スミスの本棚 特別編 『直木賞作家・安部龍太郎さん』

今回のゲストはこの方、

                       作家の 安部龍太郎さんです。 ↓  ↓

 

 

安土桃山時代の絵師、長谷川等伯の一生を描いた小説

【等伯(とうはく)】で、今年の直木賞を受賞しました。

『 このような晴れの日が、僕の人生の中に来るとは思っていなかった・・ 』

受賞後の、安部さんの朴訥(ぼくとつ)とした言葉がとても印象的でした。

 

 

安部さんと言えば 「信長燃ゆ」など、戦国武将を描いた歴史小説が

有名ですが、今回初めて「絵師」に挑戦。

『 詳細な記録は残っていないが、自分を無にして作品(絵)と向き合うことで、

  400年の時間を超え 等伯が語りかける声が聞こえてきた・・ 』 (安部さん)

 

こちらは、等伯が身近な人をたくさん亡くし、様々な災難も乗り越えて

たどり着いた境地ともいえる 『 国宝 ・ 松林図屏風 』

まさに、日本の水墨画の最高傑作です。

 

明らかに少ない筆致と、墨の濃淡だけで

松林の奥に続く広がりと、湿潤な空気感を 見事に表現しています。

 

どんな苦難に直面しても、揺るがない己の意志があれば道は開ける。

そこで出会う新たな自分によって、さらなる高みに到達できる。

 

等伯の生き様が、繰り返し そう私に語りかけます。

 

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今回、安部さんのインタビューは、京都にある

               等伯ゆかりの寺 【本法寺】で行いました。

 

小説の中でも度々登場し、寄進された作品も残っています。

 

 

久しぶりの京都。

まるで時が止まったような 庭園の静寂に聞き入り

                  つかの間の “彼岸”の世界を味わいます・・

 

普段は撮影が許されない寺の内部ですが、

安部さんの願いであればと、貫首のはからいでお邪魔することができました。

室町期の枯山水、桃山時代の息吹、

両方をバランスよく表現した名庭を眺めながらのインタビュー。

 

安部さんがお薦めしてくれた本は、こちら。

 

【 花見ぬひまの 】         諸田玲子  著

 

幕末に実在した男たちの影で

密かに恋の花を咲かせた「尼さん」たちの 切ない恋物語。

誰もが知っている歴史上の人物。

私たちが教科書でなぞる歴史、それを左右していたのは

実は、その陰にいた女性たちなのかもしれません。

 

この本のポイントは、登場する女性が皆「尼さん」であるということ。

「気持ちを殺さなければならないのに、できないもどかしさ」

時代や価値観が異なっても、「誰かを想う心、惹かれあう気持ち」 は、

変わらないのですね・・

そして、社会との摩擦も覚悟で走り出す 女性たちの生き様は、

『人生の縮図』。

 

恋心と共に描かれる「仏教」の普遍性も、物語を更に深いものにしています。

 

 

最後に、この本に貫かれたメッセージをご紹介します。

 

「面白きことの無き世と思いしは、花見ぬひまのこころありけり・・・」

 

『 恋をしてごらん、世の中は途端に面白いことばかりになりますよ・・』