えびったら

\t・・我が目を疑った。
何だこれは。
ここは有名レストランのはず。

なのになぜ目の前に、け、剣山が?

日本でいけばなを習っていたが
剣山に一本一本花を生けるときのあのほのかな緊張感、
ああ、日本人の心を「創り上げていく」瞬間だった。

その、「和の精神」の礎となる
剣山に・・・・・・・エビが刺さっている。ずいぶん大きい。
横にはレモンが刺さっている。アトランティックシティ 003.jpg

拡大してみよう
アトランティックシティ 005.jpg

やはり剣山である。

「何ですか、これは!」
思わず聞いた

オーダーした知人も目を丸くして答えた。
「えびですね」

たしかに。そのエビはとても立派で、煮込んだスープからはうまみたっぷりの香りがする

美味しそうだ。
だが、えびが「剣山」にささって登場すると
日本人として衝撃は大きい

「ここはアメリカンスタイルの創作料理で有名な店なんだけれど・・・
それにしても斬新だねえ」

斬新というかなんと言うか、日本人だったら
こんな使い方は常識的に絶対にしない。ありえない
お華の先生がみたら卒倒するだろう。

でも、NYにその名を轟かす有名シェフにとっては
剣山はえびをさすのにちょうどよい、料理の演出にもってこいの小物だったわけだ。

「常識」は時に、「創造力」の妨げになるのかもしれない。

この間、「おなか」とひらがなで書いたTシャツを、かっこいい男性が颯爽と着ていた。
意味をわかって着ているのか。日本だったら、決して着ないだろう。

最近はなぜだかアジアンブーム。
とにかく日本の文化や伝統への関心が高まっている

「今や、すし屋なんて1ブロックごとにマンハッタンにあるしね。
特に日本食への関心は高いんだよね」

そうそう、
新聞によればアメリカの子供は1週間に2−3回は日本の寿司(アボカドロールとかね)を夕食に食べてるそうですよ。びっくりですね。

「スパイシーツナって知ってる?
トロのたたきになんとタバスコが入っている。これが美味しいんだよ」

試してみると、ぴりりと辛くてなんともメキシカンな、くせになる味。
へえへえへえ。意外!おいしいですね。

妙なものもある。
「日本食とフレンチの融合」という食のイベント取材で食べた
「ゆばとフォアグラのあぶり焼き」
・\t・・・・微妙だ。湯葉にフォアグラの油がしみてしまって、においがきつい。
「抹茶ビビンバ。」
・\t・・これも・・・・無理があるっ。抹茶とナムルは絶対にあわない。

文化の融合は試行錯誤のまっただなかで
「日本」と「アジア」がごちゃまぜになっている感はあるものの、そのうち、「日本人」の常識を覆す、おもわぬ産物が生まれるかもしれない。

経済だけでなく、いまや文化もグローバル化。
伝統は大切に、でも常識にとらわれず。
広い心を持たなければ、世界の好奇心に遅れを取るかもしれないと剣山とえびを見て実感した