スミスの本棚   『 作家 ・ 角田光代さん  』

サンボマスター・山口隆さんからのご紹介は この方。

 

直木賞作家 角田光代さんです。

 

今回は特別に、引越しを終えたばかりの

角田さんの仕事場にお邪魔させて頂きました。 ( ↓ )

 

 

気持ちの良い風が入る 白い一軒家。

 

1階はミュージシャンである旦那さまの仕事場

そして2階のこちらが、毎日9時~5時まで 

まるでOLのように仕事に励む 角田さんの作業場です。

 

あまりにも仕事量が多い為、時間を区切ってメリハリをつけることで、

生活のリズムを保っているのでしょう。

ちなみに、アフター5を満喫する(飲む!)ところまで

OL生活を実践しているのです・・(笑)

 

 

そんな角田さん。

 

作家を目指したのは、なんと小学1年生の頃。

喋るのが苦手・・・というコンプレックスを抱えていましたが

作文で想いを伝えることで、誰かとコミュニケーションが取れる、

そこに大きな感動を覚えたそうです。

 

角田さん曰く 『 鎖国状態が解禁した!』

とにかく内からあふれ出る言葉を、どんどん紡いでいったそうです。

 

 

100万部を越えて大ヒットし、映画化もされた「八日目の蝉」

私も何度も涙した 角田さんの代表作です。

しかし角田さんは、はっきりと、

私の勢いを制止するように こう続けました。

 

  『 沢山売れたいとか、一切考えたことはないですね。

    私は、数と違うところでいつも書いています。

    売れないものが 世に残らないものではないですよね。』 

 

自身の表現に対する 揺るがない信頼感・・・素敵です。

 

 

角田さんの描く、

女性の複雑な心理や 家族間の微妙な関係の描写には

いつもゾクゾクさせられます。

卓越した想像力。

細かい心理描写で埋められる、みっちりとした文体。

 

 

そんな角田さん選んだ1冊は、 意外にも対極的な作品でした・・・

 

 

   『 清兵衛と瓢箪 ・ 網走まで 』      志賀直哉  著 

 

 

作家としての成長期に執筆した短編集です。

 

中学生の頃に一度読んで「つまらない」と置いてしまった本。

30代で再度手に取り、そのあまりの面白さに驚愕したと言います。

 

『 言葉が簡潔。 余計な説明は一切書かずにスパン書いて、スパンと終る。

  それが、かえって読み手の余韻となり、うわっと世界が広がる感じ。』

 

 

触れた感触や温もりまで伝わってきそうな

細かい描写が特徴でもある角田さんにとって、その簡潔さは衝撃でした。

 

短い言葉だからこそ、受け取る世界の奥行きは深くなる。

この本で、その世界を体験した角田さんは

「うわーっっっ!」と叫びながらゴロゴロしたいような感じに襲われたとか。

 ( 作家が言葉に表せないくらいの衝撃って・・・ )

 

 

(森本) 「どんな人にお薦めしたいですか?」

(角田) 「昔、志賀作品を呼んでも何とも思わなかった人。

      ある程度歳を重ねた後、もう一度ぜひ読んで欲しいですね。」

 

 

今後は、これまであまり接点の無かった「ホラー」のような作品にも

チャレンジしてみたいという 角田さん。

 

でも、やはり基本は

誰かの生活に密着した、寄り添った作品でありたい・・と角田さん。

 

― 読者としての私の願い。

これからも角田さんには、 変わらず

繊細なみっちりとした文章で、私達の心を熱く震わせてほしいな、と。