ジャパネスクvol.35 木の話


Japanesque外国人の目に異国情趣が強く感じられる純日本的な雰囲気

 

 オーダーメイド家具を製作する工場を取材してきました。

大きな板がカンナで削られ、ヤスリで削がれていく工程は滑らかで美しかった。一流の職人は、生クリームが塗られたケーキの表面をナイフでサーっと平らにしていく様に木を削るんです。あまりの滑らかさに「この木は柔らかいんですか?」なんて馬鹿な質問をしてしまいましたが「かなり硬い方ですよ」と、これが匠の技というものか!


 

「木は温もりがあって柔らかいなんて嘘ですよ。実際はこんなに冷たくて硬いじゃないですか。それを温かく柔らかく仕上げるのが職人の技なんです。」

確かに木材は硬くて痛くて温かくない。でも、丁寧に作られた木、大切に使われた木、手垢の沢山ついた木は、穏やかで温かい気持ちにしてくれるものですね。

 

さて、今回のジャパネスクは木を愛する人たちが集うBARのお話です。

農学部を中心とする東京大学の弥生キャンパス内にあるBARなんですが、木材の価値を広める活動をしている山崎尚さんがプロデュースしています。

              手前:山崎さん 奥:家具職人松岡さん


至る所に惜しげもなく銘木が!


 バーカウンターには4メートルのカリンの木が使われていて、カウンター奥のキッチンが透けて見える扉は黒檀の欄間。欄間と言うのは、通常では天井と鴨居の間の開口部に使われ、採光性や通気性を保つものなんですが、東大の安藤教授が「ドアにしてみたら」と発案し、実験的に作られたそうです。


 このBARの自慢は、この天井。天井にはあまり良い木材は使われないらしいんですが、この天井は凄いらしい!


何がどう凄いのか、美味しいお酒を頂きながら山崎さんに聞いてみました。

使われているのは霧島山脈の杉で、柾(まさ)の部分が使われているから凄いのだとか。柾?柾とは何だね?酔っ払っているから理解できないのか、マニアックすぎて分からないのか・・・後日山崎さんに電話して、改めて柾について聞いてみると、手書きのFAXを送って下さり丁寧に解説してくれました。柾は木の直径の3分の1程の幅しか取れないとのこと。つまり、あの天井に使われている杉は、相当大きな杉なのだそうです!


木が健全に育つために、森林の成長過程で密集した立木を間引く間伐を行いますが、採算に合わない場合、伐採された木々はそのまま放置されてしまう事があるそうです。木を使う人が増えると、木材の需要も増え、放置され朽ちていく木々が救われる、環境保全にもつながると、山崎さんは木の価値を高める活動に邁進しているのです!