チャンピオン:名城信男
挑戦者、1位:ウーゴ・カサレス
(1)9/22(祝)午後2:30-2:54 (2)9/25(金)深夜1:23-1:53 (3)9/27(日)昼12:25-12:49
野武士の如き風貌から“侍王者”と呼ばれる名城信男。3年前にはわずか8戦目でWBA世界S.フライ級王座を獲得し、「史上最短世界王座奪取」という大記録を樹立したことでも知られている。その後一度はタイトルを失ったが、去年9月には再び王座を獲得、今年4月にはダウンの応酬という近年稀に見る大激戦を制し、初防衛を果たしている。
しかし名城のボクサー人生は、すべてが順風満帆であった訳では無い。4年前にはデビュー6戦目で日本王座に挑戦し、当時王者の田中聖二を10RTKOに下したのだが、その田中が試合後に亡くなるという悲劇に見舞われた。名城は一時、引退を決意する程のショックを受けたが、後日、試合場でたまたま顔を合わせた田中の父親から「息子の分まで頑張って」と激励され、それを糧に、見事世界タイトル奪取を果たした。名城は今でも、田中の墓前に勝利を報告しているという。名城は、常に“負けられない宿命”を背負ってリングに上がっている。
その名城が今回迎えるのは、最強の挑戦者、世界1位のウーゴ・カサレス(メキシコ)である。キャリア12年のカサレスは、かつてWBO世界L.フライ級王座を5度も防衛した強豪で、KO率も70%を超えるハードパンチャーとあって、名城には厳しい相手であることは間違いない。カサレスのスタイルは前に出て打ち合う“ガチンコファイター型”だけに、名城との一戦は、確実に激戦になる。
去る4月には結婚したばかりの王者、名城。新妻・智子さんのためにも本人は、前回の試合を上回る熱戦と勝利を誓っている。
日本バンタム級12位:安田幹男(六島)
WBC世界バンタム級15位:メッグン・シンスラット(タイ)
“異常”とも思えるハードパンチが持ち味の安田だが、かつてはそのパワーだけに頼るスタイルで、2003年の時点では、6勝(6KO)3敗2分という中堅選手であった。だがその後、名城と同じ六島ジムに移籍すると急激に力をつけ、移籍後は8勝1敗と、大きく星を伸ばしている。去る8月には、こちらも「元祖・ハードパンチャー」として一世を風靡した宮城竜太(竜宮城から改名)との“強打者対決”を、見事1RKOで“完全秒殺”。自慢の息子、康太郎くん(5)と寛太くん(2)から「ウルトラマンより強い」と言われる程のKO劇で、関西NO.1強打者の座を不動にした。
今回は、関西NO.1から世界NO.1に駆け上がるための重要な一戦。この一戦に勝てば、安田は康太郎君に、「世界一強いのはウルトラマンタロウでなく自分だと認めてもらえる」そうで、世界戦線への浮上とともに、父としても、負けるわけにはいかない。
しかし、対するメッグンは、今をときめく世界的スーパースター、マニー・パッキャオ(フィリピン)を10年前とは言え3RKOに下したこともある“超強豪”。かつて保持していたWBC世界フライ級のタイトルは1度防衛の後に手放してはいるが、現在も世界ランカーであることからも、その強さは疑う余地もない。
愛息に勝利を誓う安田の強打か、パッキャオを倒したメッグンの“世界の力”か、世界戦をも上回る好試合が期待されるこの一戦から、目が離せない。
向井寛史(六島)
大前健太(クラトキ)
ホープ同士が対戦するこちらの一戦も、注目である。
これがプロ2戦目となる向井寛史は、アマチュア時代に51勝を挙げ、国体準優勝に全日本3位の実績も併せ持つ、六島ジム期待のホープである。プロでは8月にデビューしたばかり(6R判定勝ち)の新人選手だが、枝川会長は、「センスもあるし、チャンスがあれば名城が作った8戦目での最短世界王座奪取記録超えを目指しても良い」と、大きく期待する。
一方の大前健太は、現在6連勝中(2引き分け含む)の、こちらもホープである。去年は新人王の西軍準優勝し、さらなる飛躍を期している。「絶対勝つ、未来の夢は世界チャンピオン」と、こちらも負けてはいない。
未来のチャンプ「先物買い」になる可能性もあるこの一戦も、注目だ。