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テレ東

2018.10.29

日本を知る、地域を考える@愛媛県宇和島市:豪雨被害にも「悲壮感はなかった」都市部からは見えない本当に必要なこととは

日本を知る、地域を考える@愛媛県

愛媛県西予市で代々受け継がれている養蚕業

2018年2月の最新統計によれば、全国順位28位、四国では最大となる138万人口を有する愛媛県。しかしながら経済基盤に目を向ければ、1人あたりの県民所得は全国順位37位、四国内では最下位に甘んじている。
道後温泉、松山城などの観光地を抱え、俳句の街として内外へアピールされてきた県庁所在地松山は、観光都市としての成長を目論むものの、一方、第1次産業を主たる産業に据えている南部(南予地方)は、やや脆弱な経済基盤によって、人口流出が徐々に進行している。
反面、これによって豊かな自然が残されている南予地方。今回は、その南予地方から西予市、宇和島市を紹介する。

民家にしか見えないうどん店「丸武」

宇和島市内にある「やまこうどん」は、常連客でなければ店を見つけることすら難しい店構え。看板がなく、2階建て民家の1階を利用して営業しているが、夜間営業で早朝には閉店してしまう。


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甘い汁と柔らかめのうどんが組み合わさって、独特の旨さとなっているのがユニーク。
ちなみに、お手洗いを借りたいと申し出れば、快く自宅内の個室を利用するように促してくれるが、一見客が主人宅に玄関から入り込むのは得難い体験となる。


新鮮な鯛を刺し身のままご飯に乗せて食べる鯛めし

愛媛県には鯛めしと呼ばれる料理が2種類存在しているが、南予地方で食べられるのは、鯛の刺し身を使っているもの。
宇和島市内にある「富屋」は、この南予鯛めしの名店。


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薬味を出汁と卵が入った器で混ぜ合わせ、ここへさらに鯛の刺身を入れる。
おひつから少量のご飯を茶碗によそい、そこへ先ほど作ったかけ汁を適量注ぎ込んでいただく。
甘い出汁がご飯のすき間に潜り込み、豪華な卵ごはんという趣である。


地元で採れた新鮮な農作物と魚介類が安く手に入る道の駅

冒頭で県民所得が低いと書いたが、物価の安さを目にすれば、それで生活が成り立つ理由が解る。
リアス式海岸となっている当地では、山と海が間近に迫るため、海の物も山の物も鮮度が高く、美味い。


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特に魚介類はぜひ味わっておくべきだ。種類を問わず、旬のものを食べてみて欲しい。


柑橘栽培に最適な、急峻な斜面と共に生きる柑橘農家

山内直子さんは、宇和島市で柑橘栽培を生業としている農家。2018年7月の西日本豪雨によって甚大な被害を被った宇和島市にあって、山内さんの柑橘農地も例外ではなかった。

それでも明るく前を向く山内さんに話を伺った。

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「近所の人が勝手に家の中に入ってきて、採れた野菜なんかを置いていってくれるんです」
事もなげにそう語る山内さんは、田舎独特のそうした人間関係を心地よいと感じつつ、しかし問題点も感じている。

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農業をひとつの産業と捉え、近代的な産地への脱却を図りたいと考えている山内さんは、外部からの就農希望者に対して冷たいとしか思えない対応をする地元の人々に、歯がゆい思いを抱いているのだ。

志を持って就農したいと思ってくれる若者がいるのに、高額な農機を購入するためのサポート等がなく、農地として適した土地を譲ってもらえることもない。

「本当やったらJAがしっかりせんといかんのですよ」
しかし、他の農家からは変化を望まない姿勢しか見られない。


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山内さんは、急峻で管理が大変ながら、それ故に深く濃い味の柑橘類を栽培できるこの地を、ブランドバリューのある一大産地にしたいと願っている。

しかし孤軍奮闘の状況では情報発信にも限度があり、何か手はないかと、農業体験を始めた。

こちらから出向くのではなく、逆に遠方から来てもらい、この地で柑橘栽培を体験してもらうことで、将来的に柑橘産地としての宇和島が広く知られることを期待しているのだ。


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そう思い立った山内さんは、即座に行動を開始し、共同生活できる無料宿泊施設を自費で建築。全国から農業体験者を広く受け入れている。
9割が女性とのことで、航空会社に勤務するキャビンアテンダントや、大学生などが、それぞれの希望日にやってきては、作業を手伝っていく。
食事も無料のまかない付きということもあり、リピーターが多い。
連休を利用して3日ほど滞在する人から、長期滞在していくグループまで様々だ。

そんな中、西日本豪雨は山内さんの農地にも被害をもたらした。もっとも、互助精神の残る土地柄、水道も電気もない生活にも悲壮感はなかったという。それぞれが家にある食材を持ち寄り、薪を燃やして風呂を焚き、公民館で共同生活を送ったのだ。


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しかし、大きな問題が横たわっている。
急峻な土地に成る柑橘を収穫するには、モノレールが欠かせないのだが、これが壊滅的な打撃を受けているのだ。
修理ができる業者は数が多くなく、予約を入れてもいつ修理できるか見通せない状況。
一刻も早くモノレールを修理しないと、せっかく出来た自慢の柑橘類も全てダメになってしまうと、焦りを隠せない様子だった。

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それでも、山内さんは前を向く。
ブラッドオレンジという、血のように強烈な赤色の果肉を持つ柑橘がある。
香りが強く、その香りの強さは他の柑橘類と比べても飛び抜けているというこの品種。
山内さんは、このブラッドオレンジの特徴を活かしてユニークな展開につなげたいと考えているのだ。

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全国展開するカフェとの専属契約農地があるのだが、この専属契約農地は罹災を免れた。このことも、山内さんに力を与えているように感じられた。

特徴的な風味と味わいのブラッドオレンジビールが、すでに商品展開中となっており、将来的には松山工場を稼働させ、全国への出荷にも対応したい考えだ。
また、皮を剥き、搾汁して乾燥、粗塩と混ぜることで、フレーバーソルトが出来上がるのだが、これも絶品。もっとも大量生産が難しいため、現状ではフレーバーソルトを商品展開させることはできていないが、ブラッドオレンジの持つ可能性を示していると言える

電車でも車でも松山からのアクセスは1時間半程度。是非一度宇和島を味わい尽くしに訪れてみてはいかがだろうか。
尚、山内さんが栽培したブラッドオレンジを使用した商品は、残念ながら今季の販売は終了しているが、山内さんが丹精込めて栽培したみかんが旬を迎えている。豪雨被害を受けながらも生き残った奇跡だ。
このみかんは、愛媛県観光物産協会が運営する楽天ショップ『愛ある愛媛いいよかん』でネット注文を受け付けている。
今なら、『えひめ復興応援フェア』として、豪雨災害地域の産品を中心に、愛媛の県産品を2割引で購入できるクーポンを配布中。

キャンペーンページ
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