子ぎつねヘレン
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子ぎつねヘレン

新春ファミリーシネマスペシャル
1月6日(火)夜7時〜8時54分

2006年3月18日 公開
Introduction
子ぎつねヘレン2006年春、一匹の子ぎつねが日本中に愛とやさしさを届けます

  春の北海道で、東京からやって来た少年・太一は、一匹の子ぎつねに出会った。太一は母親とはぐれた子ぎつねを、放っておくことは出来なかった。子ぎつねの姿に、母親が仕事で忙しく、いつもひとりぼっちで淋しい思いをしている自分を重ね合わせたのだ。太一は母に預けられた森の動物診療所に子ぎつねを連れ帰り、一生懸命に育て始める。その様子を時に厳しく、時に温かく見守る診療所の獣医・矢島。子ぎつねの目と耳が不自由なことに気付いた矢島は、医師としての限界に心を痛める。「まるでヘレン・ケラーだ」という矢島の一言から、太一は子ぎつねに"ヘレン"と名付け、やがてヘレンは太一にだけは信頼と友情を示すようになるのだが......。

子ぎつねヘレン 切ない運命を背負いながらも与えられた命を生き抜く子ぎつね、母親を恋しく思いながらも涙を見せないけなげな少年、医師として、親としての生き方を模索する獣医──彼らが結び合う心の絆を通して、家族の再生と生きることの素晴らしさを描く、最高の感動作が誕生した。原作は、キタキツネの生態調査の第一人者で、傷ついた野生動物の保護・治療・リハビリに取り組み、写真家・エッセイストとしても活躍している竹田津実の「子ぎつねヘレンがのこしたもの」(偕成社刊)。やさしさに満ちたほのぼのとした写真と、生きることの意味を問いかける心に沁みる文章で、実在した目と耳の不自由な子ぎつねと過ごした日々が綴られている。このベストセラーの実話をもとに、新たなオリジナル・ストーリーとして創られたのが、映画「子ぎつねへレン」なのだ。

子ぎつねヘレン 太一を演じるのは、TVドラマ「みんな昔は子供だった」で注目された深澤嵐。たった一人の家族である母親と離れて、都会から慣れない土地へやって来た太一が、小さな命の輝きを感じとることで、自身もたくましく成長していく姿を溌剌と演じている。
  太一の母親の恋人で、彼を預かる獣医・矢島を演じるのは、「世界の中心で、愛をさけぶ」「解夏」に主演し、今やヒット作には欠かせない存在となった大沢たかお。真っ直ぐすぎる性格のため人付き合いが苦手で、一見ぶっきらぼうだが、本当は情に厚い矢島を味わい深く演じている。太一の母・律子には、ドラマや舞台で活躍、3年ぶりの映画出演に本作を選んだ松雪泰子。カメラマンとして世界中を駆け回り、側にいられない代わりに、明るく前向きな生き方を息子に示す魅力的なシングル・マザーに扮している。矢島の娘・美鈴には、「HINOKIO」にも出演、人気急上昇中の若手女優、小林涼子。
  その他、矢島の恩師である獣医大学の教授・上原には、映画・テレビなどで多彩な才能を見せる藤村俊二、森に住む謎の老婆には、数多くの舞台に出演し、映画・CMでも活躍中の吉田日出子、派出所の警官には「真夜中の弥次さん喜多さん」「妖怪大戦争」の阿部サダヲ、太一の担任の山口先生には20〜30代の女性に圧倒的な支持を受けるカリスマモデルであり、女優としても活躍中の田波涼子など個性的な顔ぶれが共演。

 監督は、「王様のレストラン」「古畑任三郎 すべて閣下の仕業」「白い巨塔」など数多くのヒットドラマを手がける河野圭太。地球に生まれたすべての命を慈しむという原作のテーマを守りつつ、大胆に新たなストーリーを構築した脚本は、「パコダテ人」「風の絨毯」の今井雅子。撮影は「壬生義士伝」「血と骨」などの日本映画界を代表する名カメラマン、浜田毅。本作では北海道オール・ロケを敢行、さえぎるものが何もない青い大空、大地の呼吸が聴こえる緑の平原、色鮮やかな花々が咲き誇る原生花園など、美しく壮大な自然をスクリーンに焼き付けた。また、照明を「NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE」の松岡泰彦、美術を「赤い月」「単騎、千里を走る。」の瀬下幸治が手がけている。

■ キタキツネの生態
分類............食肉目イヌ科キツネ属
学名............Vulpes vulpes schrencki
分布............日本の北海道、千島列島南部、サハリン
体長&体重...60〜80cm。尻尾の長さは30〜50cmくらいある。
体が細く、しっぽは太い。体重は平均5〜10kg。
体毛............赤褐色で、腹から胸、ふさふさで長いしっぽの先は白。
家族............2月上旬から3月中旬に交尾期を迎え、約52日の妊娠期間を経て、3月下旬から4月の中旬にかけて巣穴で平均3〜5匹の子を産む。子育てはとても献身的で、初秋に子別れの時期を迎えるまで仲良く一緒に暮らす。とりわけ特徴的なのは、父親が育児に参加するということ。他の哺乳類の家庭は皆、母子家庭であり、日本に生息する哺乳類で家庭の中に父親がいるのは"キツネ""タヌキ"そして"ヒト"の3種類のみである。

【監修:竹田津実】

■ プロダクション・ノート
実話に基づく物語

動物と人間の交流を描いた映画には、数多くのヒット作があります。2004年春、人々に癒しと感動を贈る新しい作品を誕生させようと、ひとつのプロジェクトが始動しました。それは、原作「子ぎつねヘレンがのこしたもの」(偕成社刊)との出会い――。北海道に実在する獣医・竹田津実氏が道路わきで拾った子ぎつねを、妻とともに介護し見守った記録。その心温まるエピソードがプロデューサーの心を捉えたのです。映画化権取得の後、脚本づくりにあたって議論されたのは登場人物の設定。実話を基にしながらもエンターテインメント性を追求し、ヘレンの育ての親を、獣医夫妻から少年に置き換えることになりました。こうして、北海道の動物診療所を舞台に、ひとりぼっちの少年が、母親とはぐれてしまった子ぎつねに愛情を注ぐ物語が誕生したのです。

子ぎつねが優先I

スタッフの間で大きなテーマとなったのは"子ぎつね"の撮影方法でした。可愛い子ぎつねをどう表現するかが作品の成否を握るだけに、すべては子ぎつね優先でプランニングは進みます。また、病気に立ち向かうヘレンの姿などを表現するために、本物の子ぎつねとアニマトロニクス、CG映像を駆使して撮影する方針が決定。キタキツネは出産期が毎年3〜5月と限られているので、撮影は05年の春に行われることになりました。また、成長の早いキタキツネはすぐに体が大きくなります。外見の変化をなくすために、生まれる時期を3期に分けてキャスティングする作戦が立てられました。出産の季節を迎えて、蔵王のきつね村で生まれた赤ちゃんを借り受けることが決まりました。親子ともども元気そうな、赤ちゃんぎつね達が選ばれたのです。彼らは撮影後キツネ村に戻って、すくすくと成長しています。

春の北海道

舞台となる北海道には、スクリーンで満喫するに相応しい雄大な自然が広がっています。スタッフは、北海道中をロケハンして大地・海・森・山などの自然がすべて揃っている網走市とその周辺(能取岬、斜里郡小清水町・原生花園など)をロケ地に選びました。子ぎつねの成長や天候に左右されて、スケジュールの変更が余儀なくされるであろう本作で、どの撮影現場へも1時間以内で移動できるメリットは大きく、さらに、北海道フィルムコミッション、網走市観光課の協力によって、玉葱やジャガイモを貯蔵する穀物倉庫に診療所室内のセットを組むことが出来ました。それはまるでスタジオで撮影しているかのような環境で、診療所のオープンセットも、市内から車で15分ほどの位置にある森の中に建設されました。美術スタッフ渾身の仕上がりです。まさしく、最高の撮影環境が整ったのです。

愛情溢れるキャスト陣

丁寧な演出ぶりに期待が寄せられて起用された河野圭太監督。この作品が初の映画となりますが、ベテランキャメラマン浜田毅と息のあった所をみせ、周囲のスタッフを引っ張りながら着々と準備は進んでいきます。そんな中、感動のドラマを盛り上げていく、動物診療所の獣医・矢島に大沢たかお、少年の母親・律子に松雪泰子と、輝きと演技力を併せ持ったキャストの出演が決まりました。衣装合わせや打ち合わせを通して、動物に向ける彼らの優しい眼差しをみて、監督の期待は大きく膨らんでいきます。またさらに、「子ぎつねを抱いた感じがカワイらしい」と抜擢された深澤嵐をはじめ、小林涼子、田波涼子、阿部サダヲ、吉田日出子、藤村俊二ら、個性豊かな顔ぶれが揃いましたが、彼らもまた無類の動物好き。このキャスト・スタッフの動物への愛情が、"動物に人間が芝居を合わせる"という、根気と、確かな演技力が要求される撮影現場を成立させることになります。

クランクイン

撮影初日は2005年5月15日。網走市内から車で約45分の位置にある草原の広がる丘陵地で、律子と太一が走り寄って抱き合うシーンなどが撮影されました。広い大地と大空――北海道を象徴する風景が広がる撮影現場には、和やかな雰囲気が漂いました。その一方で、野生のキツネの親子を撮影するB班の姿がありました。彼らは本隊が網走入りする前から撮影に臨んでおり、竹田津先生のアドバイスをもとに探し歩いて見つけた約70箇所もの巣穴に張り付いていたのです。野生のきつねは聴覚が非常に発達しているので、人間が近寄るとすぐに姿を消してしまいます。そのため朝3時頃から夕方暗くなるまで、時には16時間連続で1箇所から動かず、ひたすらハイビジョンカメラを廻し続けました。B班の撮影はおよそ1ヶ月にも及び、合計4家族の撮影に成功。彼らの粘りによって、大自然に生きるキツネの家族を記録した大変貴重な映像が誕生したのです。

子ぎつねが優先II

5月31日、道路わきで太一がヘレンを見つけるシーンの撮影で、いよいよ子ぎつねが登場。以降、第1世代2匹、第2世代4匹、第3世代2匹の合計8匹の子ぎつねが順番に参加するようになります。大ベテランのアニマルトレーナー宮忠臣にとっても、キタキツネの撮影は初めての体験でしたが、動物に注ぐ愛情は変わらず、試行錯誤を重ねながらも着実に撮影を進めることができました。じっとしていない子ぎつねを、草原や空き地で思いっきり自由に遊ばせて、走り回って疲れておとなしくなった所で撮影に入るなど、いつしか"待つ・あきらめない"が河野組の合言葉になっていきました。また、深澤嵐も自らミルクを飲ませたりして、できるだけ子ぎつねと触れ合うようにしていましたが、ついには子ぎつねが嵐の後をぴょんぴょんと飛び跳ねてついて来るようになったのです。黄色い花が鮮やかに広がるタンポポ畑での、その微笑ましい光景は、スタッフ全員に本作の成功を確信させてくれました。

動物たちの熱演

矢島動物診療所に入院中の患者や、大自然を描写するシーンに登場する鳥など、本作にはさまざまな動物が登場します。犬のロッシ、ヤギのデーブやオウムのカネコさん、野うさぎ、エゾリス、タヌキ、牛、オオハクチョウ、キツツキ、エゾフクロウ、ひよどり、オカメインコ......。彼らは竹田津先生の知人が開業している病院で実際に保護されている野生動物だったり、ロケ地のひとつとなった東京農大で飼育されている動物だったり、その数は20種類以上にのぼります。なかでも、宮が愛情を注いで育ててきたラブラドール・レトリバーで、テレビドラマ「愛犬ロシナンテの災難」(01/NTV)への出演経験も持つロッシの名演技は特筆に値します。そのとぼけた仕草は、撮影が進むにつれてスタッフの心をつかみ、出演シーンが増えるほどでした。こうして、動物たちと人間との心温まる撮影は無事終了し、7月1日にクランクアップを迎えたのです。

音楽

動物たちの愛らしい姿、北海道の雄大な自然、人々との触れ合いを、軽やかに、壮大に、そしてドラマティックに表現した音楽を手がけたのは、ピアニスト・西村由紀江。彼女は北海道の撮影現場を訪れてイメージを膨らませました。その日は、診療所室内のセットで、ヘレンが太一の足音を振動で感じ分けるエピソードが撮影された日でした。いわばヘレンと太一が心を通じ合わせた場面です。また、エンディングに流れる主題歌に、いまや人気絶頂のレミオロメンが決定。彼らのさわやかな歌声が、後味の良い余韻を胸に残してくれます。こうして、最新のCG処理が施された映像に音楽がミックスされて、2005年11月9日、初号試写が行われました。癒しと感動を贈る「子ぎつねヘレン」が誕生したのです。

原作本

「子ぎつねヘレンがのこしたもの」
竹田津実・著(偕成社刊)

1999年に発売以来、じわじわと感動の輪が広がり、大人から子供まで幅広い読者層を獲得。映画化に際し2005年9月に文庫版が発売され、現在、爆発的なペースで重版を重ねている。(全国学校図書館協議会選定・日本図書館協会選定・中央児童福祉審議会特別推薦)
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その短い生命をつづった感動のノンフィクション
北海道で野生動物の診療をしている獣医師のもとに連れてこられた目と耳が不自由なキタキツネの子ヘレン。母親がわりとなったメスのキタキツネ・メンコとの交流を中心に、ヘレンとの短い日々をつづった命の記録。

 
 

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