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2017.12.30

復活の伊藤美誠「ダブルスの相乗効果と良きライバルの早田」

伊藤美誠/早田ひな Photo:Itaru Chiba

 本来のワクワクする卓球がようやく戻ってきた。「世界卓球2018スウェーデン(団体)」日本代表最終選考会で優勝し、栄えある代表の切符を手にした伊藤美誠(スターツSC)だ。決勝ではダブルスのパートナーである同じ17歳の早田ひな(日本生命)と対戦。前評判通りの一騎打ちとなり、第1ゲームを伊藤、第2ゲームを早田が奪う展開で、第3ゲームからは徐々に伊藤が主導権を握り、最後はゲームカウント3-1(世界卓球団体と同じ5ゲームマッチ)で伊藤に軍配が上がった。

【動画】日本代表最終選考会 女子決勝 伊藤美誠vs早田ひな

 ここまで来るのに1年かかった。2016年のリオ五輪で当時、わずか15歳にして代表入りした伊藤は、夢に見たひのき舞台で福原愛(ANA)、石川佳純(全農)とともに女子団体銅メダルを獲得。一躍時の人ととなり、メディアにも引っ張りだこの超人気者として多忙を極めた。ところが2017年は不振が伊藤を襲う。シーズンの幕開けを告げる全日本選手権で周囲の大きな期待をよそに、まさかの5回戦敗退。自身と同じ表ソフトの異質ラバーを使用する安藤みなみ(専修大学)に対し、いとも簡単に第1ゲームを奪いながら、第2ゲームで逆転され、その後もミスを連発してゲームカウント2-4で自滅した。


スピードと発想力に加わった我慢と安定感

 伊藤の良さは何をするかわからない型破りな発想力と、ピッチが速く球筋が読みにくい異質速攻型(ラケットの裏表に異なるラバーを貼り、台から離れず速いピッチで返球する戦型)特有のプレーだ。だが伊藤のプレースタイルにはリスクもあり、世界卓球2017ドイツ以前はミスも多かった。さらにミスが出始めても戦術を変えられず、そのまま単調に打ち続けて自滅することがしばしばあった。要するに我慢が足りなかったのだ。

 この部分を伊藤は反省。自分に再び流れが来るまで我慢する粘り強さを身につけた。今回の代表最終選考会でも、予選リーグは一進一退の苦しい場面がたびたびあったが、「(相手にリードされても)慌てず無茶をせず落ち着くことができた。特に自分の調子がいい時はバンバンいってしまうので、行き過ぎないよう抑えるプレーもできた」と話している。また、試合を見ていた女子日本代表の馬場美香監督も、「苦しくても耐えながらプレーしていたのが目立った。苦しさを乗り越えて代表権を取ったところにすごく成長を感じた」と伊藤を評価した。

伊藤美誠「自分の卓球を取り戻した」2017年シーズンの軌跡

 伊藤が成長したのは精神面だけではない。2016年シーズンはあまりやらなかったと地道なフットワーク練習などの基礎練習を黙々とこなし、多球練習もして自分を追い込みんだ。その積み重ねでフィジカルが強くなり、「足が使えるようになって、苦しい状態からでも相手の苦しいところにボールを打ち返せるようになった」と伊藤は話す。その一方では「苦しい体勢に持ち込まれないようにしなきゃダメなので、そこはまだまだ。だから今は苦しくても絶対に追いついて粘る」と強い気持ちを見せている。

伊藤美誠/早田ひな


ダブルスの相乗効果と良きライバルの早田

 伊藤が自分らしい卓球を取り戻せた背景には、早田との「みまひな」ダブルスが奏功したとも考えられる。まだ本調子ではない中、銅メダルに輝いた世界卓球2017ドイツでは、「自分がつなげば、ひなが決めてくれるので、とにかく粘り強いプレーに徹した」と何度も口にした伊藤。その前の平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)との「みうみま」ペアでは、平野がつないで伊藤が決めるというのが定番だったため、伊藤のこの殊勝な発言に驚いたものだった。一方の早田も伊藤とのダブルスでワールドツアーを戦う中で、「レシーブの球種が増えた」と言っており、2人は互いに相乗効果をもたらしていることがわかる。

 その早田は今回、伊藤に負けて世界卓球2018スウェーデンの代表権に届かなかったが、馬場女子日本代表監督も「この1年で非常に成長している。課題はあるが、それらを一つずつクリアにしていければ、これからもっと伸びていく選手」と早田のポテンシャルに太鼓判を押す。日本の女子選手にはいない中国人選手のようなパワードライブが武器の早田はそのぶん体にかかる負担も大きいが、専属トレーナー兼マッサージャーが帯同し体のメンテナンスにも余念がない。すでに代表入りを内定させた同い年の伊藤と平野に早田も続くことができるか?

 石川も早々に内定を決めているため、残りは2枠。1人は年明けの全日本選手権(2018年1月15~21日)の優勝者、もう1人は2017年の主要国際大会で世界ランク30位以内(日本人以外)の選手に6回以上勝った選手の中から代表が選ばれることとなっていたが、該当選手がいないため、日本卓球協会本部推薦となる。

(文=高樹ミナ)

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