ハンドボール 全日本総合

2010年12月26日。

駒沢体育館です。

 

ハンドボーラーにとっての冬の風物詩・全日本総合選手権の決勝戦を取材してきました。

と、言うことで試合内容を簡単にレポートします。

 

 

日本リーグのほか、大学やクラブチームも参戦する日本一決定トーナメント。

4日間の大会日程最終日は、男子の決勝戦。

尚、女子はアジア選手権と日程が重なったため、年明けに行われます。

 

 

日本のエース・宮﨑大輔選手を擁し、5年ぶりの優勝を狙う大崎電気(赤)。

去年の日本リーグで2位に躍進。悲願のタイトル奪取を目指すトヨタ車体(青)。

 

 

スターティング7は次の通り。尚、ここより試合内容については敬称略。

大崎電気・・・小澤、岩永、永島(主将)、横地、東長濱、豊田、GK浦和

トヨタ車体・・・佐々木(主将)、門山、OF木切倉、藤田、高智、鶴谷、GK甲斐、DF富田

 

 

 

まずはトヨタ車体、高智(こうち)がオープニングゴール。

立ち上がりは突破力のあるトヨタ車体がリードし、前半5分に3-1。

しかしここから、大崎電気の機動力が爆発します。

 

大崎電気は0-6ディフェンスですが、チャンスと見れば14~15mほどまでけん制に出ます。

少しでもオフェンスのリズムが乱れれば、2人目、3人目の選手も飛び出していきます。

3-3シフトのような高いラインになることも多く見られました。

強力なトヨタ車体フローター陣も、相当やりにくそうに見えました。

 

アグレッシブなディフェンスのチェックから、日本代表GK浦和の好守。

そしてそこからの早い球出しで、速攻が面白いように決まります。

 

大崎電気の両サイド、小澤&豊田、そしてセンター横地が続き、7-3。

 

前半10分、怒涛の6連続得点で大崎電気が逆転。

トヨタ車体がタイムアウト。

トヨタ車体は、香川と崎前を投入し、富田を好守両面に。

 

しかしその後もトヨタはセットオフェンスが停滞し、シュートを“打たされる”展開に。

こうなると大崎電気の「守って速攻」が威力を増し、12-3と9点差。

 

 

例え数的不利でも速攻を狙って走る大崎電気も、消耗を考え早めの交代。

前半13分ころに宮﨑、猪妻、前田、森を一気に投入。

メンバーが変わっても、DFから仕掛けるし、走り続けます。

 

 

アップテンポな試合展開に慣れてきたトヨタ車体も前半18分過ぎから反撃。

門山、崎前、鶴谷、銘苅などの得点で点差を詰めます。

大崎電気は2分間退場で2人少ない時間帯を作ってしまったこともあり、トヨタ車体の猛烈な追い上げにさらされて16-12。

大崎電気の4点リードでハーフタイムとなりました。

 

 

後半は点の取り合いとなりました。

初優勝に向けてトヨタ車体は崎前&鶴谷の両サイドが得点を重ねます。

銘苅も7mtを確実に決めれば、GK甲斐&GK坪根もファインセーブを連発。

 

ただ、大崎電気も左サイド小澤が絶好調。速攻、セットと着々と加点。

そして違いを作り出せる男、宮﨑が絶妙なゲームメイクを披露します。

マーカーの銘苅、そしてシステム変更でトップDF富田も寄せてくる中での美技。

宮﨑の突破からのパスやフェイントからのスカイプレーが会場を湧かします。

 

その宮﨑、ゲームメイクに徹した前半は無得点でしたが終盤に一挙5得点。

カットインあり、ミドルありと高い能力を見せ付けて、最後まで粘るトヨタ車体を突き放しました。

大崎電気は、豊田のトリッキーなプレーや東長濱の強気のプレーも光りました。

 

 

 

終わってみれば大崎電気36(16-12、20-17)29トヨタ車体。

写真は表彰式です。

 

 

今大会、苦しんだ試合もありましたが、決勝は持ち味を発揮して大崎電気が快勝。

5年ぶり10度目の優勝を飾りました。

 

 

大崎電気のベンチ入りの選手をフル稼働させて走り切るスタイル。

そして宮﨑選手を中心とした変幻自在のセットオフェンス。

本場欧州の試合を見ているようでした。

と、偉そうに言いながらも国内の試合をすべて見ているわけでもなく、海外の試合もそれほどたくさんは見ていませんが。。。

ただ、試合終了後に宮﨑選手に、その感想を伝えたら。

 

「セットのオフェンス、実は僕がスペインでやってたのを取り入れてるんですよ。」との答え。

あながち錯覚でもなかったようです(笑)。

 

 

1年間、スペインのアルコベンダスに移籍し、腕を磨いてきた宮﨑選手。

オリンピック予選のため、古巣の大崎電気に復帰し、チームを躍進に導いています。

彼に、復帰してみて何かチームに変化は感じたか聞いてみました。

 

「戦術ですね。今のチームはやることがはっきりしていると感じます。

岩本監督は自分がスペインに行ってから就任されたので、監督の元でやるのは今季からなんです。

走って勝つ、そして結果を求める。そのシンプルな部分が大きいかな、と思います」

 

そしてブログ用に写真を一枚お願いしたところ・・・

 

 

選手としてスペシャルなだけでなく、このサービス精神!!

ほんとうに素晴らしい選手です。好漢です!

例えハンドボールを知らない方でも、彼のスピード、ジャンプ力、シュート技術は、お金を払って見る価値がある、そんなアスリートだと思います。

 

 

敗れたトヨタ車体、主力の門山選手がシュート11本で3得点というあたりに苦戦ぶりが出ています。

野村ヘッドコーチは、追いかける展開で、2次速攻なり攻撃のスペースメイクなり、もう少し具体的な指示をするべきだったと後悔していました。

昨シーズンまで選手兼任、今年から専任となった野村ヘッドコーチ。

この悔しさを今後にぶつけてくれるでしょう。

 

 

一方、大会最優秀監督賞も受賞した、大崎電気の岩本監督。

「大崎はどんなハンドボールをするのか?と聞かれた時に。

自分も選手もスタッフも、誰もが「走るハンドボール」と応えられるような。

そういうチームを目指してきました。積み重ねてきたものが、実ったのだと思います。」

5年前の優勝の時には現役選手だった岩本監督。

就任1年目だった去年は結果が出ずに苦しみました。

 

しかし、スタイルを貫いたことがこの日の決勝戦に繋がりました。

「これが、現代のハンドボールだと思っています」

 

現在、日本リーグも首位を走る大崎電気。

他のチームもより研究してくるでしょう。

リーグ戦、そして3月のプレーオフも楽しみです。

 

 

あ、MVPの小澤選手の写真、撮り損ねました・・・。