木曜洋画劇場

名作メモリアル

「木曜洋画劇場」をこよなく愛する3人のフリーライターが、過去2000回の放送作品から独断と偏見で名作・傑作をチョイス!「木曜洋画劇場」魂を熱く燃やし、作品を解説する!!
■女猫
(1968年2月8日放送)

 記念すべき「木曜洋画劇場」第1回放送作品で、フランス製のスパイ・サスペンス。第二次世界大戦下、ドイツ軍の侵攻で夫を亡くした女性(フランソワーズ・アルヌール)が、レジスタンスに加わり諜報活動に身を投じるが、スイスの新聞記者になりすましたナチスの将校に恋をしてしまい、やがて悲劇的な結末を迎えるまでを描く。
ちなみに、当時の「木曜洋画劇場」は、まだ90分の放送枠だった。吹き替え声優は、仁木祐子、浦野光、高塔正康。

(ペンネ一撃)

■テキサスの四人
(1969年10月2日放送)

 「木曜洋画劇場」が2時間枠になって最初に放送された西部劇。フランク・シナトラをはじめとするオールスターが出演し、枠の拡大の初回を飾るにふさわしい娯楽作だった。
銀行の金を護送するギャンブラーのザック(F・シナトラ)が、道中知り合ったジョー(ディーン・マーティン)に金を奪われるが、銀行家の陰謀を知ったことから、手を組んで立ち向かうはめになる。監督は『飛べ!フェニックス』(65)、『北国の帝王』(75)など、骨太&男気がウリのロバート・アルドリッチだが、本作はコメディなので“アルドリッチ”節は控えめ。代わりに、アニタ・エクバーグとウルスラ・アンドレスのお色気合戦にウエイトが割かれている。同監督の『ヴェラクルス』(54)に出演したチャールズ・ブロンソン、『何がジェーンに起こったか』(62)の怪優ヴィクター・ブオノなど、初期アルドリッチ作品でおなじみのスターが集まっているのも、みどころのひとつ。吹き替えは、シナトラ=家弓家正、マーティン=羽佐間道夫など、FIX声優(ある役者の声を常に担当する声優)で固められていて安心して観ることができた。

(ペンネ一撃)

■特攻大作戦
(1975年2月6日放送)

 当時あったゴールデン枠の洋画劇場の中で、「木曜洋画劇場」がほぼ独占状態で繰り返し放送していた戦争アクション大作。骨太ロバート・アルドリッチ監督による“ノルマンディー上陸作戦秘話”で、ならず者の囚人を集めた特攻隊を編成し、古城に設置されたドイツ軍指令部を破壊するまでを描く。リー・マーヴィン、アーネスト・ボーグナイン、チャールズ・ブロンソンなど、顔の濃い役者が一同に介しているのもポイント。吹替版は独特のキャスティングで、本来ならマーヴィンを担当すべき小林清志がブロンソンの声を、『さらば友よ』(68)でブロンソンを吹き替えた森川公也がマーヴィンを担当した。その他の役者についても、FIX声優は、なぜか外している。

(ペンネ一撃)

■OK牧場の決斗 ★木曜洋画劇場 歴代視聴率3位★
(1975年4月3日放送)

 『荒野の七人』(60)、『大脱走』(63)など、骨太なアクションに定評のあるジョン・スタージェス監督が、西部開拓時代の有名すぎる史実をもとにして描いた痛快ウエスタン。
保安官ワイアット・アープは、ギャンブラーのドク・ホリデイの命を救ったことから、付かず離れずの奇妙な友情を彼と育むことになる。そんな折り、同じ保安官である兄から、牛泥棒クラントン一家との対立激化の報が届く。彼らとの対決に挑むため、ワイアットとドクは一路トゥームストーンの町へと向かうが…。バート・ランカスター演じる生真面目なワイアットと、カーク・ダグラスのひょうひょうとしたドクの対比が絶妙で、クライマックスの銃撃戦まで目が離せない快作だ。クラントン一家の末弟にデニス・ホッパー(当時21歳。そのナイーブさが信じられない!)、ドクのナイフに倒れるアウトロー役でリー・ヴァン・クリーフも出演している。
「木曜洋画劇場」では、75年4月に2時間半の拡大枠で放送。久松保夫&宮部昭夫という、ランカスター&ダグラスのFIX声優が揃い踏みする唯一のバージョンでもあった。

(村上健一)

■ローズマリーの赤ちゃん
(1977年7月7日放送)

 『戦場のピアニスト』(02)でアカデミー監督賞に輝いたロマン・ポランスキーが、68年、34歳の時にハリウッド進出第1作として撮りあげた恐怖映画。いわゆる“ホラー的”な特殊効果によるショックシーンは一切ないにも関わらず、現実と妄想を行き来するかのような不安定感、心理サスペンス描写が見事に恐怖を増幅していく。のちの『エクソシスト』(73)などの“オカルト映画”に繋がる礎を作った傑作だ。
マンハッタンの名門アパート、ブラムフォード(ロケ地はジョン・レノンが住んでいたダコタ・ハウス)に越してきたガイとローズマリーの若夫婦。個性豊かな隣人たちに歓迎を受ける彼らは、やがて念願の第一子をもうけるが、ローズマリーはアパートの住人たちが悪魔崇拝者なのではないか? という妄想を抱きはじめる…。徐々に病的表情を帯びていくローズマリーに扮したのは、当時はフランク・シナトラと結婚していたミア・ファロー(のちにウディ・アレンのパートナーに)、『グロリア』(80)で監督を務めるジョン・カサヴェテスが、俳優として夫ガイ役で出演している。
「木曜洋画劇場」では、75年10月に2時間枠で一度放送していたが、77年7月7日の“7”が4つ揃う日に3時間枠でノーカット放送された。

(村上健一)

■エマニエル夫人 ★木曜洋画劇場 歴代視聴率1位★
(1979年1月25日放送)

 フランス製のソフトコア・ポルノを、配給元のヘラルドがスタイリッシュなラブ・ロマンスとして宣伝し、劇場で大ヒットを記録した。ソフトフォーカスを多様した、ムーディなエロティシズムが新鮮で、女性客も多数動員した。シャンソン調のテーマ曲は、知らない人がいないほど浸透(最近でも、お笑いコンビのハイキングウォーキングの"ブス田キモ子"というネタで、BGMとして使われている)。公開後のヘラルド社員のボーナス封筒は、机の上に直立するほど分厚かったという。
「木曜洋画劇場」に初登場した本作は、視聴率22.5%を記録し、同枠の最高視聴率のトップにいまだに君臨している。吹き替え版は、『大江戸捜査網』『水戸黄門』などで有名な女優の山口いづみが、主演のシルビア・クリステルの声を担当したことでも話題となった。

(ペンネ一撃)

■ハイジャック'78 米三大都市核攻撃絶滅計画
(1979年2月1日放送)

 アーウィン・ショウの小説「ビザンチウムの夜」を映像化した米ミニシリーズを、3時間の拡大枠で一挙放送。無政府主義のテロリストが、三機の民間航空機をハイジャックして核ミサイルを積み込み、三大都市に特攻をかけようともくろむ、というあらすじは、まさに9.11事件そのもの。
ラストは当然、主人公がテロリストを倒し、民間機は特攻を解除してめでたしめでたしと思いきや……特攻が避けられないことが判明し、空軍ジェット機が出動して民間機三機をあっというまに撃ち落して終わり! <核爆発で三大都市を失うよりは、数百人の市民の犠牲>を、さらりとやってのけた結末は、当時のお茶の間に核爆発以上のショックをお見舞いした。グレン・フォード、エディ・アルバート、2代目ボンドことジョージ・レーゼンビーが出演。

(ペンネ一撃)

■黄金のランデブー
(1979年7月5日放送)

 冒険小説の大家アリステア・マクリーンの同名原作を映画化した、南アフリカとイギリスの合作アクション。日本では配給元ヘラルドの30周年記念作品として、78年正月第2弾として公開され、『007/私を愛したスパイ』(77)の向こうを張った。
豪華客船をハイジャックした南米のテロリストが、金塊を積む貨物船とランデブーし、金塊を客船に移した後に原爆で証拠を消そうともくろむが、一等航海士のカーター(リチャード・ハリス)が単身挑むというストーリー。スピーディな展開、サム・ペキンパーばりのバイオレンス描写、ラストに登場する意外な黒幕、そして主人公が黒幕と行う予想外の駆け引きなど、これでもかという見せ場のフルコースが斬新だった。シンセサイザーを駆使した派手なBGMは、サスペンスルフルな画面とミスマッチだったが、当時の映画ファンにはなぜか人気。R・ハリスの実生活での妻アン・ターケルがヒロインを演じ、デヴィッド・ジャンセン、バージェス・メレディス、ジョン・ヴァーノン、ジョン・キャラダインなど70年代を代表するクセ者スターが勢ぞろいしたのも話題になった。

(ペンネ一撃)

■合衆国最後の日
(1979年10月11日放送)

 ならず者ばかりの部隊がナチス・ドイツの司令部に殴り込む『特攻大作戦』(67)、囚人と看守がアメリカンフットボールの試合で激突する『ロンゲスト・ヤード』(74)など、アウトローたちの姿を描いた反骨的な作品を数多く放ってきた巨匠ロバート・アルドリッチ。そんな彼のキャリア末期の傑作として、高い評価を誇っているサスペンス巨編だ。
米軍の核ミサイル基地を、その設計を担当した元空軍大佐デルが率いる3人の男が占拠。ベトナム戦争勃発の真相を記した機密文書の公開を要求する彼らと、それを阻止せんとする国家との対峙が頂点に達した時、大統領をも巻き込む予測のつかない事態が起きる! スプリット・スクリーン(画面分割)を使って各登場人物の思惑と心情を描出するアルドリッチの冴えた演出に加え、バート・ランカスターやリチャード・ウィドマークら名優揃いのキャストも見どころだ。「木曜洋画劇場」にはファースト・ランとして登場。

(平田裕介)

■流されて… ★木曜洋画劇場 歴代視聴率13,17,28位★
(1980年4月24日放送)

 女流監督リナ・ウェルトミューラーによる、異色ロマンス。大富豪の人妻ラファエラが使用人のジェナリーノを連れてボートでクルージングに出るが遭難し、二人は無人島にたどり着く。社会的地位や金も通用しなくなった土地で、二人の立場は逆転。ジェナリーノはラファエラを力で支配してゆく。やがて二人の間に男女の愛と信頼が確立したかにみえたが……。
劇場公開の宣伝は、使用人の容赦ない人妻への暴力と、衝撃の結末をあおりにあおって、当時かなりの話題となった。ジェナリーノを演じたのは『007/カジノ・ロワイヤル』(06)のマシス役など、国際的にいまなお活躍する名優ジャンカルロ・ジャンニーニ。本作は、マドンナ主演、ガイ・リッチー監督(マドンナの夫)で、『スウェプト・アウェイ』 (02)のタイトルでリメイクされた。余談だが、同監督による『流されて2』(87)は、正式な続編ではない(こちらも木曜洋画劇場で1989年9月21日に放送された)。

(ペンネ一撃)

■ヒッチハイク ★木曜洋画劇場 歴代視聴率15位★
(1980年5月22日放送)

 公開当時は、『O嬢の物語』(75)のコリンヌ・クレリーのレイプ・シーンばかりが売りにされていたが、実は、異常な設定と強烈なラストが際立つサスペンスの傑作。車で旅に出た倦怠期の夫婦ウォルターとイヴ(フランコ・ネロ&クレリー)が、軽い気持ちでヒッチハイカーのアダムを乗せるが、彼は冷酷無比な強盗犯だった。アダムはしだいに本性を現し、ウォルターたちを人質に逃避行を続けるが……。
頭を撃たれた警官の脳みそが飛び散るウルトラ・バイオレンス・シーンも、「木曜洋画劇場」ではカットなしで放送!(いい時代でしたな~) アダムを演じたデヴィッド・ヘスは、『鮮血の美学(テレビ放映題「白昼の暴行魔PART2」)』(72)や、『真夜中の狂気』 (80)などでも、同様のイッちゃってる殺人鬼を演じる超個性派俳優(最近は老けて好々爺になっているが)。声をアテた樋浦勉も、負けず劣らず異常者演技を大爆発させている。ちなみに、ネロをアテたのはが内海賢二。アクの強い声の対決も堪能できる、屈指の名吹替でもあった。

(ペンネ一撃)

■ドラキュラ都へ行く
(1981年5月7日放送)

 古城を追い出されたドラキュラ伯爵が、ニューヨークにやって来て妻になるべき女性を探すが、吸血鬼退治を生業とするローゼンバーグ教授につけねらわれる……というコメディ。伯爵役のジョージ・ハミルトンを岸田森が吹き替えた。岸田は当時テレビ東京のバラエティ番組『もんもんドラエティ』にドラキュラ役で出演しており、なかなか粋な起用だったのだ(岸田は東宝の『血を吸う薔薇』(74)シリーズでも吸血鬼を演じた“和製ドラキュラ”でもあった。また『エクソシスト』(73)のカラス神父や、『アラビアのロレンス』(62)のロレンスなど、洋画の吹き替えでも多数実績あり)。
ドラキュラ映画の定石を守りつつ、コメディとしても完成された作品。「木曜洋画劇場」登場以降、他局を含め、ほとんど再放送されていないのが残念である。

(ペンネ一撃)

■ナバロンの要塞
(1988年4月7日放送)

 アリステア・マクリーンのベストセラー小説を『戦場にかける橋』(57)のカール・フォアマンが脚色(製作も務める)し、『恐怖の岬』(62)のJ・リー・トンプソン監督がダイナミックに活写した傑作戦争アクション。
第二次大戦中、ギリシャのナバロン島に設置されたドイツ軍の巨大な2門の大砲を破壊するため、6人の特殊工作部隊が結成される。敵の監視の目をかいくぐりナバロン島に到着した6人は、要塞へと続く400フィートもの断崖絶壁に取りつくのだが……。過去の遺恨をお互いに抱えながら決死の作戦に身を投じるマロリー大尉とスタブロス大佐を、『ローマの休日』(53)のグレゴリー・ペックと『道』(54)の名優アンソニー・クインが熱演。ミラー伍長役のデビッド・ニーヴンとともに、熱い男のドラマを堪能させてくれる。61年のアカデミー賞では8部門にノミネート。ラストに待ち構えるスペクタクルシーンは、見事アカデミー特殊効果賞を受賞した。 「木曜洋画劇場」では、通常は2時間枠でしか放送されなくなっていたところを3時間の拡大枠で放送し、往年のファンを喜ばせた。

(村上健一)

■インフェルノ
(1988年8月11日放送)

 数ある「木曜洋画劇場」作品で、最も衝撃的な作品の一つ。とはいっても、内容ではなく、その“吹き替え”が衝撃的なのだ。
本作は、ダリオ・アルジェントの『サスペリア』(77)の続編にあたる作品で、魔女の館で奇怪な殺人が連続するというオカルト。だが、内容的につじつまが合わないところが多く、最後まで観ても魔女の目的はよく分らない。本作の放送の数年前に、TBSの深夜で放送された吹き替え版でも、原語に忠実な翻訳だったため、狐につままれたような印象だった。しかし「木曜洋画劇場」では、新たに吹き替えを制作しなおし、放送界の奇跡を成し遂げた! ラストのヴァレリー(魔女の館の設計者)と魔女のせりふをわずかばかり変更することで、ストーリーのつじつまをすべて合わせてしまったのだ。これぞ「木曜洋画劇場」イリュージョン!! 観終わった後は、視聴者の心に疑問点を残すことなく、一本のホラーを観たという充実感のみを与える素晴らしさ。これを奇跡と呼ばずに、何と呼ぶのか? オリジナル版のラストでは、魔女は炎とともに滅んだように見えるが、「木曜洋画劇場」版では、魔女に高笑いをさせることで「実は滅びていない」という余韻を、"強制的"に与えている。凄すぎ!

(ペンネ一撃)

■地獄の黙示録
(1989年4月6日放送)

 フランシス・フォード・コッポラ監督の超話題作が「木曜洋画劇場」に登場! ベトナム戦争下、ジャングル奥地で王国を築いたカーツ大佐。彼の暗殺を命じられたウィラード大尉は、戦争の“地獄”を体験しながら、部下たちと王国をめざすが……。
この放送では、以前の放送で他局が制作した吹き替え版は使わず、台本からすべてやり直し、声優のキャスティングも一新。決定版とすべく、スタッフが精魂込めて吹き替え版を制作したという。なお、カーツ大佐役のマーロン・ブランドの声は、日テレ版の石田太郎を引き継いだ(ちなみに、DVD「特別完全版」のカーツ大佐も石田が担当)。4月改編期に、3時間の拡大枠で午後8時から一挙放送。ショッキングなキルゴア中佐のナパーム攻撃シーンで、夕食後のまったりとしたお茶の間に喝を入れた。

(ペンネ一撃)

■スーパーマン4/最強の敵
(1989年10月12日放送)

 在りし日のクリストファー・リーヴの勇姿が拝める、劇場版『スーパーマン』シリーズの第4作。リーヴは原案にも名を連ねている。
ジーン・ハックマン演じる悪の天才、レックス・ルーサーが甥の手引きにより刑務所を脱走。博物館に展示されていたスーパーマンの髪の毛を悪用し、核エネルギーからスーパーマンをはるかに超えるパワーを持つ“ニュークリア・マン”を誕生させる。スーパーマンと最強の敵、超人同士の戦いが、いま開始される! 地上から月面まで展開される超絶バトルを監督したのは、スカイ・アクションの佳作『アイアン・イーグル』(85)のシドニー・J・フューリー。核兵器廃絶を願う少年の心に応え、国連で平和演説を行うスーパーマンが描かれるなど、シリーズ中もっとも平和的思想が強い作品だった。デイリー・プラネットの大衆紙路線を推し進めようとする新編集長役として、作家アーネスト・ヘミングウェイの孫娘マリエルが出演。
話題作のファースト・ランを「木曜洋画劇場」が獲得したことが、当時注目された。

(村上健一)

■荒野の七人 ★木曜洋画劇場 歴代視聴率26位★
(1992年4月30日放送)

 黒澤明の『七人の侍』(54)を西部劇に置き換えて制作された、オールスター・ムービー。「木曜洋画劇場」では、85年と83年にも2時間枠で放送されていたが、92年の放送はなんと2時間半の拡大枠での登場となり、スティーブ・マックイーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、ロバート・ヴォーンなど、60年代を代表する豪華スターの共演を、ほぼカットなしで楽しむことができた。
ユル・ブリンナー演じるガンマンが、盗賊の襲撃に苦しむ村に雇われ、凄腕のプロたちを集めて立ち向かう、という大筋は『七人の侍』そのままだが、各スターの個性を生かした見せ場や大銃撃戦などは、今だに色あせない面白さ。盗賊の首謀者を演じたイーライ・ウォラックが、出番が少ないながらも、いい味を出している。ちなみに、過去に別の局で制作されたノーカット吹替音源を、この放送のためにニューマスターにシンクロ・編集する作業を行ったのは、今回2000回記念で放送される『ダニー・ザ・ドッグ』の吹替演出を担当する木村絵理子氏だった。

(ペンネ一撃)

■ロボコップ3 ★木曜洋画劇場 歴代視聴率9位★
(1995年4月6日放送)

 殉職したものの、無敵のサイボーグ警官“ロボコップ”として甦った男マーフィー。犯罪と暴力が渦巻く近未来のデトロイトを舞台に、その活躍をハードなバイオレンス&アクション描写タップリに活写した、大ヒット・シリーズの第3弾。第1作では自分を死に追いやった犯罪者集団と、第2作では凶悪なギャングをベースにした“ロボコップ2号”と激闘を繰り広げたマーフィーだが、本作の相手となるのは街の支配を目論む悪徳企業にしてロボコップ自身を開発したオムニ!
 メガホンを取ったのは、80年代B級映画の傑作『クリープス』(86)、『ドラキュリアン』(87)を手掛けた鬼才フレッド・デッカー。ロボコップにジェットパックを装着させて空を飛ばしたり、大友克洋から名前を取った敵サイボーグ“オートモ”を登場させたりと、持ち前のオタク精神全開のタッチで臨んでいる。「木曜洋画劇場」がファースト・ランを獲得し、当時かなりの話題となった。

(平田裕介)

■シャイニング
(1996年11月14日放送)

 『2001年宇宙の旅』(68)、『時計じかけのオレンジ』(71)、『フルメタル・ジャケット』(87)など、“傑作しか撮らなかった”天才スタンリー・キューブリック。そんな彼が「キャリー」や「ミザリー」などで知られる“モダンホラーの帝王”スティーブン・キングの同名ベストセラー小説の完全実写化に挑んだホラー映画の金字塔だ。
冬季閉鎖される、コロラド山中に建つ高級リゾート・ホテル。その管理人となった作家志望の男ジャックと妻子が、そこで頻発する怪奇現象に見舞われる姿を映し出していく。長い廊下に立ち尽くす双子の姉妹、エレベーターから洪水のごとく溢れ出す大量の血といった、静謐にして鮮烈なビジュアル。そして、ジャックに扮したジャック・ニコルソンの鬼気迫る演技が観る者の恐怖感をジワジワとあおる。ちなみにS・キングは本作の出来に不満を持ち、後年になって自ら製作総指揮と脚本を務め、TVドラマとして作り直している。 「木曜洋画劇場」での放送は、ファースト・ラン&2時間40分の拡大枠。

(平田裕介)

■ウォーターワールド
(2002年9月19日放送)

「木曜洋画劇場劇場35周年特別企画」の一本。 監督を務めた『ダンス・ウィズ・ウルブス』(90)でアカデミー作品賞ほか全6部門受賞という快挙を成し遂げ、『ロビン・フッド』(91)、『JFK』(同)、『ボディガード』(92)といった主演作も立て続けに大ヒットを記録。ケビン・コスナーが、そんな人気絶頂のまっただなかにいた95年に製作、主演した海洋SFアドベンチャー。
温暖化現象が進んだ果てに、すべての陸地が海中に没してしまった未来。どこまでも海が続く世界を舞台に、唯一残された陸地“ドライランド”の所在を記した手掛かりをめぐってひとりの男と海賊が激しい戦いを繰り広げる。海洋版『マッドマックス2』ともいった趣の作品で、そのアクションも壮絶で迫力満点! なかでも、水上バイクにまたがった海賊たちが人工浮遊都市を襲撃するシーンは、後にユニバーサル・スタジオのアトラクションになったほど。「木曜洋画劇場」ではK・コスナーのフィックス声優、津嘉山正種による新録バージョン&2時間20分の拡大枠で放送。

(平田裕介)

■ドランクモンキー酔拳
(2005年3月10日放送)

 世界的アクションスターとして君臨する現在も、『香港国際警察/NEW POLICE STORY』(04)、『プロジェクトBB』(06)などテンションの高い快作を連発しているジャッキー・チェン。そんな彼の代表作にして、香港や日本といったアジア圏でのブレイクを決定付けた出世作だ(日本でのジャッキー映画初公開作)。
とある道場のドラ息子フェイフォンが、カンフーの達人である風変わりな老人のもとで“酔えば酔うほど強くなる”拳法・酔八仙を修行。父親を狙う殺し屋を相手に、酔八仙を駆使して戦いを挑む姿を活写する。監督は『マトリックス』(99)、『キル・ビル Vol.1』(03)などの武術指導を務めたユエン・ウーピン。迫力のアクションとギャグを巧みに織り交ぜたスタイルは、ブルース・リーが築いたシリアス路線をひきずる当時のカンフー映画のスタイルを大きく変えた。
「木曜洋画劇場」では05年3月、ジャッキー役はお馴染みの石丸博也、お師匠役には青野武を迎えて吹替音声を再録した“21世紀特別編”での放送となった。本編中流れなかった日本劇場公開時のテーマ曲“カンフージョン”を、最後の番組クレジットでわざわざBGMとして流すなど、スタッフのイキなはからいもあった。

(平田裕介)

■レッド・ドラゴン
(2006年10月5日放送)

 トマス・ハリスの傑作サイコ・スリラー“ハンニバル・レクター”シリーズを原作とする映画化第3弾。物語の時系列としては、『ハンニバル・ライジング』(07)、02年公開の本作、『羊たちの沈黙』(90)、『ハンニバル』(01)の順に並ぶ。天才猟奇殺人鬼レクターに扮するのは、3度目の登板となるアンソニー・ホプキンス。エドワード・ノートンがレクターと対峙するFBI捜査官グレアムに扮し、緊張感あふれる演技合戦を繰り広げている。監督は、アクションだけでなくドラマでも手堅い演出をみせる『ラッシュアワー』シリーズのブレット・ラトナー。レイフ・ファインズ、エミリー・ワトソン、フィリップ・シーモア・ホフマン、ハーベイ・カイテルら芸達者な豪華キャストを配して、前2作に劣らないサスペンスを盛り上げている。
レクター博士の逮捕で、心身に大きなダメージを受けたグレアム。彼はFBIを引退するが、やがて2家族惨殺事件の捜査に加わっていく。一向に犯人像が割り出せないグレアムは、拘留中のレクターにアドバイスを求めることを思いつくが……。メジャースタジオ大作のファースト・ラン&2時間20分拡大枠で「木曜洋画劇場」に登場。

(村上健一)

協力:(株)フィールドワークス supported by allcinema ONLINE