スミスの本棚 特別編 『作家・三浦しをんさん』

今回は特別編。

 

2012年の「本屋大賞」を受賞、先月には映画化もされて大ヒットした

【 舟を編む 】の著者、三浦しをんさんがゲストです。

年齢も1つ違いということで、いつもよりリラックスして臨むことができました。

 

しかしながら・・・ この凛としたたたずまい。  

つむぎ出す言葉のひとつひとつに重みがあり、

妥協の無い言葉の選択をしている、という印象で圧倒されました。

「舟を編む」=「辞書の編集する」 という少し変わったタイトルですが

 

『辞書とは、言葉の海を行く船みたいなものというイメージだったので・・・』

と、三浦さん。

 

決して派手な展開はありませんが、辞書編集にかかる約15年という

緩やかな時の流れと共に、主人公とその周りの人々の心の動きが

丁寧に描かれています。 

日本語の複雑さを改めて実感する一方で、その素晴らしさを再認識。

とても誇らしい気持ちになります。

 

 

そして今回、三浦さんが、

『 とても大切で大好きな一冊。 その後の生きる指針にもなった。 』

と、お薦めして下さった本が こちら。

 

 

【 水の家族 】      丸山健二  著

著者・丸山健二さんの本を 一度も読む機会がなかった

自分のこれまでの人生を、大いに悔やむほど

本当に素晴らしい一冊でした。

 

まるで映画を観ているように、情景が目の前に浮かんできますが、

この小説の良さを どう表現したらいいのか 

パソコンを打ち込む手が進みません・・。

 

《 生や命の壮大な叙事詩、水と命の循環の物語 》 

 

言葉で表現すると、何かが足りない気がして。

もっと雄大で、脳や身体では受け止められない感動が

潮が満ちるように押し寄せてきます。( 分かりにくいですよね・・) )

 

三浦さんは、『 本当に小説が持っている力を実感できる一冊 』 だと言います。

主人公が死ぬ場面から、物語は始まります。

そして、彼の魂は小さな虫や雨水などに乗って彷徨いながら

様々なことに気がつき、成長し、やがて魂が昇華するという

一種の「成長物語」とも言えます。

 

 

『 それまで「無意味」なものはバカらしいとか、くだらないとか、

  勝手に「意味と無意味」を分類していた。でも自分自身の生も含めて

  そんなことはないんだって、ものの見方を示してくれた作品 』(三浦さん)

 

 

特にラストのシーンの迫力は凄まじく、

自分も含めて全ての出来事が、一気に宇宙の外に吸い出されるように

ぐいーーんと収斂していくのです!

このミクロとマクロの視点の移動観が、

              小説の醍醐味なのかもしれません。

『 今まで以上に小説が好きになり、小説が出来る表現への信頼を得た。

  それが無かったら、小説を書き続けることは出来なかった。 』

 

それほどまでに 三浦さんの心を動かした、丸山健二さんの一冊。

 

間違いなく、私自身のベストブックの1つにもなりそうです!