スミスの本棚 『映画監督・本広克行さん』

劇作家 ・ 平田オリザさんからのご紹介 

 

            映画監督の 本広克行さんです。

 

 

本広さんと言えば・・「踊る大捜査線」シリーズ

ドラマが大ヒットし映画化され、社会現象になるほど一世を風靡(ふうび)しました。

監督の本広克行さんは、その映画に対する姿勢までが注目され、

『 本広本(もとひろぼん) 』として出版されています。 

 

その肩書きと勝手なイメージで、怖い方だったらどうしよう・・

対面に若干のためらいがありましたが、実際にお会いした監督は

とっても穏やかで、むしろ癒し系(笑)。

言葉を交わしているだけで、ホンワカな気分になりました。

 

やはり「踊る・・の監督」と、初対面の方には身構えられることが多いと言います。

売れっ子の監督も大変だな、と思っていたら

『 どんな環境や立場でも、言葉はどんどん出てくる 』 と、本広さん。

 

今回は、監督にそう言わしめた、

人間関係を上手くコントロールできる本を、ご紹介して下さいました。  

  

【 演劇入門 】       平田オリザ  著

 

この本に出会うまで。

映画監督という立場にかかわらず

役者さんに対して「動き」の指導しかできず

本当の意味での「心の演出」ができていなかった、と振り返ります。

 

今は、『 相当、演出できる監督になっていると思いますよ(笑) 』

この本の何が役に立ったのでしょうか?

 

まずは、誰もが何かの 「役を演じていること」 を理解すること。

 

本広監督の場合・・・

 

〇 映画監督という役

〇 あの「踊る大走査線」の、あの監督という役

〇 家族の中での、夫・父親という役

 

『 演劇と日常は紙一重 』

日常生活の中の全てが、何かの役を演じている。

そう割り切ることで、自分が今相手に何を話すべきか、

どう動くべきか・・ スッと出てくるようになると言います。

 

そこに気がついてからは、

自分でも驚くほどに、コミュニケーション能力が良くなり、

役者さんに対しての演出の仕方も、的確になったそうです。

 

 

この本の中で、何度も出てくる重要なキーワードが

【 コンテクストのすり合わせ 】

 

コンテクストとは、立場・環境・感性 という感じでしょうか?

相手と自分のコンテクストをすり合わせていくことで、

コミュニケーション能力・対話能力のみならず、

相手との距離感をつかむことも、簡単にできるようになるそうです。

 

それが、奥様や子供たちとコミュニケーションを取る上で

とても役に立っているんだと・・ 監督はにっこり微笑みます。

 

 

『 コミュニケーション能力がうまくいかなくて悩んでいる人って

  相当いますよね。どんなにビジネス書を読んでも自分の中に

  しっくりくるものがなかったという人は、この本で間違いなく何か

  発見があると思いますね。』  (本広監督)

『 そうすると・・・今、インタビューをしているこの瞬間も

  監督は役を演じていてるのですか? 』 (森本)

 

『 もちろんです。』 (本広監督)

 

『 えーっ!』 ちょっとくすぐったい気分になりましたが・・・

 

しかし、会話がキャッチボールのように弾み、

              その中で互いを深く理解し合えるのなら・・

演じることを試してみるのもいいかな、と。

人見知りしがちな私には、かなり参考になる本でした。