岩手・盛岡へ行くならぜひ! 宮沢賢治ゆかりの「光原社」でタイムトリップ!

2017年3月15日

岩手・盛岡へ行くならぜひ! 宮沢賢治ゆかりの「光原社」でタイムトリップ!
盛岡駅から徒歩10分ほどの場所に、知る人ぞ知る宮沢賢治ゆかりのスポットがあります。それは、かつて童話集『注文の多い料理店』を世に送り出した「光原社」です。盛岡に行くなら、賢治が想い描いた理想郷「イーハトーヴ」の精神を感じられる場所へ、ちょっと足を伸ばしてみましょう。

さまざまな物語を今に語り継ぐ「光原社」

「光原社」は、童話作家・宮沢賢治の生前唯一の童話集である『注文の多い料理店』を生み出した出版社です。この「光原社」という名前も、実は宮沢賢治が考案したもの。これは、賢治と光原社の創業者・及川四郎が盛岡高等農林学校で先輩、後輩の間柄だった縁によるものです。 現在は民芸品を扱うショップとなり、岩手県をはじめ全国の普段使いの食器から、外国の雑貨まで幅広く販売。また、敷地内には喫茶店、宮沢賢治にまつわる資料館、漆工房などが併設されています。 四季折々に移ろう景観や、手作り感のある民芸品、店内の空間、店員さんたちが着用するオリジナルの制服などが相まって、他のどこにもない不思議な空間を織りなしています。一言では語りつくせない、さまざまな物語が詰まった場所なのです。
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光原社本店。店内を通り抜けると、可否館(喫茶店)、マヂエル館(宮沢賢治資料室)、カムパネラ(世界の民芸品店)、いーはとーぶ館(自社展覧会スペース)などがあります
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光原社本店の中では、陶器、漆器、ガラスなどの民芸品を扱っています。2階にはウェグナーの家具やホームスパンなども

さまざまな芸術家たちが集う文化創造拠点

1924(大正13)年、光原社は、宮沢賢治の生前唯一の童話集『注文の多い料理店』を、何とかお金を工面して世に送り出します。しかし、当時はほとんど売れることはありませんでした。その後、鉄器や漆器などの製造販売を開始し、出版、鉄器、漆器という3つ事業を柱に、経営を軌道にのせます。 やがて、それらの事業を営みながら、光原社は柳宗悦や棟方志功などの芸術家が集まる文化交流の拠点となり、サロンのような場所になっていきます。1965年には、そんな芸術家たちの指導のもとに民芸店をオープンし、今の原型ができあがります。 出版事業は1943年、戦争により紙の統制で出版が制限されたことから断念。現在、鉄器は販売のみとなり、漆器は敷地内の工房で製造し、販売を続けています。
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光原社本店の向かい側にある「モーリオ」では、くるみクッキーなどの食品や荒物(竹細工など)、鉄器、柳宗理関連のアイテムを販売しています。店名は賢治が盛岡をもとに作った造語

時間が止まってしまったかのような空間

そんな光原社の中庭にある「可否館(こーひーかん)」は、もともと買い物に来るお客さんがくつろぐ場所として造られた喫茶店。味わいのある家具や調度品に囲まれた、とても雰囲気の良い空間が広がっています。 ハンドドリップで入れるコーヒー(480円~)と一緒に楽しみたいのがくるみクッキー(155円)。盛岡にある老舗パン店「横澤パン」が製造するやさしい味わいのお菓子で、光原社本店の向かいにある「モーリオ」で購入できます。また、人気のワインゼリー(500円)は、かつて盛岡にあった洋食レストラン「よねだ」から製法を伝授されたもの。
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看板の『可否館』の文字は、人間国宝でもある染色工芸家・芹沢銈介によるもの
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どこか懐かしさを感じる味わいのある空間。居心地がよく、時が経つのを忘れてしまうほど
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左/人気のくるみクッキーとコーヒー、中央上/ぶどうジュースに浮かぶワインゼリー、右上/味わい深い手作りのガラスコップ、右下/ウエハースが添えられたアイスクリーム(550円)はコーヒーもしくはカカオリキュールをかけて

宮沢賢治が抱いた「イーハトーヴ」を感じる場所

敷地内にある「マヂエル館」には、宮沢賢治の直筆原稿や、『注文の多い料理店』の初版本など、さまざまな資料が展示されています。 ここでは『注文の多い料理店』についての出版のいきさつについても触れられています。光原社の創業者・及川四郎は、宮沢賢治の童話の出版を持ち掛けられると、読む前に出版を引き受けたとか。先輩後輩であっただけでなく、宮沢賢治の人間にほれ込み、その思想に共鳴していたことが伝わってきます。 光原社の敷地内には『注文の多い料理店出版の地』の記念碑が建てられ、書家によって壁に書かれた賢治の詩を読むこともできます。
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マヂエル館は2006(平成18)年に改築され、宮沢賢治に関する資料の展示スペースとなっています
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宮沢賢治(左)と及川四郎(右上)の肖像。右下は『注文の多い料理店』の初版本
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漆工房(見学不可)の1階にある資料室では、柳宗悦、芹沢銈介、棟方志功、川上澄生、高橋萬治、及川全三、鈴木繁男の作品や書簡を展示。お願いすれば見せてもらうことができます 光原社は、宮沢賢治の本を出版するとともに、多くの芸術家や職人たちを支えてきた場所。この地で多くの理想が語られ、作品が作られ、世に送り出されてきました。そして現在も、その精神は光原社の空間や扱う品々に脈々と受け継がれています。まさに、賢治が故郷・岩手県に抱いた理想郷「イーハトーヴ」の精神が宿る場所といえるかもしれませんね。 ■光原社 住所:岩手県盛岡市材木町2-18 電話番号:019-622-2894 営業時間:10時00分~18時00分 ※1月5日~3月15日まで10時00分~17時30分 定休日:毎月15日 ※土日祝日の場合は翌日に振替 駐車場:なし ※本文中の価格はすべて税込です