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2018.7.4

日本を知る、地域を考える@愛知県豊橋市:人と人とのつながりが強まれば、可能性が広がっていく...新しい訪問美容サービス~前編

日本を知る、地域を考える@愛知県豊橋市【テレ東プラス】

日本を知る、地域を考える@愛知県豊橋市:人と人とのつながりが強まれば、可能性が広がっていく…新しい訪問美容サービス~

日本全体を活性化するための不可欠な要素、それが「地方創生」。2014年11月、第二次安部改造内閣発足の日に設置された「まち・ひと・しごと創生本部」は、東京圏への人口集中を是正し、地方の人口減少を食い止め、日本全体を活性化するために設置されたが、地方創生の真の主役はまさにいま、地方で様々な取り組みや事業を展開する"先駆者"や"成功者"だ。本企画では、「地方創生」の現場で活躍する人々に、各地域の魅力や問題点、そして将来の展望、地方創生の未来を聞く。



ゆるやかに人口減少が進行中の豊橋市


今回訪れたのは愛知県南東部。渥美半島の付け根部分に広がる豊橋平野に市街地域を擁する豊橋市だ。市の中心部に東海道が伸び、江戸時代には吉田藩の城下町、吉田宿の宿場町として、また豊川を利用した水運で栄えていた。


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新幹線を降りて駅前広場に立つと、広々とした駅前大通を走る路面電車が目に入る。それに乗って向かうは吉田城址。いまは豊橋公園として整備されており、鉄櫓の内部は一般公開されている。


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市街地まで足を伸ばすと、キャベツや白菜などの野菜畑が広がる。戦前は製紙・紡績業が盛んだった豊橋市だが、戦後は葉物野菜を中心にした農業が主軸になり、1970年代から30年間、農業粗生産額で全国第1位を維持していた。また、豊橋を中心とした三河港は国際貿易港であり、同じ県内のトヨタ自動車はもとより、海外からの自動車の輸出入も三河港で行われる。


では人口はどうだろうか。愛知県内では名古屋市が229万5638人で最も多く、豊田市42万2542人、岡崎市38万1051人、一宮市38万868人、そして第5位に位置するのが豊橋市で37万4765人。(※1)
名古屋市は別格としても、豊田、岡崎、一宮と比較的に近い数値だが、注目したいのは人口増減率だ。名古屋を筆頭に上位4つの市は平成22年から平成27年まで人口が増加しているが、豊橋市は減少。減少率としてはまださほど大きくはないが、平成21年(2009年)を境に始まった豊橋市の人口減少は、今後も進行していくと推察されている。(※2)


つまり、豊橋市はいま、「地方創生」を必要としているということ。
そんな豊橋市で地元を愛し、斬新なコンセプトで事業をスタートさせた人物に会いに行こう。



愛知県豊橋市で出会った車夫の正体は?


まずは下の画像を見てほしい。
鬱蒼とした竹林の中、人力車と女性のそばに立つ車夫姿の男性の職業は何か、お分かりになるだろうか。


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正解は美容師。
今回の「日本を知る、地域を考える」でお話をうかがったのは、この画像で笑顔を見せる美容師、エリック・バリオスさんだ。
2016年11月に訪問美容サービスの『美右衛門(びえもん)』を立ちあげ、代表としても活躍するバリオスさん。『美右衛門』の公式サイトでは、車夫姿で髪をカットするイメージムービーも流れる。


なぜ訪問理美容サービスで人力車なのかも気になるところだが、その答えの前にまずは訪問理美容サービスとはどういうものかを把握しておこう。



全国的にもニーズが高まる訪問理美容サービス


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一般社団法人日本訪問理美容推進協会の定義によると、


「訪問美容サービスとは、疾病・怪我・精神疾病・ご高齢・妊娠中など、1人での外出が困難な人達、または、ご家族の介護や乳幼児の育児から目を離せず、家を離れる事でご家族の安全が保てなくなる為、外出できない人達が使えるサービス」とある。


つまり、理美容師が病院などの医療機関や介護施設、自宅などを訪問し、ヘアサロンや理容室と同様にカットやカラーリング、パーマなどの施術を提供するもの。さまざまな人が対象ではあるが、高齢化の進む日本においてますますニーズが高まる業種であるのは間違いないだろう。内閣府発表の『平成29年版高齢社会白書』(※3)によれば、平成28(2016)年10月1日時点で、65歳以上の高齢者人口は3,459万人。2065年には、約2.6人に1人が65歳以上、約4人に1人が75歳以上となる見込みだ。


こうした中で厚生労働省は2025年を目途に、「高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進」している。(※4)
今回紹介する訪問理美容サービスも、この地域包括ケアシステムの一環として担う役割は大きくなっていくだろう。



誰もが同じように受けられると思っていた美容サービスの盲点


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バリオスさんの話に戻ろう。


バリオスさんは、日本人の父親とボリビア人の母親の間に生まれ、3歳までボリビアで過ごした。その後を日本の神奈川県や豊橋市で過ごし、美容師の道へ。
転機は数年前。当時、ヘアスタイリングの大会などでの受賞経験も重ね、順調にスタイリストとしてのキャリアを積んでいたバリオスさんだが、常連客のひと言が胸に刺さった。

「よく担当させてもらっていたお客様がある時、言ったんです。うちにいる親の髪も切ってほしいなあって」(バリオスさん)


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ヘアサロンに来られない事情を抱えた人がいることに、バリオスさんはその時、初めて気づいたのだという。
それから彼は病院や介護施設に勤務する人たちから積極的に話を聞き、美容サービスが入院や介護・介助が必要な人たちにとってどれだけ敷居の高いものか...そして訪問美容の残念な実情を知ることとなる。


利用者サイドからは「変な髪形にされた」「こんな髪型じゃ恥ずかしい」といった不満の声があがり、病院・施設側では「これくらいなら私にも切れる」「髪を切っている間、担当者が無愛想」など、どちらも満足のサービスとは程遠いものばかり。
医療・介護の現場では本人の好みや希望は後回しにされ、美容"サービス"ではなく、効率的な"作業"になりがちだというのだ。


話を聞くほどに「いてもたってもいられなくなっちゃって」と、自ら訪問美容サービスに取り組む決意をしたバリオスさん。
2015年の夏過ぎから、ある訪問美容サービスのもとで勉強を開始。約1年間、現場を体験した後、2016年11月に愛知県全域を訪問エリアとする『美右衛門』を立ち上げた。


「何歳になっても、どんな問題を抱えていても、美しくありたいというお気持ちをサポートしていきたい。どのような場所でも、お客様のご希望通りのヘアースタイルをご提案し、技術提供していきたい」


創業時の思いを、彼は公式サイトにこう記している。


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不自由を感じている人に、「旅」で自由を届ける


熱い思いを抱きバリオスさんが始めた『美右衛門』は、従来の訪問理美容サービスにはなかった斬新なコンセプトがある。
冒頭に紹介した「人力車と車夫」のイメージから連想させる"旅"の高揚感だ。


「人力車に乗った瞬間、"今から旅が始まる"という高揚感や、なんだかどこまででも走っていけそう、なんて解放感を感じませんか。日常生活に不自由さを感じている人にこそ、そんな高揚感、解放感を感じてほしいんです」(バリオスさん)


人力車を車椅子に、車夫を美容師に置き換え、美容サービスをひとつの旅として提供するというコンセプトが生まれた。
訪問時には美容師が車夫スタイルに変身。人力車風に改造した車椅子にはオーガニック素材のシャンプーやスタイリング材が積まれている。施術中はリラックスできるようオールドジャズ、クラシックなどのBGMを流し、季節に合わせたアロマの香りで癒しの空間を演出するなど、細部にまでこだわりが詰まっている。


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もちろん、本筋である技術面に妥協はない。
客のリクエストにきちんと対応することができるのも、経験豊富なヘアスタイリストがいる『美右衛門』の特徴のひとつ。
移動式のシャンプー台を採用して、施設や自宅では難しかったシャンプーやパーマ、カラーリングなども可能になった。この移動式シャンプー台は仰向け、前かがみ、どちらの体制でも対応でき、妊娠中の女性や体を動かしづらい人でも、気軽に施術が受けられるのだ。


スタッフは全員「美容福祉士」の資格を取得。ヘルパー3級と同様の技術・知識を持ち、適切な声かけやコミュニケーションのとり方、気をつけるべき体の状態や体位の変換など、さまざまなスキルをマスターすることで万全を期した。車椅子を必要とする人はもちろん、寝たきり状態の人も安心してサービスを受けられる。


万が一の場合に備え、損害保険(共栄火災)にも加入。感染症対策や衛生管理体制の強化にも取り組んでいる。



「無理せず、また呼んで」キャンセル料不要のポリシー


『美右衛門』では、キャンセル料は一切不要にしている。一般的な訪問美容サービスでは、当日はもちろん、数日前でもキャンセル料が発生するケースは珍しくない。


「病気だったり、高齢だったりという方々は、突然体調が悪くなるというのはもう仕方ないことなんですよね。そういう人たちからキャンセル料をいただいてしまうと、気軽に僕らを呼んでもらえなくなってしまう。
ですから、"体調が悪くなったらキャンセルするのは当たり前。無理はしないで、また呼んでください"とお伝えしています」(バリオスさん)


「ご高齢の方って遠慮深いというか、気兼ねされる方が多いんですよね」と付け加えた後、バリオスさんは真っすぐな瞳でこう続けた。


「だからこそ、そういう方々の思いに寄り添いたいのです」


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後編では、バリオスさんが利用者の思いをより一層大切にするようになった、ひとつの経験について、また、豊橋市という地元についての思いや今後の展望について紹介する。


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※1 あいちの人口 平成27年国勢調査 -人口等基本集計結果- (平成27年10月1日現在)
※2 豊橋市人口ビジョン 平成27 年10 月豊橋市
※3 高齢社会白書 内閣府
※4 地域包括ケアシステム 厚生労働省


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