7月10日(水)放送
篠田 桃紅
美術家

水墨を用いた抽象画で世界的に知られる。1913年、旧満州国大連生まれ。30年、東京府立第八高等女学校卒。36年、初の書の個展(東京)。47年、水墨による抽象表現を始める。56年、渡米。以後、ボストン、ニューヨーク、シカゴ、パリなど欧米で個展を開き、高い評価を得る。76年、書と随筆による初の作品集「いろは四十八文字」を刊行。93年、御所・御食堂の絵画を制作。05年、Newsweek誌で「世界が尊敬する日本人100」に選出。07年、皇室専用の新型車両の内装壁画を制作。13年、日米で個展を開くなど、100歳を過ぎてなお精力的に活動中。


侏儒の言葉
芥川龍之介 著
(新潮文庫、岩波文庫ほか)

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「侏儒の言葉」は芥川龍之介の箴言集。短く鋭く、皮肉をきかせながら、この世の真実を突いていきます。その中で篠田桃紅さんにとって、とても大切な一節があります。それは...

『運命は性格の中にある』
運命は偶然ではなく、必然。自らの運命は、自らの性格が決めている、というのです。

篠田さんは厳格な家庭に育ち、「書」にも幼いころから親しみましたが、「お手本通り書くことは私の性格上面白くなかった。もっと好きに書きたいと思った」といいます。

篠田さんにとって芥川龍之介は憧れの小説家。女学生のころ、本人の姿を見たことがあるといいます。
「帝国ホテルで見たんです。バンケットホールからの正面の階段をおりてきた」
「着物ではかまをはいてらして」「とても素敵で、素晴らしい人だった」

篠田さんはやがて芥川が死んだことをラジオで知ります。
「自殺だということはすぐわかりました」
「ああいう頭の良い方は世の中というものがばかばかしくなっちゃったんでしょ」

『運命は性格の中にある』という言葉は、芥川の「遺稿」として、死後すぐに発表されたものです。
篠田さんは、常識の枠にとらわれない芥川に共感してきました。

「書道では川という字は3本以上書いてはいけない。書道は狭苦しくてダメだと思った」
「私はもっと線を引きたい。線というものを材料にして今までこの世にない、いい形、美しいものを作れたらいいなと思うようになった。それが私の性格ですよ」
形式にとらわれない性格が、独自の芸術を生み出す運命を紡いだのです。

自らの運命は、性格で変えることができるはず。「運命は、自分で作っていくしかないのです」と篠田さんは語ります。

関連書籍

桃紅百年
桃紅百年
篠田桃紅 著
(世界文化社)

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100歳を記念して出版した篠田桃紅さんの自伝的エッセイ集。
美しくリズミカルな日本語で、自らの芸術の成り立ちや筆、硯、紙へのこだわり、そして父母の記憶などについて綴る一冊です。


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