スミスの本棚  『 本上まなみさん  』

美しい人を前にすると、じっーと見つめてしまう・・

 

これはやはり、人間のさがなのでしょうか。

 

 

約1時間。

終始、本上さんの清清しい笑顔に惹きつけられ

その周りをゆったりと漂う空気感に酔いしれていました。

(私、大丈夫でしょうか・・)

 

質問をしっかりと受け止めた後、頭の中で瞬時につむぎ出された言葉が

滑らかにこぼれ出てきます。

しかもその日本語は美しく洗練された言葉ばかり。

言葉を大切に、日本語に深い思いが込められているのが

伝わってきます。

 

 

 

 

私生活では、4歳の娘さんを持つ 一児の母。

おのずと仕事に集中できる時間は限られてしまいます。

だからこそ、

仕事に全身全霊をかけて取り組み

私生活とのメリハリをつけて、バランスを取っているそうです。

 

 

本上さんは、女優の仕事だけでなく、

司会業やナレーション、そしてエッセイストとしての顔も持っています。

 

日常のふとした出来事を、飾らない表現でやわらかく語りかける・・

その独特の「本上ワールド」の表現スタイルに

多くの読者が引き込まれてしまうのです。

 

 

口下手で、初めての人とコミュニケーションを取るのが苦手だった・・

という本上さんにとって、

文章表現はとても大切なもので、特に『 短歌 』は、

気持ちを表現できる楽しいツールだと言います。

 

31文字の中にどれだけ言いたいことを詰め込めるのか、

という言葉のゲーム。

1つの表現でも、それを表す言葉のチョイスの仕方ひとつに

その人の性格がみえたり、同じ物に対しての視点の違いに驚いたり・・

『 短歌の会 』に参加しては、その魅力にはまっていったそうです。

 

 

 

 

そんな本上さんがお薦めしてくださったのが

こちらの歌集です。

 

『 奥村晃作 歌集 』         砂子屋書房 

 

 

5年ほど前、新聞で奥村先生の短歌に出会い、

すっかり虜になってしまったという本上さん。

とある短歌の会合(参加している本上さんもすごい・・)で奥村先生に

お会いして感激した・・というエピソードも。

 

(本上さん) 

「奥村先生は、

 集中力があり過ぎるほどに強い眼差しで日常の物事を捉えていて

 灼熱のような熱い心で短歌が作られている・・・

 何度も復唱しては暗証して楽しむんです。」

 

 

そう言って、ちょっとためらいながらも

大切な宝物を披露してくれるかのように、

奥村先生の作品を、いくつか朗読して下さいました。

 

 

 

『 どこまでが空かと思い 結局は 地上すれすれまで 空である 』

 

『 ボールペンはミツビシがよく ミツビシのボールペン買ひに 文具店に行く 』

 

 

奥村先生の歌は「ただごと歌」と言われます。

日常の折節の感動を一首の中に取り込み、封じ込めるだけで

こんなにも素敵な歌になるのでしょうか・・。

 

目前の局所に全身の観察力を持って没入する

その姿勢から生まれるユニークな世界観に、私も惹かれてしまいました。

 

 

ということで・・・

最後に私がお気に入りの 一首をご紹介します。

 

 

『 お先にと 黙って一枚の花びらが 落ちてゆくなり 桜満開 』

 

 

いかがでしょうか。