今回のゲストは、作家の童門冬二さん。
歴史小説の第一人者です。
代表作でもある、小説 『上杉鷹山』
どん底に陥った「米沢藩」を、さまざまな決断と改革で立て直し
新たな国作りに取り組んだ、そこから何かを学びたいと、
不景気の日本で、度々注目された作品。
【 歴史は現在に生きている 】
童門さんの歴史小説からは、そんな想いがが伝わってきます。
実は童門さん。
かつては海軍の特攻隊に所属、
そして51歳までの約30年余り東京都庁に勤務
(3人の知事の元で、広報や側近として活躍)
その後執筆に専念し、56歳でベストセラー作家に、
86歳を超えて尚、現役で活躍されているのです!
( 最新作がこちら ↓ )
『 終身現役、一生勉強、起承転転で生きる 』
何を始めるのにも遅すぎることはない・・という 童門さん。
そんな童門さんがお薦めする本が、こちら。
【 津軽 】 太宰治 著
太宰治が私と同じ歳の頃の作品。
「斜陽」や「人間失格」など、やや「陰」の印象が強い作品が多い中、
この作品は珍しく、素直に前向きな持ちを綴ったものです。
故郷である「津軽」の自然や歴史をたどりながら、
自身のルーツや家族や友の愛を求める旅。
ひょっとすると、これが太宰治の本当の姿=原点ではないかと
思わせるな作品でもあり・・・その後、彼が(酒・薬・心中といった)
地獄のような苦悩に苛まれていく姿を知っているだけに、
私達は、より心を揺さぶられるのかもしれません。
『 新しい自分に生まれ変わっていこう!
勇気と励ましをもらった。』 (童門さん)
特攻隊から生きて戻ってきた後、世間の冷たい視線に
押しつぶされそうになっていたとき、太宰の瑞々しい生き生きとした文章に
とても励まされたと言います。
『 本当の太宰は、優しくてピュアで傷つきやすい人間なんだろう。 』
照れ屋で、少しひねくれ者で・・太宰と自身の性格を重ね合わせる童門さん。
太宰がこの作品の中で、故郷の旅を通して精神の安定を取り戻したり
乳母との再会によって心が浄化され救われたことが、
童門さんの精神にも大きな影響を与えた言います。
さらに。
『 太宰の文章の行間には「詩心」がある。
読む者の心を和らげるような・・ 』 (童門さん)」
文学少年だった童門さんの繊細な心に深く響いてきた
太宰の言葉の一つ一つ。
「津軽」の最後のセリフには、やはりグッときたと話します。
『 元気で行こう。 絶望するな。 では、失敬。 』
何気ないひとこと。
読者に語りかけながら、
自分自身を奮い立たせるような・・全てが凝縮した印象的なラスト。
太宰作品の本質に触れることができたような気がして、
改めて、じっくり向き合ってみたくなりました☆