スミスの本棚   『 作家 ・ 島田雅彦さん  』

劇作家の岩松了さんからのご紹介。

 

その甘いマスク(表現古いですか・・)で人気の作家、島田雅彦さんです。

今回は特別に、仕事場でもあるご自宅で インタビューさせて頂きました。

( はしごを上った先にある屋根裏部屋で、執筆中↓ ) 

 

島田さんと言えば・・・

芥川賞に6回ノミネートされ、最多の落選記録の持ち主でありながら、

2010年 その選考委員に抜擢され、話題になりました。

 

『 6回ノミネートされた内、5回が受賞作なしだった。

  それって選考委員がいる意味ないでしょう。

  僕が加わることで、ちょっと変わった作品なんかも選ばれて

  世間から注目されたり・・文学に関心を向けることができれば

  芥川賞への「クリエイティブなリベンジ」 になるかなと。 

  今でも、芥川賞なんて「退屈な保守」だと思ってますよ。 』

 

 

会話の端々に巧みに挟み込まれる、

くすりと笑いたくなるような(皮肉交じりの!?)表現。

それも、島田さんの魅力の1つ。

インタビュー中も 何度も吹き出しそうになるくらい、楽しませて頂きました。

 

 

そして、東日本大震災では、 

『 言葉は上手く使えば、ほころんだ世界を結び直し

  絆を育むことができる 』

と、被災地で朗読会を開催したり、

作家仲間から募ったサイン本をネット上で販売し、

収益を被災地に寄付するという支援活動にも、取り組んでいらっしゃいました。

 

『 この震災で、人々は資本主義の弱肉強食の世界から初期化されて

  自然と善意に向かった。これから、経済を立て直していく中でも、

  その中に、善意や倫理というものが入っていなければならないのだと、

  皆が悟ったのでは。 』 (島田さん)

 

 

そんな島田さんが 

「 今までの悩みなんてちっぽけだって、視野を広げてくれる・・ 」

と紹介して下さった一冊が、こちら。

 

 

『  コレラの時代の愛  』      G ・ ガルシア=マルケス 著

 

19世紀末から20世紀初頭のコロンビア。

内戦が続き、コレラが蔓延していた時代が舞台となって繰り広げられる、

一人の男の半世紀にも渡る 一途な愛の物語。

 

時間軸も時代背景も、とてつもないスケールの大きさです。

500ページにも渡るこの大作の著者は、G・ガルシア=マルケス。

一人の女性を51年と9ヶ月待ち続けた男、

夫を亡くした夜、その男に愛を告白される72歳の女。

マルケスらしい、幻想と妄想の世界のお話です。

 

 

それなのに・・。

私は、圧倒的なリアリズムに胸が締め付けられ、

気がつけば、物語にどっぷりと入り込んでいました。

 

「時間」と「空間」を巧みに操る マルケスという作家の偉大さを 改めて感じます。

歴史叙述の正確さはもちろん、その時代の様々な階級の人の生活が

手に取るように詳細に描かれています。

 

『 歴史というものは、主要なことしか記録に残らない。

  小説だけが、その時代の空気や匂い、感情を記録できるメディアなんです。』

                                       (島田さん)

 

更に、この本を特に読んで欲しいという ビジネスマンに向けて.

 

『 いかに成功するか、貯蓄するか・・で頭が一杯で ビジネス書ばかり

  読んでいる方達の視野をグッと広げてくれる。

  人生をもっと楽しく生きたければ、

     むしろあなた方が読むべき本は こちらだ。 』  (島田さん)     

 

500ページを超える超大作ですが、

私自身、最後は読み終えるのが惜しいほど 引き込まれた一冊。

たまには現実を離れ、どっぷり浸かってみるのもいいかもしれませんね。

『スミスの本棚』ホームページはこちらから

http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/blog/smith/