日刊ゲンダイコラム3/10掲載分

アラブ首長国連邦、7つの首長国のひとつ「ドバイ」。
番組の企画「世界の中での日本の力とは?」という問題を探るべく、
私は中東の暑い都市に飛んだ。
平均気温50度を超えるここドバイは、高層ビルが乱立し、
生き物のように成長し続けている。
その狭間に埋もれるように建つ幻想的なモスク、
無限に広がる砂漠、運河に浮かぶ古い貿易船。
新旧入り乱れる不思議な街である。
ただ、街には白い民族衣装のいわゆる「アラブの富豪」が見当たらない。
実は彼ら、砂漠の大豪邸で昼間を過ごし、
日が落ちて涼しくなるとそろりと街にくり出すのだ。

そして、今ドバイでは、そんな彼らが投資先としてお金をつぎ込む
大プロジェクトが進行している。
ペルシャ湾に浮かぶ全長9キロの巨大 な人工島「ザ・ワールド」。
空からの俯瞰でしか確認できない事にも驚いたが、約300の島々が集まって、
文字通り「世界地図」を作り上げている。
あまりのスケールの大きさにポカンとする我々取材班。
その後、既にクリントン元大統領やマイケルジャクソンさんも視察した
というこの島に、日本のテレビ局として初めて潜入することが許されたのだ!
我らが日本の島は、残念ながら北海道部分が見当たらなかったが、
海岸線もリアルに作られていて、中々の出来映え。
小さい頃の砂場遊びが、現実の世界に登場した、いう感じだろうか。
島は1島単位の販売で、そこにホテルを建てようが遊園地を作ろうが、
オーナーの自由。
まさに、最高に贅沢な大人の遊びですよね・・。
予約は殺到していて、約4割の島が既に売れている。
気になる日本島は誰か購入したのか?そのお値段は?
(4月第1週のWBS特番で放送予定)お楽しみに。

こんなバブリーな一面もあるドバイだが、全てを終えた今、
目を閉じて真っ先に浮かんでくるのは、喧噪 から離れた砂漠でのひととき。
夕暮れの砂漠を裸足で歩きながら、大きなオレンジ色の太陽が
砂の波に吸い込まれていくのを眺めていると、時間の感覚が失われてゆく。
一歩一歩、しっとりした砂が足を包み込む感触が、今も残っている。
お金の贅沢、心の贅沢。
新しいもの、古いもの。
光と影が見え隠れするここドバイは、奥の深い、魅力的な街である。

(日刊ゲンダイのコラム 2007年3月10日掲載分)