バカですか?」と言われた、誰もが求めていたイノベーション


──まずランドロイドという世界初の衣類折りたたみ家電を作るに至った経緯を教えていただけますか?


話は2003年に遡るのですが、当時「一般消費者向けの人々の生活が豊かになるイノベーティブな製品を作りたい」と思い、どのような製品が良いのかずっと考えていたんです。しかし今の時代、どのようなアイディアを思いついても、調べてみると大抵のものはすでに世界中で誰かが先に手をつけているんです。それで2005年頃までこれといったものを閃くことができず「どうしてだろう?」と考えてみると、アイディア出しをしていたのがみんな男性だということに気付きました。


──製品開発においてよく聞くエピソードですね。


はい、研究開発型の企業というのはいまだに男社会ですので、どうしてもアイディアが被ってしまいがちです。そこで家に帰って妻に「技術的に難しそうだけど、あったらいいのに」と思うものはないかと聞いてみたんです。すると「洗濯物を自動でたためるロボットがあったら欲しいわ」と。


──家事をしたことがある人にとっては夢ですよね。


そのときは「なるほど」と思ったのですが、それでも誰かがやっているだろうと思いながら調べてみると、誰もやっていなかったんです。


──誰もが思いつきそうなことではあるけれど、実は誰もやっていなかった、と。


そうなんです。


──2005年にランドロイドのアイディアができて、そこからすでに12年以上経っているわけですが、実際の開発はどこから着手したのでしょうか?


まずは若くて元気のいい技術者を3人ほど集めました。新しいことへの挑戦意欲があるメンバーだったのですが「洗濯物を折りたたむ家電を作るぞ」と言ったら「バカですか?」と言われ、彼らを説得することから始めましたね(笑)


──(笑)でも、それって誰もやっていないアイディアだからこその反応かもしれませんね。


当時からすでに洗濯物を折りたたむにはカメラとロボット技術と人工知能だと思っていたので、まずはCCDカメラを買ってきて、PCに繋いで、でもどう制御すればいいか分からないからそこから勉強を始めました。技術者とはいえ専門外でしたので(笑)


──完成イメージがあって、それを実現するために研究からスタートする。まさに「研究開発」ですね。


そうなんです。最初から洗濯乾燥機と一体化した「ランドロイド・オールインワン」をやりたいというイメージがありました。下段に洗濯乾燥機があって、洗濯物が上の棚に折りたたまれて出てくるイメージです。どうすればそれが実現できるのかハッキリとは分かっていなかったのですが、そこに近づくために研究と開発を重ねましたね。


開発に10年以上。迷走を救ったのは技術の進歩ではなく「アイディア」だった


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──ランドロイドの機能の中で一番苦労されたポイントはどこでしょうか?


「ランダムに放り込んだ衣類を折りたたむ」というところですね。当初、技術者にとってイメージが湧きやすいように、折りたたみ部分の機構に特化してスタートしていたのですが、それが開発スタートから3年後の2008年にある程度できたんですよ。所定の場所に衣類を置けばアームが自動でたたんでくれるという機械が。


──折りたたみ機能は10年前にできていたのですね。


それで技術者は「できました。製品化しましょう」って言うんですけど、指定された場所に衣類を置かないといけないんですね。「ここに置く手間をかけるなら、あとは自分で畳めばいいじゃん」って(笑)


──確かに(笑)


「たたむところは自動化してますから」って言うんですけど「絶対にそんなの売れないよ」と。


──(笑)


でも、そこから先が迷走の始まりでした。ランダムに放り込んだ洗濯物から一枚つまむことはできるんですけど、それをどんな衣服かを認識することができないんですよ。全てが止まりましたね。


──それはどのように解決されたのでしょうか?


最初に集めた3人の技術者のうち2人は途中で辞めちゃったんですけど、今でも一緒に頑張ってくれている1人が解決策を思いついてくれました。2008年から始まった迷走が、2012年頃にようやくブレイクスルーしたんです。


──技術の進歩によって解決されたわけではなく、ひらめきがブレイクスルーだったということでしょうか?


そうです。ひらめきですね。2012年に一番大きな問題が解決し、2014年のGWには最初のプロトタイプが完成しました。当時はTシャツしか畳むことはできなかったんですけど「やっとできたぞ」と手応えを感じ、そこから家電メーカーやハウスメーカーにアプローチをかけ、パナソニックさんと大和ハウス工業さんとパートナーシップ契約を取り付け、1年半後の「CEATEC JAPAN 2015」(アジア最大級の最先端IT・エレクトロニクス総合展)にて発表することができました。


ランドロイドが「未来の家」を作るかもしれない


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──そうしてできたランドロイドは家電らしくないデザインが特徴的です。このデザインについて教えていただけますか?


洗濯乾燥機との一体型ですとサニタリールームに置くことができるのですが、今はそうではないので置き場所の問題があります。リビングなどどうしても人目につく場所に置くことになるでしょうし、大きい製品です。そこで「白物家電でも黒物家電でもないインテリアに溶け込むもの」というコンセプトを立てました。そして本物の素材を使ったリアル感ですね。


──ウッドが上質な雰囲気を醸しているのと同時に、やはり鏡面仕上げのパネル部分が印象的です。


デザイン案をいくつも出す中で、ミラーモデルが圧倒的に主婦層に人気が高かったんです。うちの妻からは「マグネットで紙を貼れないのか?」と言われたんですけど、「頼むからランドロイドを冷蔵庫みたいにするのはやめてくれ」と(笑)


──(笑)大きめのクローゼットのようなサイズ感についてはどのような理由があるのでしょうか?


家電としては高すぎて圧迫感があるんですけど、これには理由があるんです。まず横幅はバスタオルを広げるための幅で、高さは2Lや3Lの男性用のズボンを畳むため。そして奥行きはカメラの視野です。


──機能から逆算すると必要なサイズなのですね。


そうなんです。ほとんどが空洞なんですけど、どうしても畳むスペースが必要になってしまいます。可視化されていないだけで、人間が洗濯物をたたむときもかなりの空間を使っていて、それと同じだけの空間が必要になるんです。ですので、今後ランドロイドのミニサイズを作るとしたら、2L以上のズボン不可、バスタオル不可などの制限が必要になってくる見込みです。


──また「Wi-Fi接続」が必須条件と設定されている点が気になりましたが。


これにははまずソフトウェアが定期的にアップグレードされることで、たたむスピードや精度が上がっていくというユーザーメリットがあります。それと同時にランドロイドは一枚の衣類をたたむのにだいたい30回くらい計算しているのですが、その一部の計算をサーバー側で行なっているんです。そのために通信しながら動作するというかたちとなっています。


──また当初は2017年度出荷予定だったところを、ごわごわした衣類が苦手だということが発覚して2018年度に延期されたそうですが進捗状況はいかがでしょうか?


ごわごわしたジーンズのような衣類や、機能性インナーのような素材が苦手だということがデータ上発覚し、そこからハードウェアのレベルを2ランクほど上げることに決定し、その結果1年ほどお待たせしてしまうことになりました。ギリギリの進行ではありますが、今のところオンタイムで改良は進んでおります。185万円~(予定)という価格帯も守りながら、予定通り2018年度内に出荷できるよう進行しておりますのでご期待ください。


──最後に、今後のランドロイド展開のイメージを教えていただけますか?


最初のランドロイドが出た後は、当初理想としていた洗濯乾燥機と一体化した「ランドロイド・オールインワン」を作る開発ラインと、小型低価格版である「ランドロイド・ミニ」の開発ラインをスタートしようと思っています。そして、その先には大和ハウス工業さんとのパートナーシップによる「ランドロイド・ホームビルトイン」という、家に埋め込まれたモデルを進めていく予定です。洗濯して、乾燥して、家族ごとに仕分けてたたんで、各部屋のクローゼットに自動搬送していくようなスマートハウスです。ぜひご期待ください。


ランドロイド公式サイト

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