赤と青 ⑨ (シリーズ物です)

【時間旅行】

昭和34年8月10日。パリーグの首位は南海ホークス。61勝30敗で大毎に3.5ゲーム差だ。投手では西鉄の稲尾が21勝11敗でハーラートップ、南海杉浦は23勝3敗で防御率2位、250イニング前後に達している2人とも1点台の防御率だからこれはすごいものだ。

いつの時代も記録はいろんなことを教えてくれる。
ページをめくった。
背の丈もある本棚が迷路のように続き、靴の音だけが響く。
久々の図書館は意外に新鮮で、あれもこれも読みたいと思うのはこの雰囲気に流されているだけかもしれないが。
調べ物は新聞の縮刷版だ。

前記の日、その日が米倉健司さんの世界初挑戦の記事だ。

「プロボクシング世界フライ級選手権パスカル・ペレス(アルゼンチン)対米倉健司(興伸)のタイトルマッチ十五回戦は十日、約七千人の観衆を集めて東京体育館で行われた。ペレスはチャンピオンの貫禄を見せ二回強烈な左フックを米倉のアゴに決め、カウント7のダメージを与え、正確なアッパーはボディを捕らえ、得意の左フックは顔面に飛び、巧妙に米倉のアウト・ボクシングを封じて判定に降し、昭和二十九年白井義男からチャンピオンを獲得して以来、八度目の防衛に成功した。」

続いて1986年12月14日。

「【ソウル支局十四日】世界ボクシング評議会(WBC)公認の世界ジュニアフライ級チャンピオン張正九(韓国、二十三歳)―同級九位大橋秀行(ヨネクラ、二十一歳)のタイトルマッチ十二回戦は十四日夜、韓国・仁川市で行われ、大橋は五回、レフェリーストップのTKO負けした。張は連続十一度防衛を記録、大橋は世界タイトル初挑戦だった。全国高校チャンピオンの経歴を持つ大橋は、昨年二月のプロデビュー以来、五勝(3KO)一敗の戦績でプロ七戦目でのスピード挑戦だったが、張の粘り強い連打構成には持ち前の右ストレート、左フックの強打も及ばなかった。」

およそ50年前と、20年前と、例のプロ7戦目世界挑戦の歴史だ。
ちなみに世界ではタイのセンサクという選手がデビュー3戦目でWBC世界ジュニアウェルター級のチャンピオンになっているが、彼の場合はムエタイで相当なキャリアと実績を積んでの参戦だったので、3戦目というの数字で見るのは見当違いの実力者であったとの話だ。

いよいよヨネクラ一門半世紀の野望を達成すべき日が近づいてきた。

つづく