スミスの本棚   『 劇作家 演出家 ・ 岩松了さん  』

脚本家、宮藤官九郎さんからのご紹介。

 

互いの舞台に出演し合い、

去年は一緒に過ごした時間が最も長かったいう

劇作家・演出家の 岩松了さん。

 

タイヤのCMでもお馴染みですよね。

 

実は岩松さん、長崎県のご出身。

ふるさとが同じというだけで、一気に親近感が高まります。

 

 

長崎から はるばる東京へ。 都会に出てきた証として・・

と 飛び込んだのが「演劇」の世界でした。

 

本格的に脚本を書き始めた当時は、

メッセージ性の強い、熱い演技が主流で、

 

 『  どうしてあんなに騒がしい芝居なんだ・・

   人間の営みって、もっと表面には出ないドロドロしてる部分

   本当のドラマは水面下にあるんじゃないか・・  』

 

という想いが強く、問題は表に出さない、

本音を台詞にのせない、そんな作品を作ってきました。

周りからは、「よく分からない」 と言われる事もあったそうですが

『 言葉に収まるものなんて、所詮しれている 

   言葉では、決して人は真実を語れない。 』

 

言葉の奥に潜む、真実の人間模様を描いていきたい・・

そんな想いで、今でも作品に取り組んでいると言います。

 

 

その岩松さんが、

「自分と同じ事を100年前にやってた人がいた!」

と紹介して下さった 一冊がこちら。

 

 

『 かもめ 』    チェーホフ      神西 清 (訳)

 

 

ロシアを代表する 劇作家・チェーホフの代表作。

長編の戯曲で、チェーホフの4大戯曲の最初の作品で、

叶わぬ恋の群像劇を通して、人生とは 芸術とは・・考えさせられます。

この作品によって、チェーホフの名声は揺ぎないものになった とも言われています。

 

 

演劇と言えば、やはりシェークスピア等が盛んだった当時。

より人間的で、新しい攻撃的な視点で参入してきたのが「チェーホフ」

 

『 基本的に人間は何かに束縛されていて、

  本当に言いたいことが言えない。

  そんな世界でうごめいている群像劇を、演劇でやりはじめたのが

  チェーホフなんじゃないかな。  』

 

と、岩松さん。

「退屈な日常に潜む水面下のドラマ」 

まさに岩松さんがやろうとしていることを

100年以上前に考えていた人物がいたのか・・と感慨深いものがあったそうです。

 

 

物語は淡々と進み、最後に待ち受けるショッキングな結末でさえ、

どう読み解くかは、読者に委ねられているような気がします。

 

 

これからも、よりリアルな人間の内実を描いていきたいという 岩松さん。

同郷の後輩として、ずっと応援させて頂きます!