スミスの本棚 『ロボット学研究者・石黒浩さん』

明和電機 社長 ・ 土佐信道さんからのご紹介

 

                                         ロボット学研究者 ・ 石黒浩さんです。

 

 

人間とそっくりのロボット「アンドロイド」研究の 第一人者である石黒さん。

(予想を裏切らず・・笑) とっても、個性的な方でした。

科学者でもありながら「哲学者」のような石黒さんは

ロボット研究を通じて、常に 「人間とは何か・・」 を追求しています。

 

『 ロボットを作ることは 人とは何かを知ること 』  (石黒さん)

 

そんな石黒さん、今回 非常に読み応えのある一冊を

                                                               ご紹介して下さいました。

 

 

皆さん、「クローン」という言葉、 聞いたことありますよね?

90年代後半、同じ遺伝子組成を持つ複数の 羊や牛が注目されました。

同じ哺乳類である「人」に対してのクローン技術の適用は、

医学・生物学の側面からだけでなく、倫理・哲学・宗教など面においても

あまりにも問題提起が多すぎて、未だ議論の只中です。

 

 

もしも、人間が抱える様々な病気を治療するため

臓器を提供するだけの目的で誕生した 「クローン人間」が

あなたの隣に 普通に生活しているとしたら・・・

そんな、不思議な語を綴ったのが、こちら。

 

 

【 わたしを離さないで 】           カズオ・イシグロ 著

 

 

郷愁の想いが、ゆっくりと心に染み渡るような逸品です。

 

見事に設計された展開。

自ら 絡まった紐をほどいてゆくかのように、やがて真実が明らかとなり、

全てのひっかかりが解けたとき、

私達は、胸をえぐられる様な、痛切な感情に襲われます。

 

淡々とした、どこにでもある日常の営みの中の子供たちが

実は「クローン人間」であったという衝撃。

久しぶりに、小説で心を激しく揺さぶられました。

 

「やがて、自分の命は誰かの臓器の一部として使用される・・」

つまり、彼らの生まれた目的は

幸せな人生を歩むことではなく、臓器提供という定められたもの。

【わたしを離さないで】 という言葉に込められた

何かにすがる想い、そのあまりの深さに

私はしばらく、本を手に 呆然としてしまったほどです。

 

 

『 おそらく クローン人間のような存在は、

  今の社会では受け入れられないだろう。 

  でも、人間や心の定義ってどんどん変わっていっていて、

  クローン人間が人権を持ち、差別なく受け入れられることも

  可能性としてあると思います。 』 (石黒さん)

 

心ってなんだろう?

命の重さってなんだろう?

 

この本は、私達にそんなことを常に投げかけてきます。

 

石黒さんは、アンドロイド等のロボットを研究している中で

『 人とは何か。 心とは何か。 

  そこに 一切の折り合いをつけないっていうのが研究者として

  一番大事なこと。 』    そう話します。

 

 

アンドロイドはどこまで人間に近づけるのか・・?

 

 

『 アンドロイドが世に普及したとき、何が起こるのか・・・

  この小説くらいの想像力を持って僕は研究できているか? 』

 

そう話す石黒さんの眼差しは、

既に 遠い未来へと向いているように感じました。

 

 

是非、皆さんにも

      読んで、様々な感情を味わって頂きたい一冊です。