技あり!ニッポンの底力

ジョージ・ルーカス監督が認めたプラモデルメーカー、世界中と取引する「春巻成形機を開発した会社」など様々な"技"を持つ企業が登場。 「トップシェアの技術」「それ無しでは製品が成り立たない技術」など知られざる"技あり企業"を探して取材班が全国を飛び回り、その底力を描きます。03年から続くWBSの長寿コーナーです。<月曜放送>※都合により変更の場合があります。

第224回 戦艦大和から蓋/ダイクレ(広島・呉市)

2010.02.15

道路や歩道などでよく見かける、格子状の「ふた」。
開発したのは・・・。

ダイクレ・久原信之介 取締役
「呉の海軍工廠の技師として、戦艦大和を作った人間であります!」


戦艦大和と「ふた」の関係を探りに広島県の呉市に向かった。
戦前から造船で栄えてきた街・・・。あの戦艦大和もここで造られた。

ここに本社を置くダイクレの創業者が、呉海軍工廠(海軍直営の軍需工場)出身で戦艦大和を造った山本茂。戦後も技術者として造船に携わり・・・、

ダイクレ・久原信之介 取締役
「大型タンカーを造るときに、そこに使われている"グレーチング"を日本で初めて作らないかと・・・」


ダイクレは、日本で初めて"グレーチング"というものを作った会社だ。
"グレーチング"とは、船の床材や通路などに使われた格子状のもの。現在でも暗い船室に光を取入れたり、換気を良くしたりするために使われる。

そして戦後、道路や歩道が整備されると排水溝用のフタとして使われるようになった。
しかし、ある問題が・・・。

ベビーカーや車椅子などの車輪が落ちたり、雨などで濡れたりすると滑る。
しかし、ダイクレが新たに開発したものは滑らない。そして、車輪も落ちない。
いったい何故か・・・。

工場で製造工程を見せてもらった。
まず、レールのような鉄の板に表面加工をする。

ダイクレ・久原信之介 取締役
「特殊な切削工具を使って、ザラザラ加工を施します」


特殊な刃で鉄の表面にキズをつけ、このキズによって、滑りにくくなる仕組みだ。
そして、このキズをつけた鉄に一定の間隔で溶接をするのが、わざとヒネリを加えた鉄の棒だ。この棒を直角にセットする。
このとき、鉄の棒はヒネッてあるため、キズ板との接触面が小さくなる。
実は、接触面が小さいと電気を流したとき、発熱量が大きくなって、鉄は一瞬で軟らかくなる。そこに圧力を加えると、2つの鉄は瞬時に溶接される。この技術は、創業者が船のグレーチングを造るために開発した。

ダイクレ・久原信之介 取締役
「昭和27年に初めてグレーチングを作ったときと同じ方法でやっています」


ここに技あり!
接触面を小さくすることで、電気を通すと一瞬で鉄が溶けて溶接される。


このヒネリ棒は、加工をしやすくためだけではない。
従来の10センチ間隔の間にもう一本のヒネリ棒を加え、落ち込み防止や滑り止め効果をもたせた。

最後に、サビを防ぐための亜鉛メッキを塗り、全国に配送する。
戦艦大和を造った技術は、日本でトップシェアの排水溝の蓋を作り出した。

ダイクレ・久原信之介 取締役
「安全で快適な街づくりを我々目指していますので、人に優しいグレーチング。われわれ商品である"ザラザラ50""ザラザラ細め"に置き換えるような提案を、積極的に行っていきたい」


【取材後記】
・用途に応じて、スチール、ステンレス、ファイバー、ゴム製などのグレーチングがあるそうです。ザラザラの他に、"イボイボ"の滑り止めも!ヒールが入らないほど細いグレーチングも開発したとのこと。