イラストレーター 宇野亜喜良さんからのご紹介。
小学生からお婆さん役まで 見事に演じきる役者であり、
自ら舞台の構成・台本・演出まで手がける、高泉淳子さんです。
「週刊こどもニュース」のお母さん役として、
印象に残っている方も多いのではないでしょうか。
『 舞台なんて、後に残らないしリスクも大きいし、
お金にならないし・・なんでこんな事やってるんだろうって思う。』 (高泉さん)
でも、何も無くても体さえあれば即興で生み出すことができ、
毎回その瞬間限り・・そんな「生もの」の舞台の力を信じていきたい、と話します。
そんな高泉さんの推薦本は、高泉さん自身を救ってくれた 一冊。
― 【 禅的生活 】 玄侑 宗久 著 ―
初めての海外で、舞台をゼロから作り始めた時
様々な壁にぶつかる度に ページをめくっていたそうです。
「禅」的な生活とは?
この本では、肩肘張らずに
身近な生活の中にいかにして「禅」の教えを取り入れていけばいいのか
学べる一冊です。
著者は、芥川賞を受賞した異色の僧侶、玄侑宗久(げんゆう そうきゅう)さん。
玄侑さんは、本の中でこう話しています。
『 禅的な生活が世間的に模範の生活だなんて 全く思っちゃいない。
私のズボラさは(中略)充分ご理解いただけるだろう・・・ 』
他にも、私がビックリしてしまう数々の名言(?)が。
〇 禅は「虫のいい宗教」
〇 悟りとは、「うすらぼんやり」の状況
〇 「私自身が悟っていないので・・その周辺までしかお話できない」
しかし、玄侑さんは こうも話します。
『 私が、今 何故生きるのが楽なのか?
それは、「禅」のお陰だと思っている。』
禅の言葉を通じて、その世界観を味わい、
更には、その教えを日常生活に役立てる。
迷いや辛さが少しでも減って、日々を楽に生きられるようになるヒントを
玄侑さんが、優しく教えてくれます。
高泉さんが、実際に救われた、という「禅語」を 2つご紹介しましょう。
【 無可無不可 (可もなく不可もなし) 】
→ 「まあまあである」という現代の使われ方とは 全く違います。
やってみる前に判断するのは、自分の可能性をみくびること。
自分の内部は無限の可能性を秘めて混沌としている、と認めること。
【 日日是好日 (にちにちこれこうにち 】
→ 1日1日は独立していて、昨日に今日を積み重ねてはいけない。
(毎朝初心で向き合うことが出来る)
今という足場にしっかり立つことから、全ては始まる。
つまり、私達は現状を完全に肯定することで、
何度でも生まれ変わることができる、ということ。
昨日に今日を積み重ねてはいけないが、
過去の自分は、全て、今という瞬間に展かれている。
そして未来に何の貸しもない。
そのことを、心底 胆(はら)にすえて生きれば、いつどこでも死んでいいという
覚悟になるものだろう・・・とも書かれています。
高泉さん、今後も自分の方向性を決め付けることなく、
無限の可能性を信じて活動していきたいと、話します。
最後に、印象に残った一節を。
【 禅 】とは 終着のない「道」。
― 死ぬまで「自己」とは何なのか、生活の中で問い続けるものであり、
その答えは、生き方にしか存在しないものなのだ ―