東京都は、不登校や退学など、事情があって高校教育を受けられなかった若者に門戸を開く「チャレンジスクール」を2004年に開校した。生徒に合わせた学校教育をモットーに、社会に出るための「挑戦」を促すのが目的だ。
そのひとつである東京都立大江戸高校では、地元に残る江戸文化を理解しながら、手に技術を持つ意味を体感できたらと、地元の職人さんに「江戸文化」の技術を学ぶ「伝統文化入門」を行っている。
「教科書のない分野だが、地元の職人さんから学ぶことで、地域をよく理解し、誇りに思える社会人になってほしい。又、江戸文化の担い手が生まれる契機になれば」と校長先生は話す。
「伝統文化入門」は、べっこう細工、彫金、江戸切り子、木彫、押し絵羽子板など各分野で、活躍する地元の職人5人が講師を務める。生徒は2ヶ月かけ、職人から仕事の説明を受けながら、実際に工芸品の製造に携わり、最後には全ての生徒がひとつの作品を完成させる。
今日は150年以上に渡る歴史と伝統をもつ「江戸切子」の授業。講師を務める小林英夫さんはキャリア60年の大ベテラン。
そして、生徒達がチャレンジするのは、江戸切子の基本である「麻の葉切子」。切子の交差によってできる模様が麻の葉に似ているところから名付けられた。回転する研ぎ版にガラスをあて削っていく作業に戸惑いながらも「削れていくところが楽しい」「深さを揃えるのが難しい」と授業が進むにつれ目が輝きだす生徒たち。
「皆の目の色をみるとだんだん変わっていくのが分かりますね。集中してやっていると思います。他のことは考えないで一点に集中する力を養って欲しいですね。」と小林さん。
「小林さんが来てくれるから、失礼がないように礼儀はきちんとしないと」と生徒の声。
授業は技術を養うだけではなかった。80歳の小林さんと生徒達の触れ合いの中で、集中力や礼儀作法も培われたようだ。 |