Sex&The City


まずいっ
医者に間に合わないっ

 

ただでさえルーズなアメリカの病院っ
遅れたら何時間待たされることになるかっ


タクシー!
タクシーっ!!!!

 

タクシー乗り場なんぞ、マンハッタンにはないっ
道のど真ん中まで飛び出て体を張って止めるのだっ

 

「Hey!!! タクシー!!!!!!!」

 

すると、むこうから空車が2台ものすごい勢いで私に向かって走ってきた。

 

ぬおおおおおおおおおおおおおお

危ないっ
カーチェイスの様相だっ

 

無法地帯のNY、客の争奪戦もすさまじい。
ひゃあああああああああ

突っ込んでくるつもりかあ。

 

ぶつかる寸前で、勝者がきまった。

 

「アッパーイーストまで。」

 

車にのれば
10分くらいの道のり、かろうじて間に合うか。

 

すると
途中から車がまったく動かなくなった。
セントラルパーク沿いの道である

 

何これ?
なんで動かないの?

 

不愉快そうにドライバーがいった

「映画の撮影らしい」

 

ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

 

映画?

 

「こんなまっ昼間から
5アベの大通りを通行止めにしていやがるっ」

 

ぎろりと
白い目を光らせた

 

あちゃー。
そうなのだ
NYは、本当に、いとも簡単に道を封鎖する

 

たとえば夏は ストリートフェスティバル。
これ、毎週どこかのストリートで大規模におこなわれる夏の風物詩

 

たとえば
パレード。多民族の街・NYは、それぞれの国の祝日ごとに、大騒ぎになる。
民族性を尊重するのって素敵だ。

 

さらに
映画撮影。NYはハリウッド映画の舞台にもってこい

NY市は、映画撮影に協力することで、相当な収入を得ている
さらに、観光客は有名な映画の舞台をみようと喜んでやってくる。
観光立国のお手本だね。

 

とはいえ、そのたびに、マンハッタンは大渋滞が引き起こる
迷惑をこうむるのは、こうして急いでタクシーに乗った善良な市民だ

 

 

ちょっと、ちょっと、何の撮影かな?

「セックス アンド ザ シティー2の撮影だよ」


ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

働く女性の憧れの映画じゃないの。
かくいう私も、大好きだ。

 

 

「ちょっとちょっと
キャリー(主人公)いるかなっ?そこから見えます?」
金髪の女性よっ

 

・・・・・野次馬根性 丸出しである。


結局、みえたのは巨大な撮影用のクレーンだけ。

 

 

 

大渋滞の中、身動きとれず
メーターはガンガンあがり
時間に遅れた私は
NYの大事な休日を、待合室で過ごす羽目になった

 

 

先日
その映画のプレミアのため主人公たちが日本にやってきた
あの時、タクシー代はいつもの2倍かかった。
リベンジである。

 

「あなたたちの映画の撮影のせいで、マンハッタンは大渋滞になって、おかげで私は医者に遅れたのよ」

 

インタビューの合間にあの日のことを報告した

 

するとキャリーは愉快そうに笑った。

「まあ、そうだったの?あなたNYに住んでいたのね?何年いたの?楽しかった?」

 

「3年半いてね、ミッドタウンに住んでいて、ちょうどリーマンショックがあって・・・・」


 

あの日の小さなリベンジを果たしたあとは

 

彼女の瞳の奥に輝く


あの街のタクシーのクラクションや、いろんな肌の行きかうあの大通りの記憶を呼び起こしていた。