二人の男の涙

先週行われた日本ダービーは大激戦でした。

 

 

たくさんの涙がこぼれました。

 

 

中でも印象的な涙は、ハナ差で明暗を分けた、二人の男の涙です。

 

 

 

 

初めてダービーを制し、人目をはばからず馬上で涙を流した、岩田康誠騎手。

 

パートナーは、デビューからずっとその手綱を取ってきたディープブリランテ。

 

 

デビュー戦を圧勝。

二戦目の東京スポーツ杯2歳ステークスでも、不良馬場をものともせず3馬身差の快勝。

 

この時私もこの世代でダービーを取るのはこの馬かなと思ったほどの強さでした。

(後付けじゃなく、本当に(汗))

 

 

しかし、その後は共同通信杯2着、スプリングステークス2着、

 

そしてクラシック1冠目、皐月賞では3着と、結果を出せずにいました。

 

原因といわれていたのが「折り合い」の問題。

 

 

走る気満々なディープブリランテはスタートから勢いよく行き過ぎてしまい、

終盤の余力を残せませんでした。

 

 

日本ダービーはこれまでで最も長い2400Mという距離。

 

 

うまく折り合いをつけて、距離を持たせることができるのか。

 

 

この馬にとって一番の課題でした。

 

 

不安視する周りをよそに、

岩田騎手はディープブリランテにつきっきりでコミュニケーションを取るようにしました。

ディープブリランテのことをもっと知り、レースでの折り合いをつけやすくするためです。

 

 

そうして迎えたダービー。

 

 

好位でしっかりと折り合いが付き、先頭に立ってからは

最後の最後まで頑張りフェノーメノの猛追をハナ差しのぎました。

 

 

写真判定の末、勝利が確定すると、岩田騎手は

ディープブリランテの首にもたれかかるようにして涙しました。

 

かつてレース中に見せた荒々しいディープブリランテの姿はそこになく、

岩田騎手の涙を、

立ち止まって、直立のまま、その背中で受け止めていました。

 

岩田騎手とディープブリランテの絆がはっきりと見えた瞬間でした。

 

今思い出すだけでも涙腺が緩んでくる光景です。

  

 

 

 

 

 

 

もう一人の男の涙は、ダービーという夢にハナ差届かなかった、

フェノーメノ鞍上蛯名正義騎手。

 

 

 

「青葉賞馬はダービーで勝てない」

 

 

そんなジンクスを打ち破る勢いで最後の直線は前に迫りました。

 

 

届かなかったのは「運」なのか、青葉賞馬の「運命」なのか。

 

 

結果がすべてのこの世界。

 

勝てばダービー馬、敗れればダービーで勝てなかった馬。

 

蛯名騎手はその重みを重々わかっています。

 

 

「悔しすぎて何とも言えない」

 

20回目の挑戦でも夢に届かなかった蛯名騎手は言葉を絞り出しました。

 

 

 

 

テレビ東京杯青葉賞を中継しているテレビ東京にとっても

青葉賞からダービー馬が出ることは悲願です。

 

 

フェノーメノはその夢も一瞬見させてくれました。

 

 

夢かなわなかった青葉賞馬でのちにスターホースとなる馬は幾多います。

 

後のフェノーメノの活躍を期待しています!

 

 

 

私が競馬担当になってから見る4回目のダービー。

 

 

今年も忘れられないダービーになりました。