ジャパネスク vol.5 日本の手仕事「椅子」


Japanesque外国人の目に異国情趣が感じられる純日本的な雰囲気

 

私のご飯のお供BEST3を発表します。1位、鰹節にスダチと醤油。2位、シラスにスダチと醤油。3位、茹でた大根葉を刻んでスダチと醤油。

要するに、スダチと醤油が好きなのね。いやいや違う!!鰹節もシラスも大根葉も、それぞれ大好きなのである!中でも鰹節にはこだわりがある。スダチ醤油には、市販のパックに入ったフワフワの鰹節ではなく、自分で削ったしっかりした鰹節を合わせたい!子供の頃、カンナの刃が付いた箱で鰹節を削るのは私の仕事でした。労を惜しまず、削っては食べ、削っては食べ、削っては食べ、よく怒られたものです。引き出しの付いたあの鰹節削り器、今はどこに行ったのだろう。

 

またまた前置きが長くなりましたが、今回は椅子に関するお話。

先日、伊勢丹で開かれていたKOMA家具展「a cup of tea」に行ってきました。何世代も受け継がれる一点ものの家具を作っているKOMAが主催した、日本の家具と煎茶のコラボ展示会。お茶をたてて下さったのは、煎茶道 黄檗賣茶流の中井霜仙氏。週末の賑やかな百貨店の中で、静寂の空間を作り上げていました。自己主張しない空気感と、強烈な煎茶の旨さ、そのギャップに驚きました。

 

 そしてもう1つの驚きは、これまた自己主張しない家具たち。表情豊かで美しく、質がよく、座り心地も抜群。なのに控え目。この絶妙なバランスを作り上げるのに、職人はどれだけ身を削り、魂を注いだのだろう。

 お店の方がおもむろに見せてくださった「カンナ」。数種類のカンナを使うことで、この曲線が出来るんですよ、と。水原家の鰹節削り担当だった私には、その苦労が痛いほど分かった(つもり)。こんなに小さな「カンナ」で、これこそが究極のジャパネスク!

 

 「木の家具は、作り手のもとで一度完成し、使い手のもとで愛着とともに過ごした時間の結果、本当の完成を迎えるのだと思います。けして主張しすぎる事なく空間や生活に彩を添え、ストーリーが刻まれていく家具を作る事が一番の目標であり楽しみでもあります。」(KOMAHPより抜粋)

 我が家には日本の民藝運動に影響を与えた、バーナード・リーチが作った椅子があります。母が大切な友達から譲り受け、大事に使ってきたもの。座り手たちが手を置いた肘掛は、彼女たちの手のぬくもりが「カンナ」となって、新品では出せなかったであろう曲線を描き出しています。長い時間愛されてきたからこそ生まれる輝き、愛着もしっかり引き継いで、今は我が家でストーリーを刻んでいます。


     バーナード・リーチの椅子    

      KOMAの椅子

 

時代の違う2つの椅子、穏やかな表情が共通しているように思います。