スミスの本棚  『落語家・立川志の輔さん』

臨済宗の僧侶であり、作家でもある 

玄侑 宗久 (げんゆう そうきゅう)さん からのご紹介。

 

落語家 立川志の輔さんです。

 

チケットの入手が最も困難だといわれる 

志の輔さんの「独演会」に お邪魔させて頂きました。

 

もちろんこの日も、満員御礼。

舞台にひとり。

座布団の上の志の輔さんからこぼれ出す 魂の落語に

大勢の観客が、息をのんで聞き入ります。

 

 

ピーンと張り詰めた空気。

志の輔さんの一言が、どっと会場を揺らします。

 

 

『 落語って何なんだろう・・ 』

 

 

難しい話を理解する・・というよりも、

面白い話を聞いて、客の一人一人の頭の中のスクリーンに

そのシーンが立体化されていく感覚を味わってほしいと

志の輔さんは言います。

 

落語家は、ただ喋っているだけ。

それを材料に 「頭の中での立体化」 という芸能の面白さを

体感してほしいと。

 

ともすれば、遠い存在だと受け取られがちな落語を、

現代の笑いを織り込みつつ、より身近に感じさせてくれたのは

志の輔さんの「新作落語」の貢献が大きかったのは 確かです。

 

練りに練られた一言も無駄のない「古典落語」の伝統を

踏襲してゆくのはもちろん。

そこに、タイムリーでビビットな今の時代の面白さを盛り込んだ

「新しい落語」」も 必要なのではないか・・と志の輔さん。

 

 

今回 紹介して下さった本は、

志の輔さんが 談志師匠のもとへ弟子入りしてから12~13年後

初めて新作落語に取り組むきっかけを与えてくれた 1冊。

 

  【 バールのようなもの 】        清水義範  著 

 

 

著者の清水さんに出会わなかったら、

ご自身の新作落語は無かった、と志の輔さんは話します。

 

『 とにかく、着想が天才! 

  こだわり方が半端ではないんです。』

 

この本からも、2作。 志の輔さんの新作落語が生まれました。

「そばときしめん」 という本を読んで感動した志の輔さんは

著者の清水さんの自宅を訪れ、落語を書いてほしいと懇願。

志の輔さんの熱意に負けて、承諾して下さったそうです。

 

ひとつの物事を突き詰める 執念

世の中に対して 客観的に批判する鋭い視点

それを全て 独特のユーモアに落とし込むセンス   本当に素晴らしい。

 

 

『 清水さんの作品の魅力ってなんですか? 』 (森本)

 

『 現代の不思議・こだわりが詰まっていて、

  それは古典落語にはないんですよ。 』 (志の輔さん)

 

古典落語は、飢えと寒さと貧乏がベースになっていて

モノがないことでの笑いが基本だが、

現代はモノが有り余っていて

その中で、企んだり失敗したりする・・その面白さを

清水作品は見事に描いているといいます。 

 

この1冊の中に、笑い、シニカル、コント風等、

様々なテイストの短編が盛り込まれています。

絶妙に仕組まれた、その短編の配列の仕方が

全てを読んだ後の達成感にもつながっているような気がします。

 

 

若い人達にも、落語の面白さを味わってほしいと願う 志の輔さん。

 

落語について何も知らなくても、

「面白かった!すごく笑った!」   それだけでいいんですよ、と。

 

一瞬の皆の笑顔の為に、日々 笑いの材料を模索し続ける 志の輔さん。

 

これからも、新しいユーモアの世界を楽しみにしています!